我慢強い人ほど知っておきたいスキル
「セルフモニタリング」という言葉をご存知でしょうか?「セルフモニタリング」とは、『自分の行動や考えや感情を自分で観察記録すること』 (大辞林)と定義されています。概念が伝える範囲は広く、「日記」もその1つです。今回はその中でも、「その場で自分が思っていることを捉える」ことの重要性とその技術をお伝えします。
職場でよくあるケース:仕事のキャパオーバー
上司:「悪いが、君には、今までA社とB社を担当してもらっていたけれども、○○さんが異動になるので、これからは、○○さんの担当先のD社とZ社も頼むよ」
担当者:「えっ、そうは言っても、A社とB社で手がいっぱいなのに、D社だけならまだしも、Z社も・・・、あそこって、なかなか手がかかる先じゃなかったですっけ?」
上司:「そうなんだよ。だからこそ、君にお願いするんだよ。ベテランの君でないと、対応ができないだろう」
担当者:「まぁ、そうですけど・・・、でも、ちょっと時間的には難しい気がするんですが」
上司:「申し訳ないな。しばらくしたら誰かに任せるから。当面の間、頼むよ」
・・・一定期間経過後
上司は異動。人が増える気配はなく、担当者の仕事はどんどん積み上がっていく一方。
担当者も、最初は窮状を訴えていたものの、いつも「なんとか頼む」で片付けられていく中で、訴える気力も消え失せ、ただ粛々と仕事をこなす日々。
組織の課題を伺うと、どこの組織も上の話とよく似た状況であるとおっしゃいます。
本当は早急に組織の問題も解決しなければなりません(もし、本ブログを経営者や組織をまとめるお立場の方がご覧くださっていたら、予算・人員・納期など、負荷の偏りなどの有無を把握し、早々に手をつけていただくことをおすすめします)。
しかし、その解決を待たずとも、私たち一人ひとりは、「自分の感覚が麻痺した状態」を早く解消することが必要です。感覚が麻痺したままでいると、気づかぬうちに「疲労」や「マイナス感情」が蓄積し、心身の健康が損なわれます。
自分の感情を「モニタリングする」とは?
「モニタリング」は、簡単なスキルです。例えば
上司:「いつも悪いが、この件引き受けてくれないか」
自分:「はい、わかりました」
という会話があったとします。
そうしたら、「はい、わかりました」の後にくる感情について、
「○○と感じているんだなぁ」と自分の感情を客観的に捉えます。
例えば、
「はい、わかりました」
(「何でいつも自分ばかり・・・、またかよ」と、感じてるんだなぁ)
「はい、わかりました」
(「もう、今ある仕事で目いっぱいなのに・・・」と、感じてるんだなぁ)
「はい、わかりました」
(「あー、もうやってられないよ!いつまで続くんだろう」と、感じてるんだなぁ)
といったようにです。
「○○と、感じてるんだなぁ」と考えること。ここがポイントです。
その他の感情についても同じです。
(あぁ自分は「カッ」となっているんだなぁ)
(「イラッ」としているんだなぁ)
(悲しい・・・と、感じてるんだなぁ)
(辛い・・・と、感じてるんだなぁ)
「○○と、感じてるんだなぁ」と考える。これを、心理学では「情動ラベリング」というそうです。「○○と、感じてるんだなぁ」と考えることで、自分の感情と一定の距離ができます。距離が出来ると、感情の蓄積が抑えられます。すると、解決すべき課題が認識できるようになり、次につなげていく効果があるといわれています。
なお、感情が湧き出たときにやってはいけないこともあります。
それは、感情に「良い」「悪い」という評価を下すことです。
「イラッ」とした自分に対して
→「また、イラついてしまった。なんて自分は出来ていないんだろう」
「悲しい」と感じている自分に対して
→「こんなことで悲しんでいては、いけない」
などです。
私も立場や状況から、弱音を吐くことができません。しかし、弱音を吐きたくなるときももちろんあります。そんなとき、以前は、「まだまだ自分が足りていないからだ」と考え、自分を鼓舞するようにしていました。
しかし、あるときこの「情動ラベリング」を知り、「試しに・・・」と思い、
「あぁ、辛かったんだね、がんばったんだね、わかってほしかったんだね」
と、自分の気持ちを客観視したところ、気持ちが落ち着く感覚が得られました。
気持ちが落ち着くと、その後は自然とやることが見えてきました。それも、無理をする必要のない方向でです。そのようなことがあってから、この方法は時折試し、効果を感じています。
「自分は、我慢強いから大丈夫」と思っている方、ちょっと、試してみてはいかがでしょうか。
~夢を創り、夢を育む~出あいに、感謝
☆★☆Six Stars Consulting からのお知らせ☆★☆
社内で研修やセミナー講師をされている方、ご自身のスキルをもう1段高めてみませんか?
参加者の知識・スキル・意識が向上し、実践を促進する研修を提供できるようになります。
↓↓詳しくは、下記から
社内講師(インストラクター)レベルアップセミナー
~参加者が「やる気になる」、カリキュラム構築3つのポイント~