部下が研修に行っていることを上司が知らないのは誰の責任?
人材育成や教育に携わる人とご一緒に「参加者に喜ばれる研修を提供したい」。
そんな思いから、「使える研修を企画・運営するためのアプローチ」について紹介する第5回目。今回から、実践につなげていくための研修構成について考えていきます。
研修構成とは?
研修構成を考えるとき「当日のプログラムをどうするか」に意識が向きがちです。しかし、そのプログラムを考える上で大事なのが「研修前」と「研修後」の参加者の状況を視野に入れておくこと。
特に視野に入れる必要があるのは、参加者がおかれている「環境」と「心理の変化」です。今回はまず「環境」に焦点をあてます。
なぜ「環境」を視野に入れるのか?
今から20年以上前、私が人材育成の仕事に携わり始めた頃は、「環境」をあまり考える必要がありませんでした。というのも当時研修は「業務基盤」として位置づけられ「活用するタイミングで学ぶもの」だったからです。そのため、研修から戻った後の職場では「あの研修受けたからわかるよね」といった会話になるぐらい誰もが知っているものでした。
しかし、職場のIT化が進むにつれ職場環境は大きく変わりました。1990年代と比較すると、人との関係性やコミュニケーションのとり方は劇的に変わりました。さらに、グローバル化も進んでいます。そうなれば当然、研修プログラムも変化し多様化していきます。
その結果、上司・先輩・後輩・部下、それぞれが受けた教育は異なります。また時期によっては教育をしなかった時期もあるなど、内容だけでなく、参加暦もバラつきがあります。
そのようなバラつきは、プログラムの次の要素に影響します。
・研修の難易度の設定
・討議や実習の時間配分
(研修に慣れているかどうかで時間のかかり方、回数などに影響)
・過去に実施したプログラムとの重複を避けるため
・研修に対するイメージへの対応を図るため
(よいイメージの場合、そうでない場合)
以上のことから、過去に実施した研修の「参加者」「テーマ」「内容」は、概要を確認しておくことがポイントです。
また、上司と参加者が同じ教育を受けていない場合は、上司にも共通認識を持ってもらえるように進めていく必要があります。
もし、共通認識を持っていないと
「あいつ、数日いなかったと思ったら、研修だったんだ」
と、部下が研修に参加していることすら知らなかったり、
「研修にいってる暇なんかないのに」
「あんなの行っても意味がない」
と、学ぶ前から気持ちを冷やしたり、学んだ後もやりにくく、結果として学んだことが活かしにくい状況にならうからです。
実は、上記の上司のセリフは、私がコーディネートした研修で、参加者の方が上司に言われた言葉として聞きました。それを聞いた瞬間は、「上司~」と情けない気持ちになりましたが、しばらく経ってから、上司に理解をしてもらえるようなアプローチができていなかった自分のせいでもあると猛省しました。
以来、上司にも理解をしていただけるようなアプローチを、お客様の状況が許す限り対応しています。対応の方法はまた別途記事にします。
今回の内容は、研修を構成する上での「現状把握」といえる部分ですが、現状把握をしておくかどうかで効果は大きく変わります。ひと手間かける価値のあるプロセスです。
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