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【図解】コレ1枚でわかるGPU

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1.GPUとCPUとの決定的違い

GPU(Graphics Processing Unit)は、元々は「画像(グラフィックス)を描画するための装置」でした。パソコンの頭脳として広く使われているCPUと何が違うのでしょうか。

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技術的な違い:「万能」なCPU vs 「特化」したGPU

CPUとGPUは、シリコンチップの「中身の使い道」が根本的に異なります。

CPU:複雑な命令をさばく「万能の司令塔」

  • 設計: 1つのコア(頭脳)の中に、複雑な命令を解釈するための「制御ユニット」や、データを一時保存する「キャッシュメモリ」を大きく確保しています。
  • 役割: 「もしAならB、そうでなければC」といった複雑な条件分岐や、ユーザーの予測不能な操作に瞬時に反応することが得意です。どんな命令が来ても対応できる汎用性を重視しています。

GPU:単純命令を極めた「並列計算の鬼」

  • 設計: 複雑な制御ユニットやキャッシュを極限まで削ぎ落とし、その空いたスペースにひたすら「計算ユニット(演算器)」を敷き詰めました。
  • 役割: 複雑な判断は苦手ですが、「データを読み込んで計算する」という単純な命令だけを、数千個のコアで同時に実行することに特化しています。汎用性を捨てて、スループット(処理量)を最大化する設計です。

【例え話】働き方の違い

この技術的な違いを、人間(料理人)に例えてみましょう。

CPUは「天才シェフ(少数精鋭)」

  • 特徴: どんなに難しいフランス料理のフルコース(複雑な命令)でも、臨機応変に判断して一人で作り上げます。
  • 弱点: 一人で作業するため、一度に大量の注文(単純計算)が来ると手が回りません。
  • キーワード: 直列処理(順番に処理する)

GPUは「数千人の調理スタッフ(人海戦術)」

  • 特徴: 難しい味付けやメニュー開発(複雑な判断)はできません。しかし、「ジャガイモの皮をむく」「ハンバーグを焼く」といった単純作業の指示さえあれば、数千人で一斉に取り掛かり、一瞬で終わらせます。
  • 強み: 圧倒的な並列処理能力。
  • キーワード: 並列処理(同時に一気に処理する)

2. 生成AIの爆発的普及と、NVIDIA一強の理由

ChatGPTなどの「生成AI」が登場したことで、GPUの需要は爆発的に拡大しました。現在、この市場はNVIDIA(エヌビディア)の独壇場です。

その最大の理由は、性能差以上に「CUDA(クーダ)」というソフトウェアにあります。

① AIの学習は「単純作業の繰り返し」

AIを作る(学習させる)作業は、膨大なデータを読み込み、数億回の単純計算(行列演算)を繰り返すことです。 これは「天才シェフ(CPU)」よりも、「数千人のスタッフ(GPU)」に任せたほうが圧倒的に早く終わります。

② 【歴史】誰よりも早く「GPUを計算に使おう」と言い出した

2006年頃まで、GPUはあくまで「ゲーム画面を出すための部品」でした。 しかし、NVIDIAは「この計算能力を、画像以外にも使えたらすごいことになる」といち早く気づき、2006年に「CUDA」を発表しました。

これは、GPUを普通のプログラミング言語(C言語など)のように扱えるようにする革命的なツールでした。他社がゲーム性能だけを競っている間に、NVIDIAだけが「計算機としてのGPU」の下地を20年以上前からコツコツと作っていたのです。この先行者利益は絶大でした。

③ 【エコシステム】「みんなが使うから、もっと便利になる」ループ

CUDAが早くから存在したため、世界中の大学や研究機関が「NVIDIAのGPUで研究」を始めました。これが強力なループを生み出しました。

  1. 研究者が使う: 最新のAI論文や実験コードは、一番使いやすいCUDA(NVIDIA)で書かれる。
  2. ツールが対応する: AIを作るための便利な道具(PyTorchなど)が、まずNVIDIA向けに最適化される。
  3. 企業が選ぶ: 「道具が揃っていて、参考書(論文)もある」ため、企業もNVIDIAを採用する。
  4. 人材が育つ: 学生時代にCUDAを触っていたエンジニアが社会に出るため、現場でもNVIDIAが選ばれる。

このループが繰り返された結果、「NVIDIA以外を使うと、道具も参考書もない状態で戦わなければならない」という状況が出来上がりました。これがデファクトスタンダード(事実上の標準)となった理由です。

3. 「GPU一辺倒」の課題と、代替策(NPU・TPU)

しかし、世界中がNVIDIAのGPUを奪い合った結果、新たな課題も浮き彫りになってきました。

課題:GPUは「高すぎる」し「電力を食いすぎる」

GPUは、画像処理も、ゲームも、AIもできます。

しかし、AIの運用(推論)だけに使うには、オーバースペックで燃費が悪いのです。

  • コスト: 高性能なAI用GPUは1枚数百万円〜一千万円もし、入手も困難です。
  • 電力: 莫大な電力を消費するため、データセンターの電源容量が足りなくなる問題が起きています。

代替策:GoogleやAmazonが作る「AI専用チップ」

そこで、巨大IT企業は「脱NVIDIA」や「GPUとの使い分け」を進めるため、自社でAI専用チップ(NPU、TPUなど)を開発し始めました。

  • 例え話:
    GPUが「何でも切れる高価な十徳ナイフ」なら、専用チップは「リンゴの皮むき専用機」です。特定の作業しかできませんが、その分、爆速で、安く、省エネです。

主なAI専用チップの例

  • TPU (Google): Googleの検索や翻訳、AIサービスを裏で支える専用チップ。
  • AWS Trainium / Inferentia (Amazon): AWSクラウドで安価にAIを使うための独自チップ。
  • NPU (Neural Processing Unit): 最近のスマホやPC(AI PC)に搭載され、手元でAIを動かすための省電力チップ。

4. 今後の流れ

これまでの流れを整理すると、以下のようになります。

  1. AIを作る(学習)フェーズ:
  • 試行錯誤が必要で、汎用性が求められるため、NVIDIAのGPUが引き続き最強です。「CUDA」の壁は高く、当面はこの牙城は崩れないでしょう。
  1. AIを使う(推論)フェーズ:
  • 一度完成したAIを動かすだけなら、専用チップ(TPU/NPU)のほうがコストパフォーマンスに優れています。
  • 今後は「開発はGPU、運用は専用チップ」という使い分けが進んでいくと予想されます。

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