結果が出るリーダーと出ないリーダーの違い(青学陸上競技部 原監督の講演から)
組織における仕事では、様々なステークホルダーからの要求や関係者に対し気遣いをしているうちに、本来の目的や目標が薄れ中途半端になり、結果的に誰の満足も得られない、評価されない、そして、自分も仕事にやりがいを感じられなくなる。このような状態になることはないでしょうか?
そんな時こそ、リーダー(経営者、マネジメント職、リーダー職)である人は、「自分はどうしたいのか」を明確にし、覚悟を持って取り組むことが大事であるー
ことの重要性を、先般行われた大塚商会さんの「実践ソリューションフェア2016」in東京、青山学院大学陸上競技部 原監督の「青学陸上競技部躍進の秘密~箱根駅伝に学ぶ人材育成術~」ご講演から改めて気づかされました。
結果が出るリーダーと出ないリーダーの違い
当初私は、メディアなどで取り上げられている「ハッピー大作戦」のような育成におけるアプローチ上のヒントを得ようと本講演に申し込み、それを楽しみにしていました。講演の中では、そのようなエッセンスも豊富に紹介され、それはそれですぐに取り組める実践的な内容であると感じました。
しかし、取り組みを進めてもうまくいかない組織も多いもの。その違いがどこにあるのか、その違いが何なのか、それをつかもうと意識を向けていると、原監督が繰り返し使っている言葉。そこにヒントがあると感じました。
その言葉は、
「覚悟」
原監督はその言葉を、陸上選手時代に結果を出せなかったこと、故障してしまいその後の経過が悪く、選手抹消となったのは「自分の覚悟が足りなかったから」とお話され、また、会社員時代にあちこちの職場をたらい回されみじめな環境下に置かれたのも、「覚悟が足りなかったから」という話の中で使っていました。
原監督が繰り返し使う「覚悟」の意味とは?
それではいったい原監督がおっしゃる「覚悟」とは何なのでしょうか?
お話を聞く中で私が感じたのは、次のようなことです。
「自分が描く理想(夢や目標)」をもたず、環境に流されるままに、
自分の人生に責任を持つことなく過ごすこと
これが、「覚悟のない状態」であったと感じました。
その状態を一番明確に表していたエピソードは次のような話です。
それは、青学の陸上競技部監督にオファーをもらったときの話。
もう一度自分の人生にかけてみたいという強い思いを持った一方で、
その条件について迷ったという話です。それは、
・嘱託職員の扱いであること
・3年で成果のめどがたたなければ契約が打ち切られること
・東京で暮らすこと
しかし当時の原監督は、
・マンションを買ったばかりで3000万円近くのローンを組んだばかり
・中国電力関連の組織に所属していることから、
一定以上のお給料とある程度将来の保障がされている
以上のことから、将来へのリスクを回避するために原監督は会社(上司)に、
「出向扱いにならないか」と相談をもちかけます。
すると上司の答えは、
・我々のビジネスエリア以外での出向扱いは認められない
・そもそも「結果を出す」ことを要求されているにもかかわらず
「リスクをとらない姿勢」というのは、いかがなものか
だったそう。
上司は「退路を立てない気持ちの甘え」を看破し、決断を促すことを原監督に求めた、といった話でした。
そこで原監督は「覚悟」を決め、一定期間をとって奥様の説得に取り組んだそう。
当初反対されていた奥様も「ずっと愚痴ばかり言う人生に付き合うよりは・・・」ということで、奥様も「覚悟」を決められたのでしょう。その「覚悟」により、原監督が誕生したわけです。
「戦略」・「戦術」は「覚悟」なくして生きてこない
そして、自分の人生にあらためて「理想」を描き、その理想に向けて取り組む中で、自分がどうありたいか、そして、自分がどんなチームを作っていきたいかを明確にされたようです。その試行錯誤の中で生まれたのが、様々な戦略(方針・基準など)や戦術(ハッピー大作戦など)です。「戦略」や「戦術」は「理想」と「覚悟」があって生きる、このことにあらためて気づきました。
特に、選手を「陸上選手」としてのみならず「ビジネスで活躍できる人を育てる」といった、一人ひとりの将来を見据えた人材育成ビジョンは、原監督のそれまでの人生の反省にもとづいた、ご自身の「覚悟」の表れではないかとも感じます。
「覚悟」がある10年、「覚悟しきれない」10年の大きな差
ちょうど、原監督が青山学院の監督に就任されたのは、私が創業する2年前。また、原監督は学年は1つ上ですが、同じ申年生まれ。「覚悟」をもって取り組んだ原監督と、「覚悟をしきれなかった私」ではこの10年でずいぶん差がついたものだ・・・と、自分に対してがっかりしました。
一方で、「覚悟をする」ことにより10年後の私が大きく変わるのであれば、そこにあるのは「希望」。これは、「覚悟しがいがある」とも思ったのです。
「10年がかり」が良さそうだ
また、原監督は「電力の仕事に携わっていたことから、長いスパンの目標や計画を持つ習慣がついていた。それが、今回の結果にもつながっているのではないか」といった主旨の発言もされていました
一般的な組織目標は、多くの場合単年度になっているので、そこでの結果の出る・出ないに一喜一憂することになります。そうなると、自分の責任というよりも、目標、方針、環境といった外部要因の影響を少なからず受けます。
一方、組織目標とは別に、自分が考える「10年後の理想の状態」を描くと、自分が責任を持つ意識と姿勢を持って取り組むことができます。この「自分の目標」を組織目標とは別に10年程度を目安につくり目指すこと。一般的な社会で働く私たちにとってはこれが自分を支え、自信を醸成し、ひいては周囲にも良い影響を及ぼすポイントとなりそうです。
なかなか結果が出ない、認められない、自分の思うような人生になっていない、ことにモヤモヤとした思いがある方は、「10年後の自分はどうなっているのが理想か」、「そのために自分が覚悟を持って取り組めることはないか」を考えてみると、自分の人生に希望が生まれるきっかけになり、人生をよい方向に促してくれることになるのかもしれません。
私たちそれぞれに、自分と自分がかかわる人たちの人生の「総合優勝」!
こんな日を目指して、取り組んでいきたいですね。
Six Stars Consulting~夢を創り、夢を育む~
<Six Starsの講師登壇セミナーのご案内>
3月3日開催 リーダーのための職場活性化講座 主催:東京商工会議所様
3月9日開催 経営理念を会社に浸透させる方法 主催:商業界様
※セミナーに関するお問い合わせ、お申し込みは直接主催者様へお願いいたします