311から二年の宮城・福島(2) 日本が試されている福島
この3月10日に被災した沿岸部を、仙台駅→石巻→東松島→閖上→山元→相馬→南相馬→飯館→福島駅とまわってきたことを昨日
311から二年の宮城・福島(1) 先が見えない被災地
に書いたが、そのつづき。
相馬市の活動拠点で、「ITで日本を元気に!」メンバーの一人、加藤英太郎さん(右)が理事を務めるBridge for FukushimaにETICの右腕プロジェクトで参加し地元でリーダーシップを発揮する小沼亮さん(左)が、支援活動について説明くださいました。
妊婦さんや小さな子供のいる家庭に、ペットボトルの水をくばっったり、お母さん同志のこみぃにケーションやコミュニティづくり、そして地元コミュニティビジネスと大企業の接点づくりを図っています。
大企業から提供されたソフトドリンクと水。学校では水道の水を飲んでいいと先生が言っているそうですが、心配する人が多く、飲料水を別途調達しています。
自転車が置かれているのは、屋外で自転車の練習をさせるのを懸念する家庭が多く、倉庫内で練習させているため。とにかく、みな不安で心配しています。
一年前の3月11日に相馬市、南相馬市、相馬郡飯舘村から福島駅にかけてまわりました(「ITで日本を元気に!」311宮城・福島にて(4) 心痛の福島)。今回も同様ですが、前回は原発から20kmは立入禁止…今回はそれが10kmになっていました。
参考:河北新報ニュース 焦点/南相馬・小高区 警戒区域解除1ヵ月/地域経済復活見えず
上記拠点から(原発から)20km線を超えて、15kmほどの位置にある南相馬市小高区の久米さんが営んでいた旧・東北新日軽相双店へ。津波のあとが窓に残ってます。久米さんは原発の爆発の煙と音を見聞きしたそうです。それから避難して、ずっと戻れず…戻れるようになってから、ここを復興に役立てたいと、何十人かのボランティアの力を借りて泥をカキだし、修理を進めています。電気は通っていますが、水道などインフラはまだ。まだ泊まることは許されていません。なお、20km圏内は、自治体でなく国が管轄で、その線を超えると復旧の様相がすぐ見て分かるほど一変します。
ゴミがだくさん出ますが、持ち出しは禁止。
上記の久米さんの拠点の内部。まだ修復の途中です。久米さんは誰に頼まれたわけではないですが、何かしなくちゃと、行動を起こしました。それで、Bridge for Fukushimaとも連携。個人よりも組織にした方が、発言しやすいということで、団体化を進めています。
久米さんの話は胸に刺さります。
国のコミュニケーションやものごとの進め方が、かなりおかしいと感じました。人の心を軽視したやり方は、確実に不信感を高め、不安や精神的な疲れを増幅しています。
これから先、どうすればいいのか、前提(ほとんど決まっていないに等しい)がわからないから決めようがありません。
ここから10kmの警戒線まで移動しました。地震の傷跡がところどころにありますが、放置されています。普通の街並のところもありますが、人が住んでいない様子はありありと。学校のグラウンドは草がぼうぼう。道路も亀裂がのこってます。
「廃棄物仮置場をつくっています」
クルマをおりて、10kmの警戒線に歩きました。小高は、とてもよいところ、と言う久米には愛を感じました。
が、これが現実です。
20kmより遠く離れた飯館村です。ここは封鎖されていませんが、パトカー以外に人気はありませんでした。真っ暗で星がよくみえました。
線量計は10km線の10倍ほどの数値を示しました。
20km圏内は国が管理で、10kmは立ち入り禁止ですが、放射線が強い飯館村はそうじゃないのは不思議な気がします。
お金を渡すのはいいのですが、渡し方に問題を感じます。パチンコ屋が大繁盛している様には、危機感を覚えます。小出しに渡すのでなく、まとめて渡してくれた方がいい、生活設計できるプランを示して欲しい、といった声もあります。
また、新聞に もとの家に戻るならお金を支給 と突然報じられ、それをみて、金のために戻るんじゃないよ、と涙がでて気持ちが不安定になったと、久米さんは言います。
不安とストレス、家族も仕事も先がみえない・・・現時点では放射能よりも、心の問題が健康を大きく害しています。こういう報道もあります。
参考:配偶者間暴力、被災地で深刻=福島で6割超―児童虐待も過去最高を記録【震災2年】(時事通信)
日本が試されている試練です。特に原発事故関連の被災地と被災者がどうなるのか、世界が注目しています。
それから、風評被害は重いです。知人の食のプロの方は、全量検査してるから福島の食材が最も安全だ、と言います。福島でなくても、被災地のガレキについて、ヒステリックな反応をしている人がいますが、世界からみて、そういう言動は日本そしてその人の不利益になるのです。日本全体に対して、各国は不安視していることを忘れてはなりません。
「ITで日本を元気に!」の三十数名でまわりました。
今回は情報発信を図り、いくつか発信されています:
「課題先進地」としての東北は今――3.11にIT企業が議論 (1/2) ITmedia エンタープライズ
問われる東北の発展、ITで日本を元気に! などが仙台でイベントを開催 BCN 最もす。
あの日から2年の3.11、復興を導くITのチカラが仙台に結集! : EnterpriseZine
東出さんブログ「「ITで日本を元気に!」石巻から南相馬(小高区)を辿る(2013年3月10日)」
このほか昨日のブログに記しています。