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「虐待防止」の地域連携で活躍するkintone―京都府南丹市の事例―

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 こんにちは! 葉月へちまです。

 今回は、京都府南丹市の「要保護児童対策地域協議会」が、児童虐待防止のために情報共有ツールとしてkintoneを導入したと伺い、取材させて頂きました。

(kintoneのサービスについてはこちら

 「虐待」というセンシティブな問題に対して、kintoneは一体どのような面で活躍しているのでしょうか?

○「要保護児童対策地域協議会」とは?

 「要保護児童対策地域協議会」は、保護を要する児童等の早期発見や適切な支援を目的として地方公共団体が設置・運営している組織のことです。

 南丹市でも、子育て支援課が調整機関となり、地域からの相談・通告を受けて、保育所・幼稚園・小、中学校といった児童が所属する機関や、児童相談所、警察、医療機関、社会福祉協議会、民生児童委員などの関係機関と連携し、対応しています。

○kintone導入の経緯

 紙文書の電子化を検討していた南丹市は、はじめ、異なる組織間の情報共有を早く正確に行うことができるツールを探していました。その時、サイボウズ社の「虐待防止特別プラン」が目に留まったのです。

 「虐待防止特別プラン」とは、虐待問題を扱う団体向けに5年間無料でkintoneを提供するプランのことです。

 南丹市は5か月の試用期間を経て、2019年7月にkintoneを本格導入し、

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上記のように、kintoneを通して各関係機関が連携をとるようになったそうです。

〇kintoneの導入効果と利用方法

 虐待防止のためには、いかに正確に支援を要する児童と保護者及びその家庭環境を把握し、適切な関わり方をしていくかが重要です。

 南丹市がkintoneで作成したアプリは3つです。

1.「対象児童リスト」アプリ

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2.「定期的情報提供連絡票(出欠アプリ)」

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3.「経過記録簿」アプリ

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 これらの情報は、これまで紙媒体で管理されてきました。

 報告書類の受け渡しは郵送か窓口への持ち込み。

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 電話での情報連携の場合は通話内容をお互いがメモし、それぞれが整理しなおした情報を紙文書で記録・保管していたということですから、この作成されたアプリを見ただけでも、正確に情報が整理されて、処理スピードがアップしたんだろうなという印象を受けますよね。

 しかし!

 今回はkintoneのアカウントを持っている関係機関の皆さんに、「実際のところ、kintoneを使ってみてどうでした?」とズバリ本音を伺ってみました!

・子育て支援課の阪本さん

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「kintoneを導入してから一番感じた変化は、電話の本数が減ったことですね。以前は保育所や学校から小まめに電話を頂いていたのですが、kintoneの使用を始めてからは、どんな些細なことも【経過記録簿】を通して報告してもらうようになりました


 電話だと受け取れる件数に限界がありますからね。

 現在、【経過記録簿】に送られてくる件数は一日に10〜20件程度。

「【経過記録簿】で受け取った報告に対するレスポンスを早めていくことが、今後の課題です」

 とのことで、これからどのようにkintoneを活用していくのか、引き続き注目していきたいと思います。

・胡麻保育所(谷所長補佐)

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「報告しやすくなったことが良いですね。もともと保育所は学校よりも保護者と接する機会が多く、家庭の様子を見守りやすい場所ではあるのですが、kintoneを導入してからどんな些細なことも小まめに報告するようになりました

 これまで「電話する程ではないかも」と躊躇していた情報も、kintoneのアプリを導入したことで、「ひとまず報告しておこう」と思うようになったとのこと。

 子育て支援課の阪本さんがおっしゃっていた「【経過記録簿】を通しての報告件数が増えた」というお話は、ここに繋がるんですね!

