【図解】コレ1枚でわかる「学習」と「推論」 1/2
*先般、発売となった「【図解】コレ1枚でわかる最新ITトレンド[新装改訂3版]」で編集の都合で掲載しなかった項目を何回かに分けて掲載致します。
「機械学習」は、「学習(Leaning)」と「推論(Inference)」の2つのプロセスに分けられます。
「学習」とは、学習データから特徴の組合せを作り出すプロセスです。例えば、学習データである「ネコ」、「イヌ」、「トリ」の画像から、それぞれの特徴の組合せ(=推論モデル)を作ります。「推論」とは、対象データを「推論モデル」と照合して、結果を導くプロセスです。例えば、未知の写真から、特徴の組合せを抽出し、「推論モデル」と照合して、ネコの推論モデルと一致する割合が高ければ、「これはネコである」という推論結果を出力します。
「学習」によって推論モデルを作るには、多くの学習データを用意し、繰り返し計算して「推論モデル」を作ります。それには膨大な計算が必要なため、高性能なプロセッサーや大容量のストレージを用意しなければなりません。一方、「推論」は、対象となるデータから特徴を抽出し、推論モデルと照合するだけなので、「学習」ほどのプロセッサー能力やストレージ容量は必要とされません。
「学習」と「推論」には、パソコンやサーバーで利用されている汎用的なプロセッサーを使うこともできますが、昨今ではそれぞれに最適化されたプロセッサーも開発されています。
「学習」には、元々は画像処理のために開発されたGPU(Graphics Processing Unit)や「学習」に最適化された専用のプロセッサーを大規模に組み合わせた並列処理システムが使われており、そのためのクラウド・サービスも登場しています。一方、「推論」には、IoT機器に組み込むことも考慮された、低消費電力かつ高い推論性能を発揮する専用プロセッサーが登場しています。
IoTでの適用を考えると、「学習」はデータセンターやクラウドで行い、生成された「推論モデル」を、ネットワークを介してIoT機器に送ります。IoT機器で「推論」を行い得られたデータを、再びクラウドに送って学習させ、「推論モデル」の一層の最適化を行う仕組みが普及してゆくと考えられます。例えば、監視カメラに人を識別するための推論モデルを入れておけば、家族などの予め登録された特定の人が来た場合と見知らぬ人が来た場合で、メッセージを変えてスマートフォンに通知することができます。また、そこで得られた成功や失敗をクラウドで学習させれば、より精度よく識別できるようになります。
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