部下に「行動を変えてほしい」ときは
6月に入り、弊社サイトの検索上位キーワードの大半が「行動変容」で占められています。それ以外は「価値観」「新入社員」「配属先」なども入っています。なぜ「行動変容」について知りたいんだろう?と思いましたので、今回はその辺について考えてみます。
「行動変容」とは何か?
ちなみに「行動変容」は、もともとは、喫煙習慣や過食などの悪習慣全般の改善に関する用語です。習慣改善のプロセスを「行動変容ステージモデル」といい、本人が悪習慣改善の必要性を感じていない状態(無関心期)から、「このままではまずい」という関心をもち(関心期)、そして、「1ヶ月以内に何かに取り組もう」(準備期)という意思を示し、一定期間改善に取り組み(実行期)、6ヶ月以上改善された状態が続く(維持期)状態をさします。
組織を取り巻く環境が大きく変化する中で、管理職やリーダーに「変革意識を持たせたい」や「(主に研修などで)意識と行動を変え、成果を出してほしい」という要求が高まり、企業教育の中でも「行動変容」という言葉を活用する機会が増えています。
さて、このような意味を持つ「行動変容」について、一体誰が知りたいと思っているのでしょうか?
もしかしたら、次のようなことが影響しているのか?と、思いあたることがありました。
「ジェネレーションギャップ」に悩む管理職世代
最近、管理職世代から「若い子とのジェネレーションギャップがあり過ぎて困る」という話をよくお聞きします。どのようなジェネレーションギャップをお感じになっているかうかがうと、
・言葉づかい(「やばい」「マジ」など、言葉の使い方がまったく違う)
・礼儀作法(上司や先輩に対してもフラット)
・言葉と行動に乖離(「わかりました」という返事でも、何がわかったか確認が必要)
・集団行動(マイペースで、集団で移動中でも乗るべき電車に乗り遅れ)
・状況で態度が変わる(一人のときは礼儀正しくとも、集団になると気づかないふり)
など、コミュニケーションに関するギャップを感じることが多いようです。
このように並べて見ると、「行動を変えてもらいたい」と思う要素ともいえます。そのため、「行動変容」なるキーワードを検索しているのか?そんな気がしました。
どうしたら、問題行動が改善されるのでしょうか?
さて、それではどうしたら「行動変容するか」です。が、プロセスを見ていただくとわかるとおり、「本人が関心を持つこと」が前提となるので、「本人が問題意識を持つこと」ができないと、行動は変わりません。
そこで、20年以上も前の自分のことを振り返ってみました。すると、今思うと私は、当時の上司から見たら「困った人」だったと思います。というのは、かなり「注意」を受けたからです。
ではどのようにして、「行動変容」していったかというと、
まずは「注意」を受けました。例えば、「わかりました」と答えたら、「どこがわかったか言ってくれる?」と聞かれましたし、身だしなみに問題があるときは、「そのスカート短すぎ!ありえないよ」など、連絡なく遅刻をすれば「あなたのことを信用してたのに、裏切られた気持ちがした」など、組織風土にそぐわない行動をとれば、しっかり「注意」を受けました。
但し、同期の中には同じように注意を受けても「馬耳東風」で、まったく意に介さない人もいました。
でも実は、その「馬事東風」だった同期も、ある時期から見違えるように変わっていきました。それがどのようなときかというと、「大きな期待をかけられたとき」です。その同期の場合、「下っ端扱い」をされているうちは、周囲の注意を一切聞き流していたのですが「持ち上げられた」途端にまるで変わり、周囲に注意を促す側になっていました。
面白いですね。
このように、行動を変えるきっかけというのは、人それぞれのようです。
問題行動改善への取り組み(私の場合)
といっても、人それぞれ・・・という結論では、この内容から何も得られないので、私が取り組んでいることを3つ紹介します。
1つ目は、「注意が必要」だと判断したら、「注意する」こと。その際、なぜダメなのか、その理由と今後の影響を自分や共通して知っている人(上司のことや、場合によっては著名な人)の経験を元に伝えます。
2つ目は、「環境をつくる」こと。その人が気づきやすくなるような場や機会を設けることです。必要に応じて、周囲の協力(社内に限らず、社外の方の力を借りるなど)を得ています。
3つ目は、「信じる」こと。ついつい、ダメなところに目がいきますが、相手にとっては、そこばかり見られてもつらいもの。かえって萎縮し逆効果になります。そこで、相手のいいところを見つけることと合わせて、「できること」を増やしていくよう支援します。すると、その「できること」が増えるにつれ、問題が徐々に改善されるなぁ・・・という実感があります。
と、私の場合は、主に3つを中心に取り組んでいます。
他にも色々なアプローチ方法があると思うので、身のまわりの方などにも聞いてみると、似たようなことで悩んだ経験があるかもしれません。ぜひ、ご自身に合ったアプローチ方法を見つけていってください。
(参考情報:「行動変容ステージモデル」については、「厚生労働省e-ネットヘルス」に解説があります)
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