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デジタル・トランスフォーメーション(2/5)様々な産業に変革を促すデジタル・トランスフォーメーション

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デジタル・トランスフォーメーションは、多くの産業を巻き込んで、社会全体に様々な変化をもたらす現象です。自動車産業を例にどんな変化が起きるのか、それが他の産業にどのような影響を与えるのかを考えてみましょう。

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■自動車業界に押し寄せるCASEの波

自動車産業には、いまCASEの波が押し寄せています。CASEとは、Connected(つながる)Autonomous(自律走行)Shared(共有)Electric(電動)を意味する言葉です。

いま自動運転の話題を目にする機会が増えましたが、自動運転は1台の自動車が単独で周囲を認識しただけでは実現しません。カーブの先にある障害物や300m先にある車線規制、死角となっている交差点からの他の自動車や自転車の侵入などの予測は、自動車同士がお互いに接続され、あるいは信号機や道路上に設置されたセンサーからの情報を得て初めて分かります。また、目的地に向かう途中の道路標識や信号機、建物などの立体的な配置も正しく把握されていなくてはなりません。そのためには膨大なデータ量の3次元地図が必要となります。それらを全て自動車が持っているのは大変なことで、必要に応じてクラウドからダウンロードする必要があります。また、道路の周辺環境は変わり続けます。その変化を捉えた自動車はクラウド上の3次元地図に更新情報を送り、その近辺を走る他の車の地図を更新します。そんなConnectedなくしてAutonomousは実現できません。

自動車がインターネットにつながれば、それぞれの稼働状況をリアルタイムで共有することができます。ならば空いている時間をお互いに融通し合えば、いまほど沢山の車はいりません。つまりSharedが実現するのです。

スペースの効率化や地球資源の有効活用の視点からも、また利用者の経済的な負担の削減と公共交通機関と異なり個人で自由に目的地へ移動できる利便性もSharedを加速させることになるでしょう。

さらに排気ガスや騒音などの環境負荷の低減や部品点数の減少に伴う製造コスト削減への要請からElectricもまた大きな流れとなっています。中国やEUヨーロッパ諸国ではガソリンやディーゼルで駆動する自動車を法律で規制しElectricへの移行を強制する動きも出てきました。

このような状況に対応しようと自動車各社は取り組みを加速しています。例えば、ダイムラー、BMW、アウディの3社がNOKIAから共同買収したHERE社は、Autonomousに欠かせない世界各地の3Dマップデータを保有する企業で、この分野での競争力を高めようとしています。また、ダイムラー社が展開しているCAR 2 GOという乗り捨て型のカーシェアサービスは、Shareのノウハウをいち早く手に入れようという取り組みと言えるでしょう。さらにトヨタは、自動車を売るのではなくモビリティ(移動)をサービスとして提供するためのプラットフォーム「e-Palet」を発表しました。自動車各社は、いまCASEの呑みに呑み込まれまいと模索をはじめています。

また、我が国の国土交通省も「先進安全自動車(AVS/Advanced Safety Vehicle)」や「自動車関連利活用に関する将来ビジョン」などを通じて、この動きを支えようとしています。

■CASEによる産業や社会へのインパクト

CASEがすすむことで先ず影響を受けるのは自動車産業自身です。自動車の生産台数が減少します。製造コストが減少するので販売価格も下がるでしょう。自動車産業は収益の減少を余儀なくされます。

また、保険会社への影響も大きなものになります。完全自動運転になれば交通事故の責任は製造者である自動車会社になります。そうなると交通事故の責任が運転者側にあることを前提に組み立てられた損害保険は不要となります。完全自動運転が普及するまでには時間はかかりますが、部分的な自動運転が普及する過程で交通事故は減少し、保険会社の収益に変化をもたらすことは避けられません。

交通事故が減少すれば自動車整備工場の仕事も減少します。またタクシーやレンタカーの乗客が減少します。既にライド・シェアサービスが普及している米国や東南アジアでは多くのタクシーやレンタカー会社は倒産に追い込まれています。バスや鉄道などの交通会社や公共交通機関も影響を受けるでしょう。

ガソリン・スタンドも必要なくなります。既に自動車の燃費が向上し採算がとれないガソリン・スタンドの廃業が増えていますが、これがElectricになれば完全に不要になります。

自動車の台数が減るので駐車スペースも減少します。そうなると建設や不動産にも変化が起きるでしょう。都市計画のあり方も変わってしまいます。

物流のためのトラックも運転手不要となり、また休憩も不要で、タンデム走行(複数の自動車が短い車間距離で連なって走行すること)も可能になることから、輸送効率は大幅に向上しコストも下がります。特に米国のような広大な国土を抱えるところでは数日間かけてのトラック輸送が行われていますが、Autonomousになれば運転手がいないので、道路沿いのドライブインやモーテルも不要になり地域経済にも大きな影響があるでしょう。

自動車の台数が減少し、自動車同士や信号機がつながってお互いに情報交換をしながら走行すれば渋滞も解消されます。これもまた運送や移動の効率化に貢献しますが、道路の補修や工事も減少し、建設業界の収益構造にも影響を与えます。高速道路網などの道路計画にも影響があるでしょう。