・園部中学校(北村養護教諭)

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「kintoneを使用するようになってから、他の機関との連携が見えるようになって安心しました。これまでは子育て支援課に報告したあと、各関係機関がどのように動いているのか見えづらかったので。関係する他の機関の報告内容が確認できると、こちらもその後より適切な対応を取ることができるため、ありがたいです」

 たとえば、中学校で気になる様子を見せた生徒のきょうだいが小学校や保育所でどうだったかなど。他の機関の報告や対応が気になる場面が多々あるそうです。

 kintoneには各機関からの情報が一箇所に集約されてますからね。

 必要な情報を迅速に得られるkintoneの効果は、大きいようです。

・八木中学校(片山教頭・山﨑養護教諭)

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「過去の記録を見返すことができるので、便利だなと思いましたね。紙媒体だとどうしても検索に時間がかかりますから」

 と片山教頭。

 それに応えて、実際に生徒と接する山﨑先生も

「どんな些細な変化も見逃さないために、これまでどのような報告がされてきた生徒なのかを知ることは、とても重要なんです。おかげでより正確な報告、記録を残すことができるようになりました

 とおっしゃっていました。

 何気なく交わした生徒との会話が気になって記録を見返し、改めて報告することもあるのだとか。

「電話だと時間に限りがあって伝えきれないことも、kintoneなら詳細を伝えることができるので、過去の記録を見直して気づいた点なども書き添えています」

 と、kintoneを導入してから日々の報告の情報密度が高まっている様子が伺えました。

・南丹市教育委員会教育参事・榊さん

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より詳細な内容をkintoneで正確に伝えられるようになったことの効果は大きいと思います。電話だとそれぞれがメモを取る過程でニュアンスが変わってしまうこともありましたからね」

 例えば、と例に挙げていただいたのが、電話越に「自殺未遂があって......」と話し始められるのと、「自殺未遂。○月×日リストカットの跡があり......」と詳細が文章で伝えられるのとでは、情報を受け取る側の印象がだいぶ変わるというものでした。

 電話だと受け取った人のメモの取り方によって、どうしても情報量に差が出てしまいますからね。

 kintoneには、状況把握という面において、取り違いや思い違いを減らす効果もあるようです。

 以上、kintoneのアカウントを持っている関係機関の皆さんのお話から、kintone導入によって情報共有にかける時間の削減、共有される情報の質(正確さ)と量の向上、関係者それぞれの動きの見える化が進んだことがわかりました!

・南丹市長・西村さん

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 最後に、南丹市の市長にお話を伺ってきました。

「南丹市は【誰もが安心して、繋がりながら住み続けられる街】を目指しています。「虐待」を防止するためには子どもの様子を見守るだけではなく、子どもたちを取り巻く環境全体をサポートする必要があるのです。その繋がりを強固なものとするために、今後もkintoneの活躍に期待しています」

 子どもたちを見守ることももちろん大切ですが、「虐待」の事例をみると、それだけでは防ぎきれないことがよく分かります。

 虐待防止のためには、子どもを取り巻く環境を各方面から見守り、各機関がしっかり連携をとって迅速に対応する必要があるのだということを痛感しました。

○おわりに

 今回、「虐待防止のためにkintoneはどのように活躍しているか」というテーマで取材させて頂きましたが、正直、私は「虐待」がどういう問題なのかよく分かっていませんでした。

 漠然と、子どもが親や保護者から暴力を受けることを「虐待」と呼ぶのだと思っていたのです。

 おそらく子どもの命が失われるという最悪の事態に至ったケースばかり大きく報道されているからでしょう。

 しかし実際「虐待」の種類は多岐に渡り、心理的虐待やネグレクトなど表面化しにくいケースも多い。そしてその表面化しにくい「虐待」には、実はその家族に関わる社会が検知することのできる、「小さなSOS」もあるのだと知りました。

 「虐待」の被害者は子どもたちです。

 けれど「虐待」に至るほど保護者が思い詰めてしまう前に、周囲が支えられる環境が整えば。「小さなSOS」に気付いて繋がり、適切な関わり方のできる社会であれば。最悪の事態を未然に防ぐことができるかもしれません。

 kintoneのようなITで、子どもに関わる人たちが簡単に連携を取ることができるということは、地域の繋がりが希薄になった現代において重要な意味があるのではないでしょうか。

次のkintone取材記事はこちら。

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