汎用機はやはりえらかった。
PS3のanother storyを追ったこの記事。
とても読み応えのある、技術者にとっては大変おもしろい話になっています。ところで、私がやはり確信を深くしたのは、汎用機はやはりえらいのだということ。ここで言う汎用機というのは、特定の用途のために作られたハードウェアではなく、コンピュータが処理できるすべての処理が可能なハードウェアという意味です。特に印象的なのがこのくだり。
わずか1カ月あまりで大きく進化した新ファームウェアは、BDリモコンが発売される12月7日に、BDリモコン対応ファームウェアとともにインターネットからダウンロード可能になる。今までの音楽プレーヤーには無かったことだ。
すでにご存知の通り、PS3, Cellはゲーム機という狭いレンジのアプリケーションのために設計されたハードウェアではありません。
「汎用機にする」というのは、実は非常に強い思想が背景に必要になります。ソフトウェアしだいで(コンピュータが扱える、すなわち計算可能なものなら)どんなものにでも使うことができるという思想があってのことなわけです。つまり、主役はソフトウェアなんだよという強い思想があって、(一時的にみると)無駄なハードウェアに対する投資を許すことになります。
System/360もそうやって生まれた機械でした。PS3が成功するか失敗するか、ここで議論することは避けておきますが、PS3は、明らかに汎用機としての思想を受け継いだハードウェアであり、ソフトウェアに対して無限の可能性を開いたシステムであろうとはいえましょう。
最近、特定処理のためのハードウェアが一部はやっているところがありますが、ソフトウェアをやっている人間として、ソフトウェアの可能性を信じてくれている、こういう汎用機を応援したいものではあります。
私はまだゲーム機を買ったことはないんですが、PS3は買ってみてもよいかなと思わされています。まぁ、PS3を買ってもゲーム機を買ったことにはやっぱりならないのかもしれませんね。
余談ですが、アクセシビリティも、この汎用機という発想に助けられているところがあります。今ではごく普通のPCがPCMを再生可能なわけで、ソフトウェアの力で音声合成をして視覚障碍者のためのシステムを作り上げることができるわけなのですから。