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営業新人を「どのように教えるか」 1/2

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まもなく新入社員を迎える。しかし、営業として採用した新入社員は、基礎的なビジネスの常識とエンジニア向けの基礎的研修の一部を一緒に行い、あとはOJTに委ねるといったケースが多いようだ。

OJTと言えば聞こえは良いが、実態は、現場任せの「ほったらかし」も多い。そのため、「誰についたか」に大きく左右される。これでは、成長は運任せだ。また、営業人材の育成方針も方法も定まらない現場組織の中で、ただ雑用を任されるだけのOJTに疲弊し、会社を辞めてゆく新入社員達を何人も見ている。これでは、営業力強化を期待した営業職採用も効果を発揮しない。

営業新人の研修で「何を教えるか」については、以前にもブログで詳しく紹介しているので、こちらをご覧頂きたい。

>> 営業職採用の新人研修で教えなくてはならいこと

>> 即戦力の営業を育てる 新人研修実践ガイド

さて、「何を教えるか」とともに「どのように教えるか」も重要だ。これは、営業職に限った話しではないが、新入社員研修のゴールは、自ら成長したいという意欲を持ち、それを続ける手段を理解することだ。OJTはこの実践を支えるものでなくてはいけない。

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自ら成長したいという意欲

「自ら成長したいという意欲」を引き出すためには、営業という仕事の「意義」、「喜び」、「未来」を理解させることだろう。

営業という仕事の「意義」は、「お客様を幸せにすること」だ。そのために、知恵や知識、テクノロジーや労力を提供し、その行為によって対価を頂く仕事であることを理解させなくてはならない。

「営業とはどんな仕事だと思いますか?」

新人研修の冒頭でこんな質問をすると、「お客様とエンジニアの間をつなぐ仕事」、「商品を売ってお金を稼ぐ仕事」、「お客様の課題の解決をお手伝いする仕事」などなど、知ったかぶりで表面的な答えが返ってくる。それは仕方のないことではあるが、だからこそ、営業という仕事の意義を理解させ、その意義に感動させなくてはいけない。

ただの精神論では、それは伝わらない。営業という仕事を分解し、そのプロセスを理解させ、体験をも交えながらその苦労を語り、成果を知らせることだ。体験とは自慢話ではない、お客様がどのような価値を享受したかを、その過程と共に客観的に伝えることだ。そして、それがどれほどすばらしく感動的なことかを自らの感性で語ることだろう。これが、「喜び」を伝えることになる。

もうひとつ忘れてはいけないのは、彼らが関わるこのビジネスやテクノロジーの「未来」だ。これは、営業やエンジニアに関わらず、新人すべてに伝えなくてはいけない。テクノロジーのトレンドはこれからどのような方向に向かってゆくのか。それが、自分達の未来にどうつながってゆくかを語らなくてはいけない。また、そんな未来に連なる自らの会社のビジョンを語れなくてはいけない。

混沌とする今の時代にあって、具体的方法論や事業戦略を描ききれずにいる企業も少なくない。しかし、それでも未来はやってくる。一年先は語れなくてもいい。5年先、10年先の未来に完全な正解はないが、語れる可能性は沢山ある。その見通しを伝え、新人達に未来を託す言葉を伝えるべきだろう。

続ける手段

「朝のゴールデンタイムを作りなさい。朝の1時間が君たちの一生を大きく変える。朝を征すれば未来を征すだ。」

「まず今日一日のイメージトレーニングをする。今日の一日をどう過ごすか、できるだけ具体的にイメージしてみる。そうすれば、そのために何をしなければならないかが思い浮かぶ。できる営業は、段取りがいい。彼らは、次に何をするかを先読みして前始末をしている。後始末ばかりの営業は、お客様から、だめな営業と評価される。」

「あとは、いま自分に必要な勉強をすれば良い。それは自分で見つけることだ。」

私は、新人研修で必ず、こんな話をしている。

去年ベトナムで、地元企業の方から、採用に当たって次のような基準を設けていると伺った。

「いま何ができるかは重要ではありません。新しいことに興味を持ち、自分でどんどん勉強できる人材を採用しています。この業界で求められるスキルは、いつ変わるか分かりません。その変化に適応できる人材が必要なんです。」

全くその通りだ。いま何を学ぶかは、必要に応じて変えてゆけば良い。それよりも、大切なことは、学ぶ時間を自らの生活の一部に組み入れることだ。そういうことをしっかりと教えなくてはいけないだろう。

先日、4年前に教えた生徒から、「朝のゴールデンタイム、今も続けています」と話してくれた。他の人から伺ったが、彼はなかなか社内でも評価が高いそうだ。

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このようなことを学ばせるとき、座学だけではうまく行かない。内省と発表を交互に織り交ぜ、言葉として表出させることが大切だ。また、新入社員だけではなく、受け皿となる組織の責任者や、本人の育成担当上司なども巻き込む必要がある。これについては、明日詳しくご紹介しよう。・・・続く

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目次

  • 第0章 最新ITトレンドの全体像を把握する
  • 第1章 クラウドコンピューティング
  • 第2章 モバイルとウェアラブル
  • 第3章 ITインフラ
  • 第4章 IoTとビッグデータ
  • 第5章 スマートマシン

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最新ITトレンドとビジネス戦略【2015年1月版】を公開しました

ITのトレンドとビジネス戦略について、集大成したプレゼンテーションです。毎月1回、「テクノロジー編」と「戦略編」に分けて更新・掲載しています。

【2015年1月版】より「テクノロジー編」と「戦略編」の2つのプレゼンテーションに分けて掲載致します。

「テクノロジー編」(182ページ)

  • ストーリー展開を一部変更しました。
  • 「クラウド・コンピューティング」の追加修正
    • Webスケールとクラウドコンピューティングについて追加しました。
    • パブリック・クラウドとマルチクラウドの関係について追加しました。
  • 「IoTとビッグデータ」の追加修正。
    • M2MとIoTの歴史的発展系と両者の違いについて追加しました。
    • ドイツのIndustry 4.0について追加しました。

「ビジネス戦略編」(49ページ)

  • ストーリー展開を一部変更しました。
  • 2015年問題の本質というテーマでプレゼンテーションを掲載致しました。
  • 人材育成について
    • 生き残れない営業を追加しました。
    • エンジニアの人材育成について新たなプレゼンテーションを追加しました。

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