このように、自動車業界に押し寄せるCASEの波は、自動車業界だけではなく、その周辺の産業までも巻き込んで、破壊と変革を引き起こすのです。

■様々な産業に変革を促すデジタル・トランスフォーメーション

自動車産業に限ったことではありません。デジタル・テクノロジーの拡大は様々な産業に及びます。

無人レジの普及は流通業やその雇用のあり方、それに伴うコスト構造を大きく変えてしまいます。3次元プリンターや工場の完全自動化を推し進めれば、労働単価の地域格差は意味をなくし、オフショアでの生産から消費地に近いところへ工場の立地が進むかもしれません。

MOOCs(Massive Open Online Courses) の登場は、高等教育のあり方を大きく変えてしまう可能性があります。MOOCsは、インターネット上で誰もが無料で受講できる大規模な開かれた講義のことで、条件を満たせば修了証が交付されます。高額な費用がかかる高等教育の価値が疑問視され、一流大学を含む世界有数の高等教育機関でさえも、これに対抗するサービスを低価格あるいは無料で提供せざるを得ない状況に追い込まれています。

ITすなわちデジタル・テクノロジーの進化がもたらすデジタル・トランスフォーメーションとは、あらゆる産業を巻き込んで、既存の常識を破壊し、ビジネスや社会のあり方を根本的に変えようとしているのです。昨日紹介した「限界費用ゼロ社会」へと社会が大きく動き始めているのです。

SI事業者/ITベンダーのためのデジタル・トランスフォーメーションの教科書

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デジタル・トランスフォーメーションとは何か、SI事業者やITベンダーはこの変化にどう向きあえばいいのかを1冊の書籍にまとめました。これが「SI事業者/ITベンダーのためのデジタル・トランスフォーメーションの教科書」です。PDF/A4版・109ページのデジタル出版です。紙の書籍にすると200ページくらいのボリュームにはなると思います。もちろん、前著同様に掲載したチャートは全てロイヤリティ・フリーでダウンロードできるようにしています。

いまと未来を冷静に見つめ、SIビジネスのデジタル・トランスフォーメーションにどう向きあえばいいのかを考えるきっかけになればと願っています。

内容は以下の通りです。

  • デジタル・トランスフォーメーションとは何か
  • デジタル・トランスフォーメーションの定義
  • デジタル・トランスフォーメーションを支えるテクノロジー
  • SIビジネスのデジタル・トランスフォーメーション
  • デジタル・トランスフォーメーション時代に求められる人材

ITビジネスの未来は大いに開けています。ITは私たちの日常や社会活動にこれまでにも増して深く関わり、アンビエント(環境や周囲に溶け込む)になっていくでしょう。そこには新たなビジネスチャンスが待っています。しかし、そのチャンスを見つけるためには、視線を変えなければなりません。もはやこれまでのSIビジネスの視線の向こうには、新しいビジネスチャンスはないのです。

じゃあどうすれば良いのでしょうか。本書で、そのための戦略と施策を考えるきっかけを見つけていただければと願っています。

【募集開始】新入社員ための最新ITトレンド研修

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IoT、AI、クラウドなどのキーワードは、ビジネスの現場では当たり前に飛び交っています。デジタル・トランスフォーメーションの到来は、これからのITビジネスの未来を大きく変えてしまうでしょう。

しかし、新入社員研修ではITの基礎やプログラミングは教えても、このような最新ITトレンドについて教えることはありません。

そんな彼らに「ITトレンドの最新の常識」と「ITビジネスに関わることの意義や楽しさ」についてわかりやすく伝え、これから取り組む自分の仕事に自信とやり甲斐を持ってもらおうと「新入社員ための最新ITトレンド研修」を昨年よりスタートさせました。今年も7月17日(火)と8月20日(月)に開催することにしました。

参加費も1日研修で1万円に設定しました。この金額ならば、会社が費用を出してくれなくても、志さえあれば自腹で支払えるだろうと考えたからです。

社会人として、あるいはIT業界人として、厳しいことや頑張らなくちゃいけないことも伝えなくてはなりません。でも「ITは楽しい」と思えてこそ、困難を乗り越える力が生まれてくるのではないでしょうか。

  • ITって凄い
  • ITの仕事はこんなにも可能性があるんだ
  • この業界に入って本当に良かった

この研修を終えて、受講者にそう思ってもらえることが目標です。

よろしければ、御社の新入社員にもご参加いただければと願っております。

詳しくは、こちらをご覧下さい。

ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー/LiBRA

LiBRA 5月度版リリース====================

  • SI事業者/ITベンダーのための「デジタル・トランスフォーメーションの教科書」をリリース
  • 「ITソリューション塾・第27期」の最新コンテンツ
  • その他、コンテンツを追加

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【新規掲載】SI事業者/ITベンダーのためのデジタル・トランスフォーメーションの教科書

  • 教科書 全109ページ 
  • PDF版
  • プレゼンテーション 全38ページ ロイヤリティフリー

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「ITソリューション塾・第27期」の最新コンテンツを追加
メインテーマ

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 これからのビジネス戦略【新規】
知っておきたいトレンド
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サービス&アプリケーション・先進技術編/IoT
【新規】伝統的なやり方とIoTの違い p.19
サービス&アプリケーション・先進技術編/人工知能とロボット
【新規】人間にしかできないコト・機械にもできること p.100
インフラ&プラットフォーム編
【新規】仮想化とは何か p.68
【新規】仮想化の役割 p.70
【新規】サイバー・セキュリティ対策とは何か p.125
【新規】脆弱性対策 p.127
クラウド・コンピューティング編
【新規】コンピューターの構成と種類 p.6
【新規】「クラウド・コンピューティング」という名前の由来 p.17
【新規】クラウドがもたらすビジネス価値 p.26

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