キントーンによる効率化でプログラミング的思考力がアップ!―小山城北小学校の新聞作り単元における実践―【後編】
こんにちは、葉月へちまです。
前回に引き続き、
小山城北小学校四年一組のキントーンを使った授業実践の模様をお伝えしていきます!
今回は、
2.アンケートに答える
3.グラフ等から分かる事を話し合う
4.新聞に落とし込む
について触れていきます。
(「1.グループで話し合い、アンケートアプリを作成」についてはこちら)
2.アンケートに答える
この項目における到達目標は、「アンケートに正確にこたえる」です。
前回、全9班がそれぞれ自分たちの新聞のテーマに沿ったアンケートを作成しました。
キントーンで各班のアンケートページへアクセスし、それぞれの質問に回答していきます。
- 一つだけ答えを選んでもらう質問には「ラジオボタン」
- 複数回答が必要な質問には「チェックボックス」
- 自由入力の質問には「文字列」
といったように、先生のアドバイスに沿ってつくられたアンケートは答えやすく、みんなサクサクと回答していました。
「どれにも当てはまらない時の回答がない!」
「一番好きな教科は?って質問にチェックボックスで複数回答できるようになってる!」
など、間違ったアプリが開発されていた時も、
生徒同士で指摘しあい、その場で修正していました。
「先生からは誤りを指摘しないんですか?」
と尋ねてみたところ、
「失敗も含めての学びですから。どうしようもない場合以外はできるだけ口を挟まないようにしてます」
とのことでした。
3.グラフ等から分かる事を話し合う
この項目における目標は、「アンケートの結果をまとめて記事に生かそう」です。
キントーンを使ったアンケート調査では、紙のアンケートとちがい、集計する必要がありません。
そのため子ども達からは前回のアンケート作成時と同様、「早くて簡単で正確!」という声が上がりました。
コンピュータを活用することで、アンケートの作成・集計にかかる時間を短縮できます。
それによって十分な時間を考察にあてられることが、プログラミング教育を教科に組み込むことの最大の利点です。
次に、集めたアンケートをもとに、新聞記事へどう落とし込むかを話し合っていきます。
「集計する」を選択して「グラフの種類」を選ぶだけで、簡単に集計データからグラフを作成することができます。
グラフの種類は多く、最適なものを選ぶのは大人でも大変ですが、
「「はい」か「いいえ」の二択は、【円グラフ】」
「複数回答は、【棒グラフ】を使おう」
という先生のアドバイスのもと、
みんな自分たちの新聞に最適なグラフが選べていました。
ここにもプログラミング教育的な学びがあります。
自分達の作成したアンケートは二択と複数回答どちらだったか、新聞を読む人にアンケートの結果を分かりやすく伝えるためにはどのグラフが最適か。
「手順を踏んで最適なグラフを作ること=命令どおりにしか動ない論理的な手順を踏むスキル」
がここで身につくのです!
アンケート集計前の予想と実際の結果を比べて、
「やっぱり」という感想と、
「意外だった」という感想がそれぞれ上がっていました。
この感想がそのまま新聞の考察に繋がります。
グラフを使ってアンケート結果を分かりやすく表し、そこから読み取れることを新聞の紙面に落とし込んでいく。
つまり、国語の単元における読解力と文章作成能力も鍛えれるというわけです。
また効率的にアンケート集計ができて十分な時間が生まれたからこそ、子どもたちはよりアンケートの考察を深められたのではないでしょうか。
4.新聞に落とし込む
この項目における目標は「グラフや写真を記事にはりつけよう」です。
作成したグラフをsnipping tool で切り取り、
新聞の所定の場所へ貼り付けます。
そこにグラフから読み取れることの考察を交えて記事にしてみると......
どうでしょう?
教科書の見本が、「○人だった」「多かった」という結果の数字だけであるのに対し、結果の数字を比べて自身が感じたことまで言及しているのが素晴らしいですよね。
新聞作成という目的に向けて、最適な手段・方法を考え、それを実践していく。
まさにプログラミング的思考力が求められる授業だったと思います。
私も小学生の時に新聞作りを経験しました。
当時は画用紙にコンパスで円を描き、マジックペンで清書をしていました。
あの頃もアンケートの設問を自分たちで考え、回答を予想し、実際の結果をもとに考察するという流れはあったと思います。
しかし、とにかく画用紙に清書することのほうが大変で、考察にはそれ程時間をかけられませんでした。
コンピュータに任せられるところはコンピュータに任せ、考察という人間にしかできないことに時間をあてる。
「プログラミング教育」は、子どもたちにとっても先生たちにとっても、難しいものでは決してなく、それどころかとても有意義なものなのではないでしょうか。
○最後に
今回の授業は文部科学省や各種メディアの方々も見学されていたのですが、
文部科学省の水野巧美さんからは、
「キントーンが簡単な操作で扱えるという話は伺っていたのですが、予想以上でした。子どもたちが表現したいこと、頭の中で思い浮かべていることを、そのまま具現化できるツールなのだと思いました」
小山市教育委員会の伊藤秀哲さんからは、
「アンケート作成から実際の新聞づくりまで、全て通しで見学させてもらいましたが、たった半月で子どもたちのパソコンスキルが格段に上がったことに驚くとともに、「プログラミング教育」の意義を改めて感じました」
と感想を頂きました。
「プログラミング教育」という新たな取り組みに対し、
「子どもたちがついてこられるの?」
という不安を抱いている先生もいらっしゃるかもしれません。
しかしデジタルネイティブ世代の子どもたちは大きなポテンシャルを秘めています。
ぜひ子どもたちの力を信じて、前向きに「プログラミング教育」と向き合ってみてはいかがでしょうか。
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