つまらない講義を魅力的にする3つのテクニック
「今日の受講者は、ダメですね。居眠りはするし、集中力を欠いています。わざわざ研修に参加しているのに、もったいない話しです。」
講師仲間の方からこんな話しを聞くことがあるが、それはあなたの講義がつまらないからではないでしょうかと、内心苦笑いしてしまう。
研修講師という仕事は、サービス業だ。クラブのホステスさん、旅館や料亭の中居さん、漫才師や落語家などと同じであり、お客様を喜ばせてなんぼの仕事である。もちろんネタである経験や知識が大切であることは言うまでもないが、それをどう伝え、どう講義や講演の場を盛り上げるか、その技も磨かなければ、サービス業としての務めは果たせない。
前回のブログでは、ネタ作りの方法を紹介したので、今日は場を盛り上げる方法について、私が実際に行っているいくつかを紹介させていだこう。
事前課題を与える
講義というのは受身であることが多い。会社から行けと言われ、仕方がないので参加する。他人事のような気持ちで参加する人も少なくない。そこで、自分がいかに知らないかを実感し、これではまずいと実感して参加してもらえるような事前課題に取り組んでもらう。例えば、次のような内容だ。
「クラウドとは仮想化をサービスとして提供する仕組みである。」。間違えではありませんが、それはクラウドの一部を説明しているに過ぎません。むしろいまクラウドは、コンテナやサーバーレスと紐付けされて語られることが多くなりました。なぜ、コンテナやサーバーレスなのでしょうか。それは、IT利用の在り方をどのように変えるのでしょうか。仮想化との違いを含めて、その理由を説明して下さい。
クラウドとITインフラについての講義の事前課題だ。これを文章で説明するように求めている。これは、ネットで答えを探してコピペすればできるというものではない。悩む人も多いだろう。そして、正解が書けない、つまり自分がこの答えを知らないコトが実感できる。そうすると、他人事の研修を自分事の研修に変えることができる。
そうすれば、講義に前のめりになって参加できるようになるというテクニックだ。
知りたいことを事前に教えてもらう
講義の冒頭次のような話をする。
「今日の講義で知りたいことを教えて頂けないでしょうか?今日の講義の内容にかかわらずでけっこうです。いま知りたいこと、困っていること、気になっていることなど何でも構いません。」
そして、それをホワイトボードに書き出してゆく。
なかなか「聞きたいこと」が出てこないことも多い。そこで、机を挟む前後4人くらいで事前課題について共有してもらい、聞きたいことを一緒に考えて欲しいというでディスカッションを仕掛けることもある。
そうやって、聞きたいことを発言させ、講義を自分事として感じてもらえるようにしている。
ただ、そこまでしてもなかなか出てこないことがあるのは、なんとも残念である。たまに、じゃあと言って一人が手を挙げてきっかけを作ってくれると、流れというか、雰囲気が変わるのだが、それさえもないときは、「例えば、こんなことは知りたくないですか」とこちらが「聞きたいこと」を作って、こんな質問ありませんかと促すこともある。
講義の途中で質問を考えるディスカッションを挿入する
「何か質問はありませんか?」
こんな質問の求め方に、受講者がすっと応えることは難しいだろう。「何か」とは何か?あまりにも漠然としたオープン・クエッションに直ちに応えられる人など限られている。
そこで、講義の合間に次のようなグループ・ディスカッションを挿入する。
「それでは、皆さん立ち上がって下さい。立ったまま、3人から4人程度のグループを作って下さい。席から離れて頂いて構いませんし、壁や扉の方に移動して頂いても構いません。そして、立ったままでこれまでのことについて質問を考えるディスカッションをしてください。5分さし上げます。それでは、始めて下さい。」
と、有無を言わさずディスカッションを始めさせる。受講者は大慌てだ。誰と組めばいいんだとわさわさと動き出し、何を議論すればいいのかとあたふたする。そこが作戦である。
そうやって、いままで講義に使っていた左脳とは反対側の右脳が活性化し、脳がリフレッシュできる。また、左脳が少し休息できるので、左脳も元気になる(のだと思う)。
他人と話すことで頭が整理されるし、教えたい人も多いので、いままでちゃんと聞いていなかった人も底上げされる効果が期待できる。
そして、また質問を求めるわけだが、これを2〜3回やると、会場の雰囲気も和むし、質問もしやすくなり、講師とのインタラクションもスムースになる。
他にもいろいろとテクニックはあるが、まずはこんなところができると、講義に参加する人たちの前のめり感が相当高まり、集中力も増して居眠りする人も少なくなる。
残念ながら、そこまでしても居眠りする人はいるのだが、そういう人をどうするかについては、また改めてご紹介しよう。これもまた、テクニックで何とかできるのだ。
ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー/LiBRA
【12月度のコンテンツを更新しました】
・総集編の構成を1日研修教材としてそのまま使えるように再構成しました。
・最新・ITソリューション塾・第32期の講義資料と講義の動画(共に一部)を公開しました。
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総集編
【改訂】総集編 2019年12月版・最新の資料を反映しました。
*1日研修で使える程度に、内容を絞り込みました。
パッケージ編
ITソリューション塾(第32期)
【改訂】ビジネス・スピードを加速する開発と運用
動画セミナー・ITソリューション塾(第32期)
【改訂】ビジネス・スピードを加速する開発と運用
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ビジネス戦略編
【新規】変革とは何をすることか p.4
【新規】イノベーションとインベンションの違い p.8
【改訂】デジタル化:デジタイゼーションとデジタライゼーション p.37
【新規】経済政策不確実性指数(EPU)p.38
【新規】デジタル・ディスラプターの創出する新しい価値 p.41
【新規】ハイパーコンペティションに対処する適応力 p.42
【新規】価値の重心がシフトする情報システム p.54
【新規】複雑性を排除してイノベーションを加速する p.55
サービス&アプリケーション・先進技術編/IoT
【新規】IoT実践の3つの課題 p.74
ITインフラとプラットフォーム編
【新規】ゼロ・トラスト・ネットワーク 境界型セキュリティの限界 p.110
【新規】ゼロ・トラスト・ネットワーク セキュリティと生産性の両立 p.111
開発と運用編
【改訂】改善の4原則:ECRS p.5
【新規】ITの役割の歴史的変遷 p.8
【新規】アジャイル開発:システム構築からサービスの提供(体制変化) p.11
【新規】仮想マシンとコンテナの稼働率 1/2 p.60
【新規】仮想マシンとコンテナの稼働率 2/2 p.61
【改訂】DevOpsとコンテナ管理ソフトウエア p.63
【新規】モビリティの高いコンテナ p.65
【新規】モノリシックとマイクロ・サービス p.71
テクノロジー・トピックス編
【新規】急増するAI専用プロセッサ p.62
下記につきましては、変更はありません。
・クラウド・コンピューティング編
・サービス&アプリケーション・先進技術編/AI
・サービス&アプリケーション・基本編
・ITの歴史と最新のトレンド編