名だたるMBAスクールがソーシャルメディア関連の講座を開始
夏休みでBlogやニュースからも少し離れており、キャッチアップ中に標記のような記事を見つけた。
ハーバード、コロンビア、INSEAD、ロンドン・スクール・オブ・ビジネス など名だたる大学のMBA講座がソーシャルメディア講座を開校するとのことだ。
たとえば、ハーバードだと、こちらのようなコースになるのであろう
名前から察するに、教授陣も東欧系やインド系の人種を含んでいるようで、相当にグローバルである。
「ビジネススクールがこの分野に関心を持っているという」方向感について、私自身の初めての出会いは、「B2B Marketing」に特化したExecutive研修として2005年にHarvard Business School のコースに1週間合宿で参加したときであった。
当時はSNSという言葉もなく、Word-of-mouth、Networking-based Marketing すなわち、「クチコミ・マーケティング」として解釈されていた。また、人間系のクチコミも、ネットを通じたバーチャルなクチコミも同じレベルで解釈されていた。
その授業では、クチコミで評判が広がるビジネスとして、「弁護士事務所のサービス」を取り上げ、ケースそのものだけでなく教授による実証実験の結果を取り上げていた。
発注側も受注側もサービス品質が「ヒト」に依存することを理解しており、人材流動性が激しいために「クチコミ」に依存せざるを得ないという理由があったようだ。
また、「SNSとかクチコミ・マーケティング」という新手法の話が先にあったのではなく、「サービス・ビジネスのB2B Marketing手法開発」と言う目的から、結果的に、クチコミ・マーケティングにたどり着いたような流れであった。
ケーススタディも、新任教授が書き上げたばかりの出来立て(Draftのようなバージョン)が配布されており、「まさに開拓中の新分野の授業を受けている」という興奮を感じたことを覚えている。
この教授が実施した実証実験とは以下のようなものである。
お題:レストランの新規メニューをグルメ仲間の2つのグループのKeyPersonに紹介し、情報の伝播スピードや範囲を測定する。
- グループA:レストランの常連さんグループ
- グループB:新たにユーザーグループに参加した会員
問:グループAとグループBのどちらがmarketingの投資対象として効果的か?
結果:グループBの方が情報の伝播スピードも範囲も広い
理由:常連は感動が薄い。なじみのメンバーにしか情報を伝播しない
この授業を聞いた私は、IT業界にこの教訓を当てはめるとどうなるか考えてみた。
• ユーザー会やTechnical communityの運営に活用可能
• Hospitality高いおもてなしは、新しいお客さまに特に手厚く。
さて、最近の事情はどうなっているか?と思い、HBSのケーススタディーリストを調べてみた。
”Social Media” などのKeywordで検索してみると、Caseは10個くらい見つかった。
例えば、以下のようなものが面白そうなケースである。
1) SONY Music Entertainment は YouTubeによる無料映像配信の台頭にどのように対応すべきか。
この種のケースは、チャネル・メディアが多様化する中での「旧メディア側の生き残り戦略」のような話がなんとなく多そうだ。
SNSなどを多様化することで、ワシントンの守旧派を敵に回すことはないか?
3) 起業家としてのTwitterは、自らをどうBrandingするべきか? (ソーシャルツールとして? 技術集団として?)
さすがに5年も経つと時代は変わり、IT関係のケースが花盛りである。
せっかく得意分野がtopicになっているのだから、「どうせならビジネス・スクールで教える側に回ってみたい」とも厚かましく思うことがある。実際、私の受講したクラスでは、ケーススタディの議論にケースの当事者であった会社のCEOがゲストスピーカーとして登壇してきたりした。
日本のビジネススクールで、mixiや楽天の成功物語とかをビジネススクールの教材に執筆する教授って、出てきませんかね。。
頼まれたらやってみたい気もする。
まあ、私ができるのは、
- 日本におけるMS-Exchange vs LotusNotes とか、EXCEL vs Lotus123
- 破壊的イノベータとしてのサイボウズ、Gmailに対抗するLotus Notes/Dominno
のような「守りの戦略」以外には、
- なぜ新製品・サービスが立ち上がらなかったか?
という失敗談の方が多いかもしれないが。。