オルタナティブ・ブログ > 言の葉交差点「へちまのビジネスブログ」 >

kintoneをはじめとしたITツールの紹介や企業インタビュー、書評などを掲載するビジネスブログです。 

自分らしく、働く一歩を―デジKAMA×kintone就労支援プロジェクト―【前編】

»

noteそでらぼサイトサイズ.png

こんにちは。葉月へちまです。

今回のkintone取材記は、サイボウズのそでらぼで行っている、kintoneを学び働く幅を広げる活動(就労困難者支援)の、デジタル就労支援センターKAMAKURA(以下、デジKAMA)さんとの取り組みの様子を前編・後編の2回に分けてお伝えします。

デジKAMAとは?

デジKAMAは、鎌倉市が2022年10月から始めた「鎌倉市就労困難者特化型BPO事業」と呼ばれる、IT分野に特化した就労移行支援事業です。鎌倉市にお住まいの障がいのある⼈やひきこもり状態にある⼈などが、地域で自分らしく生活できる機会を提供しています。

数ある就労支援事業所のなかでもデジKAMAは、デジタルスキルを活かした就労支援を専門としています。「自分らしく働き続けられる」ことを目指し、ご自身の状況に合わせて在宅と通所が選べ、かつ、全国の企業からお仕事を受注することで安定した収入を確保できるよう努めている就労支援事業です。

kintoneを学び働く幅を広げる活動(就労困難者支援)とは?

サイボウズそでらぼでは、「チームワークあふれる社会づくり」という目的のもと、サイボウズ流のチームワークによって多様な価値観の人が安心して暮らす社会実験を行っています。

本プロジェクトは、働き方で悩んでいる方や働くことが難しいと感じている人、働くことに不安を感じている方、障がいのある方の雇用を法律で定めているけれど、まだ十分なサポートができていない企業に向けて、ITツール「kintone」を使った就労支援の取り組みです。ITスキルを身につけることで、自分らしい働き方を見つけられるようにサポートしています。(kintoneのサービスについてはこちら

「デジKAMA」×「サイボウズ」

スクリーンショット 2025-08-01 11.31.37.png

2025年1月から「kintoneを活用したPoCプロジェクト」は、ワーカーが実際の業務を通じてkintoneの活用スキルを習得し、社会参加や働く機会を広げることを目的としたプロジェクトです。

  • サイボウズ社が提供する資料や講習を活用し、kintoneに関する知識を身に着ける
  • サイボウズ社の担当者と習得状況を共有、随時習得に向けたアドバイスをいただく
  • kintoneを用いたデータ管理や業務フローの改善
  • 習得したスキルを活用し、既存の業務フローに即したアプリを開発。
  • ワーカー自身の気づきから、新しいアプリの開発

といったプログラムをこなすなかで、kintoneに触れたことのないワーカーはなにを感じ、どのような変化があったのか? 前編の今回はkintone就労困難者支援プロジェクトに参加された、4名のインタビューを通じてその模様をお伝えします!


(詳しいプロジェクトの経緯は「【就労困難】「デジKAMA」×「サイボウズ」④〜ワーカーさんインタビュー」の前編/後編をご参照ください)

kintoneの入り口に立って〜Okaoさんへのインタビュー〜

okaoさんアイコン.jpg

──デジタル就労支援との出会いは?

通院していた医療機関の精神保健福祉士の方から、デジKAMAでの作業が合っているのではないかと勧められたのがきっかけです。もともとシステムエンジニアの仕事をしていたこともあり、デジタル系な技術が身につけられる点に興味を持ちました。

──kintoneの第一印象は?

そもそもkintoneを知りませんでしたね。この案件の話を聞いて、自分でYouTubeで検索したり、広告を意識して見たりするようになり、「自分にもできるのだろうか」「どんなものがつくれるのだろうか」と興味を持ちました。

──学んでいくうえで面白かったところは?

これまで事務の経験がないため、実際にどのように使うのかイメージがわきませんでした。イメージをつかむために、YouTubeでkintone認定アソシエイト試験の対策動画などの情報を見て、基本的な流れを理解するようにしました。

プログラミングの知識がなくてもアプリがつくれるのは本当にすごいと思います。アプリをつくるのは大変ですが、楽しい作業でした。実際にアプリをつくった後で「もっとこんな機能も付けられたのではないか?」と振り返ることもあり、奥深さを感じました。

──kintoneの現在の印象は?

面白いなと感じましたが、今、理解しているのはkintoneの機能のほんの入り口の部分です。プラグインのことなど、まだまだできることがあると思うので、もっと深い知識が必要だなとも思っています。

──今後の展望は?

学んだことを活かして、メール共有オプションを使えるようにし、メールのテンプレート機能やkintone上でメールの送受信ができるようになりたいと考えています。

──デジタル就労支援に興味のある方へ一言

パソコンスキルが将来仕事に役立つかどうかは人それぞれだと思いますが、生活に結びつけることでより豊かになるものだと感じています。少しでもパソコンに興味がある方は、広い視点を持つきっかけづくりとしてぜひ活用してみてください。

CMで見た「アプリがつくれる」に惹かれて〜のぶさんへのインタビュー〜

のぶさんアイコン.png──デジKAMA入所のきっかけは?

2年半前、自宅で過ごす日々から抜け出したいと考えて調べたときにデジKAMAの募集を知りました。在宅でできる仕事を探していて、条件に合致していたため応募しました。

──kintoneの第一印象は?

