【前編】公立小学校でプログラミング教育!?―3単位時間で論理的な思考が身につくkintoneの新教材!―
こんにちは。葉月へちまです。
いきなりですがみなさんは、「プログラミング教育」というものをご存知でしょうか?
2020年から小学校で必修となる「プログラミング教育」。
でも具体的にどういった教育、授業なのか理解している方は少ないかもしれません。
超文系人間の私も、
「プログラミングってパソコンを使ってなにかするんだよね? なんだか難しそう......小学生にできるの? 」
と思っていました。
しかし!
このたびkintoneを使った「プログラミング教育」教材をつくられたサイボウズ株式会社の中村龍太さんは一言。
「難しいことではありません」
と。あっさりおっしゃいますが、その自信は一体どこから?
「気になるなら今度小学校で実践しますので、見に来てください」
というわけで今回は、埼玉県坂戸市立南小学校で行われた、kintoneを使った「プログラミング教育」の様子を前編後編に分けてお伝えしていきたいと思います!(kintoneがどういうサービスかについてはこちらをご参照ください)
◯そもそも「プログラミング教育」って?
「プログラミング」と聞くと、○○言語といった難しいものを想像してしまうかもしれませんが、文部科学省の説明によると、
「 プログラミング教育とは、子供たちに、コンピュータに意図した処理を行うよう指示することができるということを体験させながら、将来どのような職業に就くとしても、時代を超えて普遍的に求められる力としての「プログラミング的思考」などを育むこと」
(文部科学省ホームページ「小学校段階におけるプログラミング教育の在り方について(議論の取りまとめ)」より引用)
だそうです。
なるほど。
「プログラミング的思考」=論理的な考え方
というわけですね。
コンピュータ等のIT機器の操作方法を学ぶというより、根本的な考え方を身につけてもらうためのの取り組みのようです。
龍太さんは、この「プログラミング的思考」の育成に、kintoneを活用することを思いつきました。
しかし残念ながらサイボウズ株式会社は教育は専門外。
ツールは提供できても、授業のカリキュラムを組んだり細かな指導ガイドはつくれない。
そこで!
アクティブラーニングの教材作りをサポートされている「株式会社 教育と探求社」さんという強力な助っ人を得て、このたび、kintoneを使った小学生向けプログラミング教育教材「TREND HUNTER」を作成されたのです!
○TREND HUNTERとは?
「TREND HUNTER」指導ガイドによると、
とあります。
つまり、筆箱やノートといった小学生にとって身近なアイテムを題材に、クラスメイトがどのような種類のアイテムを持っているのかをチームごとに調査、集めたデータにどういった傾向があるかを分析、最後に話し合った内容を発表する授業構成のようですね。
小学生の頃って自分で買えるものが限られているから、文房具を集めるのが好きな子が多いように思います。
私も香りつきの消しゴムやラメの入ったペンをたくさん集めてました。
小学生が関心を持ちやすいテーマを掲げ、チーム単位で行動することを通じて集積したデータの傾向を児童自ら思考・分析・結果の発表をするように導く、アクティブ・ラーニング。
これなら自然と「プログラミング的思考」が身につきそうですね!
おまけに普段使う機会の少ないタブレットという最新電子機器にさわらせてもらえるというので、きっと小学生の頃の好奇心旺盛な私だったらワクワクしながら取り組んだだろうなあと思いました。
とはいえ、アラサーの筆者といまの小学生では同じ平成生まれでも15歳ほどちがう。
感覚が大きく変わってきてしまっているかもしれませんよね。
実際にこの授業を受けた子どもたちの反応はどんなものだったのか。
さっそく授業の様子をいきましょう!
○授業実践
こちらが埼玉県坂戸市立南小学校です。
「プログラミング教育」の先行授業を行うと聞いていたので、てっきり私立の進学校で行うものだと思っていたのですが......訪れたのは、公立のふつうの小学校。
龍太さんのお話を真面目に聞く聡明そうな子たちだけど、いきなり「プログラミング教育」だなんて大丈夫なんでしょうか?
