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「センスがない」とは無知であると同じ、軽々しく使わない方がいい

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「自分はセンスがないからなぁ」

こんな言葉を人から聞くこともあれば、自分でも使っている。謙遜の言葉として素直に受け取れば良いのだが、ひねくれて考えれば、これは自らの無知をさらけ出している言葉なのかもしれない。

センスとか感性というのは、知識や理論である。例えば、相手を唸らせることができる何かを示せたとき、相手は、その人をセンスが良い、感性が高いと評価する。それは、経験に裏打ちされた知識があるからであろうし、唸らせるほどの論理的根拠があるからだ。芸術も知識や論理だ。自分にはない、知識や論理を示し、相手を感動させる。

だから、人は誰しもセンスや感性を育てることができる。「センスがない」とは、「知識を持っていません」あるいは、「知識を増やす努力をしてきませんでした」という宣言である。

ひとは、誰しも自分の力でセンスや感性を育てることができるのであり、「センスがない」とは、自らを脱落者と宣言するようなものだ。

生まれ持ったものであり、神様から与えられたものがあるとすれば、それは種の大きさかもしれない。誰もが、万能の種を持っているが、ある分野で突出した才能を発揮する人がいるが、それは、その分野の種が大きかったのだろう。しかし、そういう人であっても、それを磨き、育てなければ、芽も出なければ、実もつけない。

「営業のセンスがない」と嘆く人がいる。確かにその通りと思える人がいる。しかし、その人は、営業という仕事の知識や理論を持っていないだけのことである。経験を積めば何とかなるという人もいるが、それは違う。営業という仕事の知識や論理を学べる経験がなければ営業のセンスは育たない。営業という職を与えるだけで、さあ、営業になれと言っても、営業という仕事の知識体系を学ぶ機会や職場が無ければ、営業のセンスなど身につけることはできない。

センスや感性を育てる上で、必要な態度が3つがある。それは、素直、行動、忍耐だ。

まずは素直で無くてはならない。論理的な批判や議論は大いに結構だが、なるほど思えることは、素直に受け入れ自分の知識を修正することだ。自分の知識にこだわり、抵抗する人の多くは、自分をよく見せたい人たちだ。自分のよりどころが崩れるとかっこが悪いから抵抗する。そういう態度では知識はアップデートされない。

次に行動することである。試してみるといってもいい。自分の知識や論理が正しいかどうかを行動で試し、確認し、間違っていれば修正することだ。あるいは、行動することで、いろいろな人と係わり、体験的な知識を拡げることである。失敗もまた、知識を増やす。

忍耐も必要だ。残念ながら、知識を詰め込んだ錠剤を一錠飲めばいいというわけにはいかない。時間とコストと他人の評価に耐えなければいけない。

天才にはなれないかもしれないが、センスや感性を育て磨くことはできる。最近流行のフルスタックだって、おなじだ。人はそういう努力をすれば、どんな分野でも人並み以上のセンスや感性を手に入れることができるはずだ。そういう人のことをフルスタックな人と言うのだろう。

生まれ持った種の大きさの違いで、得意不得意の違いは出てくるだろう。こだわりの違いもあるかもしれない。そういうフルスタックな人たちでチームを作れば最強だろう。

「自分はセンスがない」という言葉には、気をつけた方がよさそうだ。

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