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【後編】kintoneで教育現場の未来が変わる!? ―kintone実証事業成果報告会―

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こんにちは。葉月へちまです。

前回に引き続き、教育環境におけるkintoneを活用した実証実験成果報告会の模様をお伝えしていきますね!

後編はいよいよ、2020年度から初めて参加された三校の報告です。

1年間kintoneを使用してみてどうだったのか、2年続けて使用された先生とのちがいはあるのかをみていきましょう!

○実証実験成果報告【後編】


・釧路市立武佐小学校・教諭・鳴野雅之先生

武佐小学校もkintoneで「行事予定」などを一括管理・一覧で表示することで、必要な情報をタイムリーに共有し、計画的・効率的に業務をすすめられるようになったそうです。

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興味深かったのは情報の整理方法について鳴野先生が、【前編】でご紹介した鳥取西小学校の石川先生にアドバイスを求めていたことです。


鳥取西小学校は2年連続で実証実験に参加しているため、鳴野先生よりkintoneの扱いに慣れていたのでしょう。

石川先生からのアドバイスをもとに鳴野先生は独自に各種時間割情報をポータル画面に集約、掲載するカスタマイズをしたそうです。

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kintoneは使用する人の数だけ使い方のバリエーションがあります。
先生同士で情報交換をすることでkintoneがよりスマートに、より活用しやすくなっていく過程が伺えて面白かったです!

また、鳴野先生は、メッセージツールも積極的に使用されていました。

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こちらは、鳴野先生が作業依頼を該当の先生にしている画面です。
このように学外にいてもメッセージツールを通じて校内の先生と連携できるようになり、打ち合わせや会議の工数削減に繋がったそうです。

今後は「独自に作成した「授業改善ホームページ」と連携して、教材研究の資料や情報の蓄積・共有をはかっていきたい」と意欲的な一方、「kintoneの便利さを知ってしまったがゆえに、実証実験が終わったあと、もしkintoneが使えなくなってしまったら不安だ」とも語られていました。

・釧路町立遠矢小学校・教諭・佐藤美里先生

遠矢小学校でも他の学校と同じく、学校行事をkintoneで共有という使い方をされていたのですが、驚いたのは「もともと教頭先生が黒板に1ケ月ぶんの行事を1時間弱かけて書いていたのが、kintoneを使ったことで数分に短縮された」という報告です。

改めて時間に換算されると、kintoneの業務改善効果の凄まじさが伝わってきますよね。

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このように黒板で掲示していた行事予定を、

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kintoneに記録するようになったことで、格段に業務が楽になったそうです。

また、これまで職員室のパソコンでしか確認できなかった職員会議のフォルダをkintoneを通して持ち歩いているiPadで確認できるようになり(遠い教室だと7分くらいかけて職員室まで戻っていたのだとか)、10分~15分かけていた口頭連絡もkintoneで小まめに情報共有するようになったことで、早い時には5秒で終わるようになったというから驚きです!

佐藤先生はITにつよいほうではなく、はじめは実証実験の参加に不安があったようですが、「実際に触れてみたことでkintoneの利便性を実感した」とおっしゃっていました。

今では児童名簿と家庭調査票をgoogleフォームでアンケートをとってkintoneに結果を蓄積・共有するという使い方もされていて、「今後は出欠管理アプリも作成したい」と意欲的。

ITが苦手な人にとってもkintoneは使いやすいツールだということがよくわかりました。

・釧路市立春採中学校・校長・幸村仁先生

最後の発表は、なんと「一般社団法人学校地域協働センターラポールくしろ」の代表、幸村先生です!

実証実験開始当初は鳥取西中学校の校長先生で、参加された先生にkintoneの使い方を伝える立場にいらっしゃったのですが、2020年4月、春採中学校の校長先生に着任したことをきっかけにご自身も校務にあたる際、kintoneを活用し始めたそうです。


もともとkintoneの利点や特性は十分に把握されてましたが、今回、【保健室来室状況アプリ】を作成。

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生徒の保健室への来室履歴がkintoneに蓄積されていき、生徒の名前をクリックすると【生徒名簿アプリ】に繋がって、生徒の持病や保健室の利用頻度などがわかる仕様になっています。

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ほぼリアルタイムで保健室の来室状況がわかるので、生徒の心身の健康状態を先生たちが把握できるのが素晴らしいですよね。


以前「「虐待防止」の地域連携で活躍するkintone」という記事を掲載しましたが、kintoneに瞬時に蓄積される正確な情報を各自治体と共有することで、地域の連携を深める効果も期待できそうです!

○kintoneの成果

成果報告の中で「kintoneを使用することで業務時間が短縮され、効率的に校務が行えるようになった」という感想が上がっていましたが、具体的にどの程度の効果があったのか、気になりますよね?

そこで最後に、幸村先生がkintone導入前と導入後の比較結果を発表してくださいました。

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朝の打ち合わせの時間や会議などの時間短縮、ペーパーレス化による印刷代・用紙代の削減により1年間で、勤務時間換算約3日分の時間短縮、印刷代84,000円分、用紙代34,000円分の経費削減になったとのことでした!

〇おわりに

【前編】【後編】の二回に分けて、kintoneの実証事業の模様をお伝えしてきましたが、いかがでしたでしょうか?

第一回実証事業成果報告会の取材をさせて頂いた2020年2月は、少しずつ感染者が増えてきていたものの、まだ「コロナ禍」と呼ばれる状況には至っていませんでした。
しかし報告会の2日後、27日に全国の学校で臨時休校要請があり、そこからの日々の変化は目まぐるしかったように思います。

教育の現場では、2019年12月に文部科学省から打ち出された「GIGAスクール構想」
、2023年の達成を目標として2020年より4年かけて行われるはずのところを前倒しでスタートしました。

GIGAはGlobal and Innovation Gateway for Allの略で、「GIGAスクール構想」とは、「児童生徒向けの1人1台端末と、高速大容量の通信ネットワークを一体的に整備することで、多様な子供たちを誰一人取り残すことなく、公正に個別最適化され、資質・能力が一層確実に育成できる教育ICT環境を全国の学校現場で持続的に実現させる構想」です。

正直、私は教育ICT環境の整備は難航するだろうと思っていました。

これまでの取材のなかで、「kintoneの便利さは理解してもらえるものの、なかなか馴染んできたアナログな手法を捨てきれない」という方をみてきましたから。

子どもたちはデジタル世代でも、指導する先生たちがアナログ世代。

この現実をどう受け止めるか、という点に着目して取材をさせて頂きましたが、今回の実証実験の成果報告を受けて、現場には、教育ICT環境の整備に前向きな先生が多くおり、またkintoneであればITの知識がなくても簡単に扱えるのだということがよくわかりました。

もちろん、kintoneだって万能ではありません。

今回の取材の中でも、オフィスソフトとの連携に対して課題感を感じている先生もおりました。

けれども成果報告会に参加されていたサイボウズ株式会社の中村さんは、

「いろいろなクラウドがあるが、kintoneは情報を整理して保管するツールとして優れています。kintoneの強みは本棚。色々なツールから学校に合ったもの良いとこどりして、便利に活用してください」

とおっしゃっていましたし、kintoneの実証実験は来年度も継続します。

今回の報告会で上がった課題をいかにして解決していくかを模索しながら、引き続き、「学校、教育委員会、保護者、子供、地域企業が一体となった新しい地域学校協働活動チームの形成により、持続可能な校務モデルの構築を目指す」ということで、「GIGAスクール構想」の実現の日は近いかもしれません。

kintoneの次の事例はこちら。

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