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セーフティネットの内側から世の中を見る

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多くの企業が、メンバーシップ型からジョブ型へと雇用制度を変えようとしている。メンバーシップ型とは、仕事が潤沢にあることを前提に、会社の意向で配置転換をすることで、全体の負荷をパランスし、雇用を守るセーフティネットである。しかし、その前提となる仕事の需要が、もはや潤沢ではなくなり、需要の変動が急激であるとスキルのアンマッチが起きてしまう。そうなると、このセーフティネットが機能しなくなってしまう。まさにいま、そんな変化が起きている。

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しかし、セーフティネットという幻想を疑わず、その内側から世の中を見ている人も少なくないように思う。

「ウチの会社は、大企業のオンプレ型基幹業務に圧倒的な強みがあります。しかし、講義を受けて、その強みが、これからは失われてゆくと感じました。この強みを活かし、クラウドの時代で事業を伸ばして行くにはどうすればいいのでしょうか?」

大手SI事業者の社内研修の折に、このような質問を頂いた。まさに、これこそが、知らず知らずのうちに身につけてしまったセーフティネットの内側からの発想だ。もはや、「オンプレ型基幹業務」は「強み」ではなく、「弱み」なのだ。強みを活かすのではなく、弱みをいかに克服するかである。まさに、世の中の現実が見えていない。

大きな会社であればあるほど、「強み」に守られていると考えがちだ。だからこそ、このような質問を頂くわけで、そう思っているのは、この質問者ばかりではないだろう。このような視点の持ち主が、沢山いることが、この会社の本質的な「弱み」といえるのかもしれない。

社会の競争原理は大きく変わってしまった。かつて「強み」を生みだすことができた競争原理が変わってしまったのだ。新しい競争原理からみれば、そんなものは「強み」でもなんでもない。そんな現実を直視すべきだ。

社会学者のエズラ・ヴォーゲルが、「ジャパン・アズ・ナンバーワン」を上梓したのは、1979年だ。日本はバブルの絶頂期にあり、多くの日本企業が世界の頂点でしのぎを削っていた。「失われた30年」と言われながらも、こうやって、いまの日本が世界でそれなりに評価されているのは、そんな時代の遺産に過ぎない。そして、そこで働く人たちのマインド・セットも、そんな時代を引きずっているとすれば、なんとも残念なことだ。もはや、世の中は、かつて日本が輝いた時代とは異なる競争原理で動いている。その流れに乗り移ることを考えなくてはいけない。

私たちは、コロナ禍に直面し、半ば強制的に外出の自粛やリモートワークを求められた。しかし、様々な申請のために混雑する役所の窓口に並ばなければならず、ハンコを押すために出社しなければならないといった事態になってしまった。子どもたちのリモート授業は、15%ほどしか実施されず、アメリカや中国の90%とは比べるべくもない。東南アジア諸国と比べても、圧倒的に、その割合は低い。

理屈ではなく実感として、デジタル化の遅れを再認識した人も多いのではないか。あきらかに、世界の潮流から取り残されている。「失われた30年」は、デジタル化の遅れだけではないが、かつての「強み」が足かせになって、時代の潮流からずれてしまった人たちの所産であることは、疑うべくもない。

先入観を持たずに、いまの自分たちが取り巻く社会やビジネスの環境に真摯に向き合うべきだろう。そして、会社に評価されるのではなく、社会に評価されることを考えるべきだ。これからのジョブ型雇用の時代に、生きてゆくには、そんな志を持つ必要がある。

会社に必要とされるのではなく、社会に必要とされる存在になることだと言い換えてもいい。どこに行っても通用する自分になれば、いまの会社もあなたのことを必要とするだろう。当然、人生の選択肢は広がる。

ジョブ型で雇用が守られるかと不安をいだく人は多いに違いない。それもまた、いままでのセーフティネットの内側からの見方に過ぎない。もう、そうでもしなければ、事業の継続も、企業の存続もあり得ない。そんな、追い込まれた状況であるという客観的な事実を受け入れるべきだろう。

簡単なことではないし、痛みも伴う。しかし、私たちがそんな時代に生きているという事実は否定しようがない。もはや、だれもが覚悟を決めた方がいいように思う。

コロナ禍は、まさにそんな現実をあからさまにし、一気に時代の流れを加速するに違いない。

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4月度のコンテンツを更新しました】

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・「AIとロボット」を「AIとデータ」に変更し、データについてのプレゼンテーションを充実させました。

・戦略編をDXとそれ以外の内容に分割しました。

・開発と運用に、新しいコンテンツを追加しました

・テクノロジー・トピックスのRPA/ローコード開発、量子コンピュータ、ブロックチェーンを刷新しました。

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研修パッケージ

・総集編 20214月版・最新の資料を反映

DX基礎編 改訂

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ビジネス戦略編・DX

  • 【新規】データとUXとサービス p.17
  • 【新規】デジタル×データ×AI が支える存続と成長のプロセス p.68
  • 【新規】DXとは圧倒的なスピードを手に入れること p.72
  • 【新規】IT企業とデジタル企業 p.155

サービス&アプリケーション・先進技術編/AIとデータ

  • 【新規】データの価値 p.129
  • 【新規】情報とビジネスインテリジェンス・プロセス p.130
  • 【新規】アナリティクス・プロセス p.131
  • 【新規】データ尺度の統計学的分類 p.135
  • 【新規】機械学習とデータサイエンス p.136
  • 【新規】アナリティクスとビジネス・インテリジェンス p.137
  • 【新規】ビジネス・インテリジェンスの適用とツール p.138
  • 【新規】アナリティクスのプロセス p.139
  • 【新規】ETL p.140
  • 【新規】データウェアハウス DWH Data Warehouse p.141
  • 【新規】データウェアハウス(DWH)とデータマート(DM) p.142

*「AIとロボット」から「AIとデータ」に変更しました。

開発と運用編

  • 【新規】クラウドの普及による責任区分の変化 p.25
  • 【新規】開発と運用 現状 p.26
  • 【新規】開発と運用 これから p.27
  • 【新規】DevOpsの全体像 p.28
  • 【新規】気付きからプロダクトに至る全体プロセス p.29
  • 【新規】アジャイル開発のプロセス p.37
  • 【新規】アジャイル開発の進め方 p.39

*ローコード開発については、RPAの資料と合わせてひとつにまとめました。

テクノロジー・トピックス編

  • 【改訂】ブロックチェーン、量子コンピュータの資料を刷新しました。
  • 【改訂】RPAとローコード開発を組合せた新たな資料を作りました。

下記につきましては、変更はありません。

  • ITインフラとプラットフォーム編
  • クラウド・コンピューティング編
  • ITの歴史と最新のトレンド編
  • サービス&アプリケーション・基本編
  • サービス&アプリケーション・先進技術編/IoT

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