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HRD(人材の育成、教育研修)の現場から、気づいたこと、アイデアを発信します。初めて人材育成や教育担当になった方でも、わかりやすく、取り組みやすい情報提供を目指します。特に、20代~30代を元気にしたいご担当者様、是非このブログにご参加ください。

負の感情がもたらした、負のスパイラル

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   現場監督層(20代後半)を対象に、6人ずつのグループに分かれて運営する形式で研修を進めていたときのこと。食事後の時間帯に講義が1時間続くプログラム構成になっていました。するとあるグループで、メンバー同士で目配せしたり、消しゴムを投げたりする様子がありました。
   気になった私は、「どうしたの?」と聞くと、「・・・すみません。こうでもしていないと、眠くなっちゃうんで・・・・」。
そこで私は「じゃ、少しだったら眠っていいよ。そのかわり、交代で。その間の内容はほかの人がフォローすればいいから。こういうときに、チームワークを発揮して」と小声で伝えたところ、彼らはきょとんとし「眠っていいなんていわれたのはじめてです・・・」と。
 結果的に彼らはその後、眠ることはありませんでした。むしろ、集中して研修に参加していました。

 「眠っちゃいけない」「眠っちゃいけない」「眠っちゃいけない・・・」そう考えながら参加する研修。その研修の内容は頭に入ってくるでしょうか。入らないですよね。起きているかもしれないけれども、眠っているのと一緒。であれば、少しでも眠り(他の人に迷惑をかけないように)その後で集中したほうが、よほど身になります。

 ただこのような指導を「甘い」と見る人もいらっしゃるので、研修を提供する側としては「眠くならないような運営」をする必要がありますが、今回お伝えしたいのはその点ではありません。

 本来意識を向けるべきことに、向けられていないことって案外多いのではないか、という点です。

「仕事がつらい」ことから始まった負のスパイラル
 私のお恥ずかしい経験談を例に挙げると。

 私が生命保険会社で仕事をしていたときのこと。最初は楽しかった仕事も、1年経つか経たないかのうちに、つらくてつらくて仕方がなくなりました。何がつらかったか。それは「毎月達成しなければならない目標」があったからです。でもそのときの私は、「つらい」ということに意識が向いていたので、「仕事全部」=「つらい」になっていました。

 今思うと、少し見方を変えることができれば、「仕事がつらい」のではなく、つらかったのは「契約がもらえないこと」でした。しかし「仕事がつらい」と考えていた私は、「仕事がいやだ・・・」と思うように。そうなると、仕事に身が入らなくなります。身が入らなくなれば、さらに成績は落ちます。当時私が勤務していた会社では、3年目以降は、マネージメントを目指すのか、営業のプロになるのか進路が分かれます。しかし、どちらに進むにしてもずっと高い目標を上げ続けなければなりません。それができるわけもなく、私は転職することにしました。再就職活動をする中で、入社したいと思ったのが人材育成会社でした。

 しかし、人材育成会社に入社したら、さらに事態は悪化しました。半年以上受注の見込みが立たず、売り上げゼロ。今度は「この仕事は向いてない」と考えるように。

 この頃私は夫に「この仕事向いてないかも・・・」とぼやいたことがあります。すると夫に、「辞めてもいいけど、辞めグセつくぞ」と言われました。(辞めグセのレッテルはちょっと嫌だな・・・)と思ったところから、気持ちが切り替わりることに。
 「仕事は向いてない」と考えるのを止めて、「40歳まで続ける」と決め、お客様への訪問を続けることや、知識を増やすことなど、できることに一生懸命取り組みました。結果、営業成績も上がり、今に至るまで仕事を続けています。

どこに意識を向けるか?に気づくと、何が変わるか

 いかがでしょうか?

 自分がどこに意識を向けているか。それに気づくことで、自分の状況も、得られる成果も変わるとしたら。

 実は、組織が大きくなればなるほど、意識を向ける矛先がたくさんあるので、自分が本来意識を向けるところが、見えなくなってしまいます。「つまらない」「おもしろくない」「向いていない」「合わない」「つらい」「○○が嫌」など。

 そして、そこに意識が向いてしまっていることにも、気がつかないでいる場合も多いのです。そこで、お勧めしているのは、自分にとって「負」の感情がわくものに気づくこと。
 次回は、気づく手順をご紹介します。

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