ITビジネスに役に立ちそうな「古典」的な本
ITソリューション塾の塾生から、次のような質問を頂いた。
「これまでの塾の中で、一見「最新」のトレンドとは関係が無さそうな古典の中から一節を取り出してご紹介いただいています。古典には、当時の背景や思想が大きく影響していると思うものの、「失敗の本質」などを読んでいると、今後に生かせる原理原則めいた話が多分にあると思います。」
そして、そんな本を紹介して欲しいとの内容だった。
なるほど、意識はしていなかったが、言われてみるとそんな話をしていたようだ。ならばということで、独断と偏見で紹介させていだこう。
欧米的思考の根っ子を知る
ITに関わる製品やサービスは多くが米国やヨーロッパが発祥だ。当然、その文化や思想に大きな影響を受けている。
例えば、欧米の経営者と従業員の関係は、羊飼いと羊の関係に似ている。彼らは、何百頭、時には何千頭の膨大な数の羊たちを効率よく統制し、牧草の生い茂る場所を巡回して羊たちを育ててきた。その仕組みをうまく動かすためには、組織を階層化して指揮命令系統をひとつにした中央集権型の組織を作る必要があった。また現場の末端に至るまで、迅速・正確に情報を収集する術を必要とした。その伝統が企業や国家の経営の根底にある。
ERPやSFAはそんな思想を背景に作られた情報システムだ。日本でERPやSFAがなかなか現場でうまく使われていないのは、そんな思想が日本にはなかったからだ。この点については、以前紹介しているので、詳しくはそちらをご覧頂きたい。
>>> 欧米との文化の違いを理解しないままに製品やサービスを選定してはいけない
このような欧米と日本の思想的な違いを理解する上でお勧めしたいのが以下の2冊。どちらもITとはまったく関係ないが、欧米発の製品やサービスがなぜそうなっているのか、ビジネス上の取引や交渉がなぜこうも違うのかを理解する一助となるだろう。
日本型組織の精神構造を知る
この本は日本の第2次世界大戦における敗因を組織のメカニズムという視点から解説した名著であり、いまさら余計な説明は不要だろう。ここに語られている日本企業の意思決定メカニズムは70年を経たいまでも本質的に変わりがない。2600年前の論語が未だ多くの示唆を与えてくれるように、人間の本性とはそう簡単に変わらないことに改めて気付かされる。
日本企業に勤め、日本企業を顧客にする人ならば、読んでおくべき1冊だろう。
システム開発の原理と原点を知る
システム開発プロジェクトには必ずトラブルがつきまとう。なぜトラブルが起きるのか、どうすればいいのかを知りたければ、まずはこの2冊に当たってみては如何だろう。
「人月の神話」は、1964年に発表されたIBMの大型コンピューSystem/630、およびオペレーティングシステムOS/360の開発チームを率いた著者が、プロジェクトで発生した問題点を詳細に分析し、ソフトウェア開発にまつわる困難と展望について解説している。原著初版(1975年)の刊行から41年を経たいまでも、大規模開発プロジェクトにおけるソフトウェア工学の古典として読み継がれている。
「ソフトウェア見積り」は、2006年の出版なので古典とは言えないが、将来は間違えなく古典になる1冊だろう。なぜソフトウェア開発の見積がうまくいかないのかを数学的に説明した「不確実性のコーン」はいまもそのまま通用する。じゃあどうすればいいのかも含め、その原理原則は変わらない。
アジャイル開発とは何かを知る
「スクラム」は、アジャイル開発の提唱者のひとりであり、アジャイル開発のフレームワークであるスクラムの開発者でもあるジェフ・サザーランドの最新作だ。古典ではないが、前述の古典的名著に対するひとつの回答と受けとめて読んでみても面白いかもしれない。
また、本書はシステム開発ではなく「アジャイルという働き方」あるいは「アジャイルという生き方」を紹介する内容で、アジャイル開発の考え方が普遍化され、その本質を理解するにはうってつけの本だろう。
ところで、アジャイル開発と言えば「チーム開発」だが、そのチームをどのように育て、作りあげて行けばいいのだろうか。「気づかせて動かす」はそれを教えてくれる格好の1冊だろう。
『スクール・ウォーズ』のモデルとなった京都市立伏見工業高等学校ラグビー部での出来事を語った内容。京都一の不良学校がラグビーで全国制覇を成し遂げるまでになった物語を教師である山口良治とラグビー部のキャプテンとして選手を引っ張っていった平尾誠二の対談で綴られてゆく。アジャイル開発で求められる自律型のチームとはこういうふうことなのだと教えてくれる。
新規事業を開発成功させるための原理原則を知る
いまさら解説も不要だろう。ハーバード・ビジネス・スクールの教授である著者クレイトン・クリステンセンの鉄板の三部作「イノベーションのジレンマ」、「イノベーションの解」、「イノベーションの最終解」は、イノベーションがどのようにして起こり新規事業を成立させ、やがては衰退してゆくのかを学問的体系に基づいた緻密な論理構成によって実証している。
また「イノベーション・オブ・ライフ」は、そんな彼の理論を人の生き方に当てはめ「人生成功の理論」として著したものだ。
ITビジネスに関わる者として、エンジニアや営業、経営者の立場を問わずお読み頂ける本を選んでみた。また、どれもスキルやノウハウを語るものではないので、それがすぐに使えるというものではないが、ここに著されている原理原則はビジネスの様々なシーンで気付きを与えてくれるアドバイザーのような役割を果たしてくるだろう。
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【新規】クラウドのための知っておくべき基礎知識 p.14-21
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APIエコノミーとFineTechをわかりやすく解説
【新規】M2MとIoTの違い p.8
【更新】デジタルコピー/デジタル・ツイン p.20
【新規】「モノ」のサービス化(カメラ編) p.27
【更新】コマツの取り組みに新しい動画を追加 p.57
【新規】BIとAIの関係 p.127
【新規】なぜいまは人工知能なのか p.147
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【新規】システム資産・運用の歴史的変遷 p.210
【新規】ウォーターフォール開発とアジャイル開発 P214-216
【更新】DevOps p.223
【新規】APIエコノミー p.225-228
【新規】FinTech 新しいチャート p.232
【ビジネス戦略編】
今月の改定はありません。
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まずは、どのような内容かご覧頂ければ幸いです。
「ポストSIビジネスのシナリオをどう描けば良いのか」
これまでと同じやり方では、収益を維持・拡大することは難しくなるでしょう。しかし、工夫次第では、SIを魅力的なビジネスに再生させることができます。
その戦略とシナリオを一冊の本にまとめました。
「システムインテグレーション再生の戦略」
- 歴史的事実や数字的裏付けに基づき現状を整理し、その具体的な対策を示すこと。
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- 新規事業を立ち上げるための課題や成功させるための実践的なノウハウを解説すること。
また、本書に掲載している全60枚の図表は、ロイヤリティ・フリーのパワーポイントでダウンロードできます。経営会議や企画書の資料として、ご使用下さい。
こんな方に読んでいただきたい内容です。
SIビジネスに関わる方々で、
- 経営者や管理者、事業責任者
- 新規事業開発の責任者や担当者
- お客様に新たな提案を仕掛けようとしている営業
- 人材育成の責任者や担当者
- 新しいビジネスのマーケティングやプロモーション関係者
- プロジェクトのリーダーやマネージャー