不安ではありますが、ひとまず「TREND HUNTER」の授業プログラムをみてみましょう。
こちら、全3回に分けて行う想定でつくられたものですが、今回は2020年の「プログラミング教育」の必修化に向けて文部科学省や経済産業省の方々も注目する初の試みということもあり、南小学校皆さんには、2時限目~4時限目をつかって一日のうちに続けて取り組んでもらいました。
【STEP1:調査せよ】
まずは子ども達にどういった授業なのかを理解してもらい、興味関心をもってもらう必要がありますよね。先生による導入が肝心です。
たとえば消しゴム。
「友達はどんなものを使っていると思う?」と聞かれたときに、「みんな、私と同じ白い消しゴムを使っているでしょ?」とこたえる子がいるかもしれないけど、でも本当にそうかな? 思い込みの可能性もあるんじゃない? クラスのみんな聞いて回って調べてみたら新たな発見、今クラスで流行っているトレンドがどんなものなのかが見えてくるかもしれないよ?
と、こんな風に、「データを集めてどんな結果が出るのか知りたい!」という児童たちの好奇心を刺激していくわけです。
こうして始まったトレンド調査。
さっそく6、7人のチームを作り、チーム名を決めたり、調査するアイテムを決めたりと動き始めたわけですが......。
会場はこのようにぐるっと大人に取り囲まれた状態。
文部科学省や経済産業省の方たちといった保護者以外の大人たちに見られる授業って緊張しないのかな? という私の心配をよそに
みんな、前のめりで積極的に取り組んでくれていました。
2クラス合同での説明が終わったあとは各々教室に戻り、kintoneのログイン方法や写真の撮り方などのタブレットの使い方を先生から教わります。
説明、といっても内容はとてもシンプル。
事前に聞いたところだと、「初めてタブレットに触る」という子が半数程度とのことだったのでもっと起動の仕方やフリック入力の仕方を丁寧に説明するのかなと思ったのですが、......想像よりずっと簡易的な説明のあとすぐ、子どもたちはチームに一台配られたタブレットに交代で触り始めました。
ついていけない子はいないのかな? と見回しましたが、みんなタブレット操作のできる子のマネをしてあっさりと、
フリック入力をしたり、
写真を撮ったりしていたのです!
これには担任の山下先生も「子どもって勝手に学んでいくんですね」と驚いた様子でした。
基本操作が分かったら、いよいよ調査開始。
はじめは、なにをすればいいのか、どう聞けば良いのか分からず不安そうだった児童たちも、先生から「まずは調査したいアイテムを持っている人がいるかどうか聞いてごらん」とアドバイスがあるとすぐ動き始め、あちこちで、「ファイル持っている人!」「ハンカチ持っている人!」という声が上がりました。
チームで協力して、データを集める児童たち。
みんな楽しそうですよね。
「インスタ映えするように撮ってね!」なんて声も聞こえてきて、微笑ましかったです。
誰がどんなアイテムをどのくらいの期間してどのように感じているのか、など。
決まった項目に沿ってクラスメイトにインタビューしたあとは、kintoneへ入力、データを蓄積していきます。
このように集まったデータをもとに、分析・発表と続いていくのですが......そちらについてはまた次回。
じっくりとご紹介させていただきます!
○前半を振り返って
取材を行うまで「プログラミング教育」についてなにも知らなかった私ですが、授業の様子を見学させていただいて、なんとなくがどんなものか分かってきたような気がします。
今回、龍太さんの発案でサイボウズ株式会社は「プログラミング教育」の教材作成に乗り出したということでしたが、その経緯はどのようなものだったのでしょうか。
以前から教育業界に関心のある様子でしたけど、(これまでも教育現場で活躍するkintoneの様子をお伝えしてきました! 萩商工高等学校・東京学芸大学)なにか関係が? と尋ねてみたところ、
「デジタルネイティブである子どもたちは、知識の吸収がはやくてあっという間にマスターするので、見ていてとても楽しいんですよ」
という回答をいただきました。
デジタルネイティブ。たしかに私も、タブレットの使い方を一瞬で理解して巧みに使いこなす様を目の当たりにして、今回それを実感しました。
子ども達がこの授業からなにを学び、どのように成長していくのか。
この取材記事を通して少しでもみなさんにお伝えできたらと思いますので、後編もよろしくどうぞ!