研修企画は、サブタイトルから考える
人材育成や教育に携わる人とご一緒に「参加者に喜ばれる研修を提供したい」。
そんな思いから、「使える研修を企画・運営するためのアプローチ」について紹介する第3回目。今回は、「研修企画は、サブタイトルから考える」です。
企画は、つい盛りだくさんになりやすい
研修企画を立てる際、対象者を思い浮かべ、対象者の上司の意見を聞き、他社で実施している研修内容などを見ているうちに、あれも必要かも、これも必要かも・・・と、盛り込みたい内容が増え、
実施後のアンケートに、
・時間が足りなかった
・もっと討議(や実習)の時間がほしかった
・忙しかった
と書かれることはないでしょうか。
講師としても、
・せっかくの機会だ
・ご担当者様やかかわる人の期待に応えたい
・伝えたいことがたくさんある
ことから、気づくと内容が盛りだくさんで、実際の運営では後半になるにつれ駆け足になってしまうことがしばしばあります。
では、どの程度内容を盛り込んでよいのでしょうか。理想としては、
個人的な経験則をもとにすると、例えば、9:00-17:00の研修時間であれば、16:30ぐらいに終了するぐらいのボリューム感がちょうどよいイメージです。
30分程度の余白を残していると、参加者の様子を見ながら、プログラムの途中で質問が出た場合の対応、討議を深めるための時間延長、実習回数を増やす、などが可能となるからです。
そのような対応が必要なかった場合は、最後のまとめの時間として、全体の振り返り、職場実践に向けた感想交流、質疑、アンケートの記入などにあてられます。すると、理解が深まり、職場実践へもつながりやすくなります。
「散漫」になると、実践につながりにくい
また、盛りだくさんになることは別の課題もはらみます。内容が多すぎ散漫になることです。参加者からすると「色々やって大変だった」という印象だけが残り「で、何をやったっけ?」と、本来持ち帰るべきことが印象に残りにくくなってしまうのです。
・時間が足りない
・散漫
いずれも企画段階で解消しておきたい課題です。
職場実践につなげたければ「サブタイトル」から考える
では、そうした課題に対しどのように取り組めばよいでしょうか。
プロの講師を対象に「行動変容が起きるセミナー企画・構築の考え方と進め方」のコンサルタントとして活躍するマイルストーン代表の水野浩志さんは、「高品質セミナー作成講座」というDVD教材の中で次のように伝えています。それは、
「今日の研修が何らかの理由で、たった一言で終わらざるをえない状況になったとしても伝わるキーメッセージ、すなわち"一番伝えたいことは何か"を絞り込むこと」と。
そして、その「一番伝えたいこと」を、「基軸」と呼んでいます。
このような考え方を元にSix Stars では、ご担当者様とのお打ち合わせで
「この研修で、一番伝えたいこと(職場でとってほしい言動)は何か」
についてディスカッションを行い、それを「サブタイトル」にしメッセージ化しています。
その背景に、企業内研修の多くは、タイトルが「役割」、「対象」、「タイミング」のみであることがほとんど。例えば、
・新任管理職研修
・リーダー研修
・中堅社員研修
・新入社員研修、フォローアップ研修
などです。
これらのタイトルからは、学びどころがいまひとつ伝わりづらいのです。
サブタイトルの例
そこで、サブタイトル(一番伝えたいこと)を検討します。一例をご紹介すると、ご担当者様からのアイデアで、私が「秀逸」と感じたのは次の3つです。
(例1)新入社員フォローアップ研修
~今、私たちにできることを見つけよう!~
(例2)電話応対スキルアップ研修
~さわやかな応対がお客様を呼ぶ~
(例3)リーダー研修
~それぞれの強みを活用しチームとしての総合力をあげる~
サブタイトルをつけると、そのプログラムが何を意図しているのか、はっきり伝わりませんか。
サブタイトルの2つの効果
プログラムが意図することが明確になれば、研修で何を伝えるか、どのようなワークや実習を取り入れるべきかがとても考えやすくなります。
さらに、サブタイトルにより共通の成果イメージが具体化できると、講師の選定、事前課題・事後課題、案内など、企画・運営・実践へとつなげる過程の判断がしやすくなり、とても生産性があがります。
サブタイトルを考えるかどうかでずいぶん違いがうまれるなぁと、日々実感しているのでお勧めのアプローチです。
次回は、「オリエンテーションの役割」です。
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