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組織目標に「げんなり」したら

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組織での仕事歴10年以上になる「30代半ば~40代半ば」のモチベーション向上に関するご相談が多いSix Stars Consultingですが、30代後半~40代半ばの人たちと話をしていると、共通点があることに気が付きました。今日はそのお話を。

「仕事の目標は何ですか?」

お昼休みや休憩中など、研修に参加する皆様とお話をします。その際、ある質問をしています。それは「仕事の目標は何ですか?」です。この質問をすると多くの場合困った顔をされます。そして、先日は次のようなやり取りになりました。

Aさん:仕事の目標ですか?

私:はい、仕事の目標です。今与えられた仕事を通じて、得られるものというか、自分の仕事のテーマというか、そんな感じのものです。

Aさん:うーん、難しいな~。数値目標ならあるんですが。

Bさん:そうだよな。利益目標や、会社として力を入れて取り組む商材の数量の目標や、環境に関する指標、残業を減らす時間数・・・とかはあるけど。

Aさん:そんな感じですね。他の会社では仕事の目標とかあるんですか?

私:いえ、会社として目標を持っているところは少ないんですけど、皆さんぐらいの世代で、数値以外の目標を自分で作って勝手に取り組んでいる人は多いんで、それで聞いてみたかったんです。

Aさん、Bさん:そんなこと、考えたこともなかったな・・・

これが一般的な反応です。しかし私は、この状態が「モチベーションが下がっている大きな原因の1つ」と思っています。そのイメージを図にしてみましたのでご覧ください。

組織で見かける2つの人物像

下図には、「既に目標を前にげんなりしている人」と「目標を踏み台にその先を考えている人」という2つの人物像を描きました。

既に目標を前にげんなりしている人」は、会社に言われた目標(多くの場合出来そうにない)に押しつぶされそうになっているイメージです。その目標を見れば見るほど、考えれば考えるほど、やる気が起きなくなる、「またか。いつまで続くんだろう」という気持ちになる。或いは焦ってしまう。そんな様子です。

目標を踏み台にその先を考えている人」は、会社の目標はあまり気にしていません。もちろん、無視しているわけではありません。それよりも、目標の先にあるもっと面白いことを考えています。会社に文句を言われない範囲で、会社のリソースが使えないか、知恵をめぐらし、あれやこれやと画策する。それが面白くて仕方がない。といった様子です。

組織で活躍する30代半ば~40代半ばを観察していると、大体この2つの人物像に大別できます。その割合は、「げんなりしている人6割」、「その先を考えている人1割」というイメージです。(これはあくまで私の主観です。その他に3割ほど別の人物像もいますが、今日は割愛します)

世界観.GIF

起業するとさらに「げんなり」する(もっと悲惨かも)

実は、数年前(30代後半)までの私も「目標を前にげんなりしている人」でした。起業し、自由に仕事をできる、好きな人としか仕事をしなくていいだろう・・・と、外から見るとそのように思われることも多いようですが、全く逆。

とにかく会社を維持していくためには、利益が必要です。会社を維持するために必要な経費というのは物凄くかかります。その上、リーマンショックのような大きな波が来る。大きな会社でも危機だというのに。そんな状況の中、自分以外の人に迷惑をかけないようにするために必死に仕事に取り組みます。するとある時「一体何のために独立までして仕事をしているんだろう・・・」と思えてくるのです。

売上目標を前に「げんなり」してしまうんですね。

今日明日の予定がわからないのに、その先を考えることなんて、全くムリ。この時しみじみ、「夢や目標って、余裕がないと描けないんだな・・・」と考えたこともありました。

「げんなり」している時間を何に使うか

しかし3年ほど前にふと「げんなりしていたって業績が上がるわけではない」と当たり前のことに気づきました。そこで、「売り上げ目標の先にあるワクワクする目標を具体化し、取り組もう」と発想を切り換えました。

自分の考え方を変えた上で、業績の良い組織や、身の回りで仕事が順調な人を観察すると、やはり同じような価値観で仕事をしている人が多いのに気が付きました。「単年度目標」の先にある「ワクワクする目標」を常に意識しながら仕事をしているのです。

またそのような組織や順調な人は、誰でもわかりやすい「ワンフレーズ」を口にしていることにも気が付きました。組織であれ人であれ、何を目指しているのかが、他の人が見たり聞いたりした時にわかりやすいレベルのものです。

それを図にしたのが、「ワクワクする目標とワンフレーズ」と、その先にある「世界観」です。

これの有無が、モチベーションに大きな影響を与え、結果としての単年度目標を左右するということが、最近は自分の実感からもわかるようになってきました。

ということで、次回以降のブログでは、自分のモチベーションに良い影響をもたらしながら、部下や後輩のサポートをするためのアイデアを具体的な例を元にご紹介していく予定です。引き続き、よろしくお願いします。  

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