ガイジン相手にファシリテーションするキーワードは「So What?」
最近、「英語公用語化の時代に使える具体的なノウハウを教えてほしい」という問い合わせが増えてきた。
そこで、過去の経験から役立ちそうなものを、折に触れてまとめてみようと思う。
まず初回であるが、コンサルティング会社で教え込まれた概念に、「So What ? 」というものがある。
日本語で言えば、「それで、結局、何が言いたいの?」という感じであろうか。
日本人に限らず Native English Speakerにおいても、「ダラダラと現象面や言い訳めいたことばかり話すが、結局のところ、何かを依頼しているのか?質問しているのか? ただの報告なのか?僕は物知りだよといいたいだけなのかよくわからない」というケースは、実は良くあるものである。
日本人同士でしかも「上司と部下など、わかりやすい関係」にあるときは、強い立場の側が「それで君の言いたいことは何?」と問いかけるのであるが、相手がガイジンで且つ英語となると、なかなかそうもいかずに気後れしてしまう。
特に、「ネイティブ・スピーカー=英語できる人=仕事できる人」という先入観が働いてしまうと、「相手の言っていることを理解できない自分が悪い」と謙虚な日本人は考えてしまいがちなのである。
しかし、決してそんなことはない。日本語しか話せない日本人の中にも、論理的な人とそうでない人がいるように、英語しか話せないネイティブ・スピーカーにも多様なタイプが存在する。日本人と違うかも知れないのは、総じて、「職位が上の人ほど論理的コミュニケーション能力も高い」ということだと思う。
したがって、さほど職位も高くなく、ダラダラと長い英語を話しだす人物がいたら、臆することなく用いるべきなのが、このフレーズ「So What?」である.
もう少し丁寧に実際の仕事で使う場合には、以下のような使い分けになるだろう。
So, What is your question ? :
質疑応答の時間に、質問ではなく自説の説明を延々と述べ続け、最後に「私のこの考えをどう思うか?」というような極めてアバウトな質問を投げかけるような相手にオススメ。
逆に、質問する側の立場としての心得であるが、
- 前提条件の説明をダラダラと述べない
- My question is ... など、先に自分の聞きたいことを述べてから、Background of this question is.... と、質問の背景を語る
という話し方がオススメである。
So, What is your concern ? :
GoかNoGoかの判断が必要なときに、「ああでもない、こうでもない」と議論のための議論のような問題提起ばかりする人物へ向けて、オススメのフレーズ。
ついでに、"Please raise the most important three issues" (大事なことを3つに絞って言ってくれ)などとたたみかけると、効果が増すであろう。
日本人同士で相手が部下なら、「君の言いたいことを100文字以内で述べよ」と突き放すことがあるだろう。それと同じことを、相手が対等な立場でもやればいいのである。
So, What is your conclusion ? :
「物事を決めようとしているときなのだから、Yes or No の立場をまず、明確にしてくれ。自説をダラダラと述べるのは、それからだ」というのが、裏に込められたメッセージである。
Do you agree or not agree ? Why ? などと畳み掛ける
ここまで読んで気付かれている方も多いと思うが、やるべきことは、日本人だろうがガイジンだろうが同じである。
英語はホドホドでいいので、ファシリテーション技術、もしくは勇気を持ってファシリテーションに乗り出す「気合」のほうが重要になるのである。