【図解】コレ1枚でわかるAIと人間の知能の違い・身体性
人間の知能とAIの根本的な違いのひとつは、身体性(Embodiment)です。
身体性とは、人間は感覚器官や運動能力を使って、能動的に環境に働きかけ、その相互作用から知識を生みだすことです。一方、人工知能に「身体」はなく、人間が与えたデータの範囲でしか知識を生みだせません。
私たちが知識を習得するプロセスは、言葉や数字、画像などの記号データだけを使っているわけではありません。身体に備わっている身体感覚や運動能力を使った物理的環境との相互作用で、これに適応しようとする過程で、私たちの思考、学習、記憶を形成しています。これにより、人間は複雑な概念を学習し、「誰もが当然のこと」としている一般常識を持つことができます。
一方、人工知能は身体を持ちません。そのため、人間が与えたデータの範囲内で情報を処理します。当然、「一般常識」を持つことはできません。この問題を解決しようと、ロボット研究の分野では、ロボットに搭載されたセンサーを通じて環境から情報を収集し、その行動を物理世界に最適化するように調整して、人間に近い学習を実現しようとの研究が行われています。しかし、人間の身体性と同じレベルの統合性や柔軟性を達成することはできていません。
人間は、この身体を使った体験や感覚を言葉や概念に結びつけて、知識を作っています。これにより、抽象的な概念や言語が、具体的な体験や物体などの物理世界と結びつけられます。このような人間ならではの身体性があるからこそ、私たちは、豊かな言語理解や創造的な思考ができるのです。
AIは、大量のテキスト・データを処理することで言語のパターンを学習しますが、言葉と具体的な実体や体験を結びつけられません。そのため、文脈に依存する意味や微妙なニュアンスをうまく処理できないのです。これを、「記号接地問題(symbol grounding problem)」と呼びます。
このように、身体性は、人間の知能とAIの根本的な違いを示しているとも言え、このギャップを埋めることは、容易なことではありません。
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