【デジタル連絡帳】のさらなる可能性ー徳力団地幼稚園kintone使用2年目の挑戦!ー
こんにちは。葉月へちまです。
今回は、「新しいを楽しむ!-ITツール導入に積極的な徳力団地幼稚園【デジタル連絡帳】の事例-」でご紹介した、(学)黒木学園認定こども園徳力団地幼稚園(以下、「徳力団地幼稚園」)を再び取材させていただきました。
kintone活用から2年の間に変わったことはもちろん、前回はオンライン取材だったので実際に訪れて感じたこともあわせてご紹介していきます!
(kintoneのサービスについてはこちら)
2年目の新規注目アプリ
kintoneは幼稚園でどのように活躍しているのか。
ここからは1年目に取材させて頂いたときには使用されていなかったアプリを中心にご紹介していきますね!
①補充アプリ
徳力団地幼稚園では2年目から【補充アプリ】というアプリを新たに導入していました。
【補充アプリ】は連絡帳と連動しており、着替えの服などご家庭から新たに持ってきてほしい備品を入力することで、保護者が必要なものをチェックできるアプリです。
不足を確認したら、その場でタブレットに入力。
保護者から補充してもらうまではアプリ上に表示され続ける仕様となっており、先生側の伝達ミスと保護者の補充し忘れを同時に防止できる画期的なアプリでした!
②登降園アプリ
【登降園アプリ】は園児の登園・降園時間を記録するアプリです。
これまで紙ベースで行っていた管理を、2年目からはkintone上で行うようになったそうです。データで管理しておくと、検索で簡単に園児の情報を追うことができて便利ですよね!
登録時の時間と日付を初期値としているため、保護者は登降園時にお子さんの名前を選択して保存するだけでOK。
出勤前の忙しい時間に保護者の手を煩わせることがなくなったため、記入漏れが格段に減ったとのことでした。
③図書目録
徳力団地幼稚園は3,000冊以上の蔵書があり、「子どもが1日のどこかで絵本と触れられる時間をつくるように」と日々先生たちが努めているほど、絵本の読み聞かせに熱心な幼稚園です。
特に私が素敵だなと感じたのが【絵本通帳】です。
本物の通帳を模した表紙で、とてもかわいらしいですよね!
通帳の残高が増えるように読書記録が増えていくというのは、子どもにとってもわくわくする楽しい読書体験だろうなと思います。
そんな子どもの読書体験のために重要となってくるのが蔵書管理です。
徳力団地幼稚園では紙媒体の絵本目録もあるそうですが、検索が手間なためにうまく活用されておらず、蔵書としての有無と貸出の有無を把握しきれていない現状とのこと。
そこで、キーワード検索が可能なアプリをkintoneで作成。
絵本のテーマとなる季節や行事によって検索できるため、四季の変化にあわせて読み聞かせをしている幼稚園・保育園の先生には非常に使いやすいアプリですよね!
残念ながら私が取材をさせて頂いた時は、
- kintoneを使用しているのが0.1歳クラスのため、職員間で浸透していない
- 日々使用するものではないため、優先順位が低い
という理由によりまだ実運用されていませんでしたが、もし実際に活用できるアプリが完成したら、幼稚園だけでなく図書館や公民館など他の施設でも活用できるかもしれません。
kintoneのさらなる可能性が感じられるアプリでした!
④成長曲線
成長曲線とは性別・月齢別に身長・体重の成長幅を示した曲線のことで、厚生労働省の「乳幼児身体発育調査報告書」のデータを基準に作成されます。
徳力団地幼稚園では毎月、体重と身長を先生がkintone上に記録。
保護者は【成長曲線】のアプリを開くとご自身のお子さんのデータだけを確認することができます。お子さんの実際の成長と、基準となる成長曲線が比較できるグラフが表示可能というのがありがたいですよね。
しかし成長曲線に限らず、kintoneを通して共有されているデータは、卒園(進級)すると確認できなくなります。各家庭でデータの保存をお願いしているとのことですが、保存しそびれやデータの紛失などのリスクを考えると、保護者の負担が大きい。
そこで徳力団地幼稚園では、Excelで月別シートの見やすい保存用マクロを作成。kintone上からワンクリックで個別のExcelデータを起こせる仕様にしたそうです!
保護者と職員との間で1年間共有した、大切な園児の保育記録。
年度終わりにCD-ROMかUSBに保存してお渡しする予定とのことで、親子で1年を振り返ることのできる素敵な取り組みですね!
今後の課題
徳力団地幼稚園において現状一番の課題は、kintoneを使用しているクラスが0,1歳児クラスのみという点です。
なぜ上の学年まで活用の幅を広げていないかというと、実はこちらの幼稚園では2歳以上からバス通園となる関係で、2歳以上のクラスではバス通園に便利な別のICTツールを使用しているからです。
そちらのアプリは、GPSによりバスの移動状況を常に保護者へ共有して安全に送迎することに特化しており、バスの送迎時だけでなく園児の名簿管理やメッセージ機能・経理ソフトまで搭載していて、保育園・幼稚園で必要な機能をすべて備えているそうです。
......すみません、そうなると無理にkintoneを活用する必要はないのでは?
と、kintoneの広報の身でありながら疑問を抱いてしまったのですが、
「現在使用しているツールは、機能ごとにオプションとして別料金がかかるため、写真や動画の投稿が気軽に可能なデジタル連絡帳という意味ではkintoneの価格設定のほうが魅力的です。また自由にカスタマイズできるので重宝してます」
とのことでした。
なるほど。2歳以上のクラスにもkintoneのデジタル連絡帳を使用してもらうためにはGPS機能が必要とのことで依然kintoneの課題は残りますが、機能が充実している他のツールも便利な代わりに仕様が固定で使いづらいという難点があったんですね。
どのツールも一長一短ですが、現場で求められるアプリの事例数が増えることでkintoneの改良が進めば課題の解決に繋がっていくかもしれません。
(徳力団地幼稚園の園児のみなさんから頂いたお花)
徳力団地幼稚園のみなさん、取材のご協力ありがとうございました!