【前編】kintoneで教育現場の未来が変わる!? ―kintone実証事業成果報告会―
こんにちは。葉月へちまです。
2019年12月以降、コロナウイルスに関する報道が増え、感染症拡大防止策としてリモートワーク等が求められるようになりましたよね。
教育の現場でも、臨時休校に伴ってZOOMで朝の会を行ったり、
分散登校に伴って遠隔同時授業を行ったり、
これまでと大きく環境が変わっているようです。
そうした状況下で、情報共有ツールとして大きく注目を集めているのがkintone(キントーン)。
これまでもkintoneの情報共有ツールとしての活躍をお伝えしてきましたが、現在、過去最大級にkintoneの需要が高まっている時なのではないかと感じています。
(kintoneのサービスについてはこちら)
今回は、2020年2月25日(火)に北海道釧路市で開催された第一回実証事業成果報告会と、2021年2月10日(水)にオンラインで開催された第二回実証事業成果報告会の模様を中心に、kintoneが教育の現場でどのように活躍しているかお伝えしていきますね!
〇kintone実証事業の経緯
2019年度より、学校と地域の協働を目指す「一般社団法人学校地域協働センターラポールくしろ」と、チームワークあふれる社会をつくることを目指すサイボウズ株式会社の連携により、参加を希望した釧路管内の小中学校で、kintoneの実証実験が始まりました。
「ラポールくしろ」が注目したkintoneの特徴は、以下の三点です。
- 掲示板のように情報を共有してコミュニケーションをとることができる
- スマートフォンやパソコンなどさまざまなデバイスを通してアクセスできる
- 誰でも簡単にデータベースをつくることができる
実際にkintoneは期待通りの活躍をしたのでしょうか?
〇パネルディスカッションとワークショップ
第一回は対面形式で開催されたため、サイボウズ株式会社の中村龍太さんがモデレーターとなり、実証実験に参加された釧路市立鳥取西中学校の番匠徹先生、釧路市立鳥取西小学校の石川達明先生を交えた、パネルディスカッションが行われました。
ディスカッションを通じて先生たちの本音が伺えたところで、続いて、成果報告会に出席された参加者の皆さんも加え、「kintoneで情報共有したいもの」というテーマで話し合うワークショップが行われました。
実際に実現できるかどうかは置いておいて、みなさん、思いついたものをどんどん付箋に書き出していきます。
話すうちに、だんだんと現状のkintoneの課題が見えてきました。
- 保護者とのやりとりに活用したい⇒紙でのやりとりのほうが手軽
- 職員室で情報共有に活用したい⇒ホワイトボードで十分
- 書類管理に活用したい⇒カスタマイズが難しそう
一度でも操作したことのある方には「便利で簡単」と好評なkintoneですが、使用したことのない参加者の方には「アナログのほうが便利。ITの知識がないと使いこなさそう」という印象を抱かれていることが分かりました。
それでは今回はじめてkintoneに触れた先生方がどう感じたのか、実証実験の成果報告をみていきましょう!
○実証実験成果報告【前編】
実証実験の開始前に伝えられていたのはkintoneの基本的な使い方のみで、どのように活用していくかは各校に任せられていたそうです。
各校の成果報告の模様は前編・後編に分けてお伝えしてきますね。
前編の今回は、第一回、第二回と続けて実証実験に参加された2校をご紹介します。
・釧路市立鳥取西中学校・主幹教諭・番匠徹先生
番匠先生は一年目、まずはポータル画面のアプリの順番を使いやすいように並び替えて整理し、
【出欠席の記録アプリ】を新規で作成されたそうです。
「必要なアプリを簡単に自作できて便利だった」と第一回の報告ではおっしゃっていたのですが......残念ながら、第二回の成果報告の際はアプリの使用をやめられていました。
理由は「学校安心メール」の【欠席遅刻届け】のほうが、保護者に馴染みがあり、使いやすかったからだそうです。
うーん。やはりまだまだメールのほうが便利だと感じる方が多いようですね。
しかし、kintoneがまったく活用されなくなったわけではありませんよ!
鳥取西中学校では1年目と同様に会議資料の置き場所としてkintoneを活用した結果、朝の打ち合わせが2~3分で終わるようになったそうです。
会議で話したい内容はすでにkintoneで共有されているので、改めて会議内で話す手間がなくなったということですね。
チャイムが鳴っている間に打ち合わせが終わることもあるとおっしゃっていたので、kintoneの時間短縮効果の大きさが伝わってきました。
・釧路市立鳥取西小学校・石川達明先生
石川先生は1年目、kintoneの自由にカスタマイズできる利点を活かし、行事カレンダーから今日の行事だけをトップに表示するように設定したそうです。
小学校は突然行事が入ることも多いため、【今日の予定】をひと目で分かると便利なようですね。
また、5年生の「保護者にアンケートを取ろう」という授業でもkintoneを活用。
「釧路の職について知っていますか?」結果をkintoneでグラフにまとめ、そのグラフをもとに生徒たちは話し合う様子が報告されました。
以前、別の取材でもご報告しましたが、kintoneはデータ集計と調査結果を発表する授業において、とても便利なツールなんですね!(プログラミング授業でのkintoneの活躍)
すでに1年目からkintoneを使いこなしていた石川先生は、さらに2年目、毎朝必ず一度はkintoneの情報をチェックするよう全職員に徹底。
その結果、各自パソコンだけでなくスマートフォンからもチェックするようになり、活用頻度が格段に上がったそうです。
ただ、そうして活用頻度が増えたことにより「アプリの作成は簡単でも、作成したアプリを継続して使用していく難しさを痛感するようになった」のだとか。
もしかしたらkintoneのカスタマイズの自由さが、かえって使用者の戸惑いを生んでしまうのかもしれませんね。
しかし石川先生は、「うまくいっていることは継続。継続が難しいことは無理しない」と前向きに捉え、Googleスライドを活用した電子掲示板とkintoneのデータベースの連携といった新たな提案もされていました。
第一回成果報告会のパネルディスカッションで中村さんがおっしゃっていた「犠牲のあるITの使い方はしてほしくない」という願いを受けて、見事にkintoneというツールを使いこなしていらっしゃることがよく分かりました。
いかがでしたでしょうか?
すでにkintoneの教育現場での活躍がお分かり頂けているかと思いますが、【後編】では、実証事業2年目に新たに加わった先生方の成果報告の模様をお伝えしていますので、そちらもあわせてよろしくお願いします!