「攻めのIT」に取り組む企業が考えておくべきこと
「ITの戦略的活用」、「攻めのIT」、「デジタル・トランスフォーメーション」などを標榜する企業が増えているようだ。しかし、実体は実にお粗末で残念に思うことがある。
例えば、デジタル推進室、デジタル戦略部、デジタル・イノベーション部など、オシャレな名前の組織を作るのだが、やっていることは、「いま流行のIoTやAIで何か新しいビジネスができないだろうか」という議論であり、そのための勉強であったりする。そのような議論を起点にする取り組みがうまくいくことがないことは、昨日のブログでも説明したとおりだ。
そしてもうひとつの課題は、責任の所在を曖昧にしていることだ。このような取り組みに於いて、一番大切なことは、「経営者や事業部門が主管であり全責任を負うことを社内外に明示的に宣言すること」からはじめることだろう。またITのことは分からないから、難しいからと、「ITの専門家」とする人たちにテクノロジーのことを任せっきりにしてはいけない。ITの価値とビジネスの価値を結びつけることができる知見は磨かなくてはならないだろう。その上で、中核となるところは自分たちで開発や運用ができる能力を持つことも目指すべきだろう。
>> 仕事を任せるときに注意すべきITベンダー・SI事業者の行動特性
どんな企業であれ、自社の売上や利益、そして未来を左右する戦略的な製品の開発をアウトソーシングすることはしない。「ITの戦略的活用」はそれと同じ取り組みだ。コスト削減や生産性の向上目指すITではこれまでのITではなく、自分たちの競争優位や差別化を生みだす資産として積み上げてゆくべきだからだ。
デンソーがMicrosoftやGoogleなどで活躍した及川卓也氏を技術顧問に招き、クラウドやアジャイルで高いスキルを持つクリーションラインに出資し、攻めのITに打って出ることを内外に宣言したが、このような覚悟の表明こそ、社内外を動かし、優秀な人材を集め、成果を導く土台となるのだろう。
事業会社(ユーザー企業)は戦略的ITにどのように向きあえばいいのかを、ここに整理してみた。
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・デジタル・トランスフォーメーションについて大幅に解説を増やしました。
・【講演資料】SIビジネスのデジタル・トランスフォーメーション を新規に掲載しました。
・量子コンピュータについて、チャートの他に解説文を作りました。
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追加・更新の詳細は以下の通りです。
プラットフォーム&インフラ編
【改訂】サーバー仮想化とコンテナ p.94
【新規】ビジネスとしてのランサムウェア p.113
ビジネス戦略編
【改訂】デジタル・トランスフォーメーションの意味 p.4
【新規】デジタル・トランスフォーメーションとは何か p.5
【新規】「限界費用ゼロ社会」の実現を支えるデジタル・トランスフォーメーションp.6
【新規】デジタル・トランスフォーメーションの全体像 p.7
【新規】デジタルトランスフォーメーションとCPS p.8
【新規】デジタル・トランスフォーメーションを支えるテクノロジー p.9
【新規】デジタル・トランスフォーメーション実現のための取り組み p.10
【新規】デジタル・トランスフォーメーションをとは p.11
【新規】デザイン思考・リーン・アジャイル・DevOpsの関係 p.16
【新規】SIビジネスとして注力すべきテクノロジー(解説付き) p.17
【新規】デジタルトランスフォーメーション時代に求められる能力 p.20
サービス&アプリケーション・先端技術編/IoT
【新規】機能階層のシフト p.46
サービス&アプリケーション・先端技術編/人工知能とロボット
【新規】手順が決まった仕事は機械に置き換わる p.18
【新規】深層学習の学習と推論 p.52
【新規】「AIカント君」の可能性について p.92
開発と運用編
【新規】DockerとKubernetesの関係 p.45
【新規】システム開発のこれから p.62
テクノロジー・トピックス編
【新規】スマート・コントラクト p.53
【新規】量子コンピュータについての解説文 p.67-68
ITの歴史と最新トレンド編
*変更はありません
クラウド・コンピューティング編
*変更はありません
サービス&アプリケーション・基本編
*変更はありません
【講演資料】SIビジネスのデジタル・トランスフォーメーション を新規に掲載しました。