CMでkintoneのことは知っていました。アプリがつくれるという点に興味がありましたね。趣味の範囲ですが、無料のアプリ作成ソフトを使用したことがあり、それに似てるなと感じました。

──逆につまずいたな、苦手だなと思うことは?

最初はパーツの名前を覚えるのが難しいかもしれません。でも一度覚えてしまえば、スムーズに操作できるようになりますよ。

──kintoneを活用した就労支援の今後の可能性

基礎を学ぶのに必死でしたが、kintoneはブロックを積み重ねるような感覚で作成できて、とても面白いですし、本当に色々なことができるのだと実感しました。さらに多くのパーツがあれば、もっと可能性が広がると思います。

──これから挑戦してみたいことは?

デジKAMAでは、毎回新しい内容に挑戦できて飽きることがありません。今後も引き続き、色々なことにチャレンジしていきたいです。温かいサポートに感謝しています。

──kintoneに興味がある方へ向けて一言

kintoneはパーツを組み合わせてアプリが簡単につくれるので、自分自身のアイデアを形にできる、自由度の高いソフトです。ツールを使うことに面白さを感じる方には特におすすめです。

ブロックを組み合わせるようなアプリづくりの楽しさ〜Sさんへのインタビュー〜

Sさんアイコン.jpg

──デジタル就労支援との出会いは?

体調を考慮し、無理なく働ける場所を探していました。鎌倉市の「障害者二千人雇用センター」に応募して窓口で相談した結果、通所または在宅での就労支援を紹介されました。いくつかの事業所を紹介してもらったなかで、スケジュールを調整してもらえて、無理のないペースで進められるデジKAMAを選びました。

──kintoneの第一印象は?

CMで名前は知っていましたが、実際に触ったことはありませんでした。アプリをつくると聞いたときは、自分にできるのか不安でしたね。しかししっかりとしたマニュアルがあり、難しい部分もありましたが、色々なことに挑戦できました。

──kintoneの現在の印象は?

課題に取り組みながら、実際に使う場面を想定し、どのように役立つかを考えています。もし、異なる使い方を求められた場合でも、柔軟に対応できるようになりたいですね。

kintoneの強みは、自由度の高さにあると感じています。人によって使い方が異なるため、その多様性を理解することが今後の課題です。

──学んでいて楽しかったことは?

まるでブロックのように必要な機能を配置できる。自由度が高く、簡単に連携できる点が面白いです。専門的な知識がなくても、選択と配置、関連付けだけでアプリをつくれるところが、とても便利ですね。

──kintoneの魅力・利点は?

アプリ同士を連携させ、データのやり取りをスムーズに行えることに魅力を感じました。名簿や日報を作成したとき、合計金額を計算する数式を加えるなど必要なデータを簡単に呼び出せるように自分なりに工夫してみました。少しずつ機能を付け加えて改善できる点にやりがいを感じました。

──今後の展望は?

課題を早く終わらせて、時間に余裕があればkintoneをさらに深く学んでいきたいと思っています。練習を通して、連携がうまくいかない場合の原因を調べたり、新しい機能に挑戦したりしたいです。

──デジタル就労支援に興味のある方へ

相談に行ったとき、「アプリ作成」と紹介されて最初は不安でした。しかし、思い切って挑戦してみると少しずつできるようになり、それが自信につながりました。まずは相談し、一歩踏み出す勇気を持ってほしいですね。

初心者でも直感的に使える便利ツール〜なぎさんへのインタビュー〜

なぎさんアイコン.png──デジKAMA入所のきっかけは?

心身の不調で療養していた期間があり、自分のペースで自宅でもできる仕事を探していたことがきっかけです。

──kintoneの第一印象とその変化は?

名前だけは知っていたので、どんなものなのかずっと興味がありました。実際に使い始めるまでは、「この機能で何ができるのか」「何が便利なのか」が少し分かりにくく、難しく感じましたね。

また最初は慣れていなかったので、数式や関数を使うことに抵抗がありました。でも実際に触れてみると、思っていたよりも直感的に操作ができて、興味深く感じました。

──kintoneを使ってみて面白かったところは?

「この機能をどうやって実現するのだろう?」と試行錯誤するのが難しくもあり、同時にとても面白かったです。マニュアルを参考にしながら、必要な動きを探し、自分の目的に合ったものをつくっていく。その過程が楽しかったです

──kintoneの現在の印象は?

プログラミング初心者でも直感的に操作できて、分かりやすい。とても便利なツールという印象に変わりました。

──これから挑戦してみたいことは?

課題としてつくったツール以外にも、業務上で幅広く活用できそうだと感じています。仕事で必要な情報をまとめて管理できるようになれば、とても便利ですし、そういったアプリをつくれるようになりたいです。

──デジKAMAを通じて変化したことは?

「働く」ことへの苦手意識は、デジKAMAを利用したことでかなり薄れました。今後は新しい場所でも頑張りたいと前向きに考えています。

──デジKAMAに興味のある方へ向けて一言

パソコンでできることが増えると、仕事選びの幅が広がりますよ。がんばってください!

インタビューにご協力いただいた皆さん、ありがとうございました!

4名ともまったくkintoneに触れたことのないところからスタートして、たった8時間で基本的なアプリを組み、実用的なレベルまで使いこなせるまでに成長していることに驚きました。

後編では、このプロジェクトを支えた2名のスタッフから座談会形式でお話を伺い、プロジェクトの裏側や運営者の想いについて掘り下げてまいりますので、お楽しみに!

Comment(0)