選ばれる町づくり―阿武町の試み―
こんにちは。葉月へちまです。
今回はいつもと少しちがう取材記ですよ!
というのも、いつもkintoneの取材に同行させてくださる中村龍太さんが、山口県阿武町の取り組みに興味を持ち、私を連れて行ってくださったからなのです。
- 龍太さんが関心を抱いた阿武町の取り組みとは?
- そもそも阿武町ってどんなところ?
ということを、みなさんにご紹介していきますね!
○阿武町とは?
山口県にある、萩市と隣接する小さな町、それが阿武町です。
綺麗な海と自然豊かな山に囲まれています。
それから「道の駅」発祥の地だそうです。
いまや全国に広がる「道の駅」が最初に作られた場所が阿武町だったんですね。
地方の吸収合併が相次ぐ中、阿武町は合併をせず独自の町づくりを続けることを決断しました。
そもそも何故合併する町が多いのかというと、過疎化が進み、町としてやっていくために必要な人やお金が少なくなってしまったからですよね?
合併の話が出たということは、阿武町もそれだけ追い込まれた状態だったはず。
それでも断ったからには、阿武町だけでやっていかなければならない。
.....どうやって?
そこで今回の取材のテーマ、「阿武町の試み」に繋がるわけです!
○地域再生プロジェクトの中心人物
阿武町の取り組みを探るべくやってきたのは、阿武町町役場。
合併の話を受け入れていたら「阿武町制施行60周年」の幕が張られることもなかったのかと思うと、取材前から「阿武町の試み」を応援したくなりましたが。
せっかくなので、もう少し詳しいお話を聞いてみましょう。
今回の取材に協力してくださったのは左から
- 阿武町役場総務課・企画広報係・課長補佐の藤村憲司さん
- 同じく総務課・企画広報係・【燃える】広報マンの石田雄一さん
- Studio-Lの村岡詩織さん
以上の三名です。
阿武町役場の職員である藤村さんと石田さんはわかるけど、村岡さんは何故ここに?
というかどんな人?
......と名刺を確認してみると、なんと大阪の会社ですがお隣の島根県益田市からいらっしゃってました。
実は「Studio-L」は、地域のプロジェクトをサポートするコミュニティデザインの会社なんだそうです。
地域に住む人が自分達の地域の課題を解決するためのお手伝いをするお仕事、つまり村岡さんは阿武町の抱える問題を解決するためにやってきたアドバイザーだったんですね!
強力なアドバイザーを得て、藤村さんと石田さんは【「選ばれる町」プロジェクト】を打ち立てたのです。
○「選ばれる町」プロジェクト
藤村さん、石田さん、村岡さんが力を合わせ、作成したプランがこちら。
2015年~2019年までの5ヵ年計画なんだとか。
なるほど!
まずは過疎問題を解決するために住居の問題から取り掛かろうというわけですね。
そこで気になるのが「空き家ノート」や「空き家管理」という言葉。
東京に住んでるとあまり馴染みのない言葉ですが、この「空き家」がいま問題になっているのだそうです。
そういえば私もつい先日、田舎でひとりで暮らしていた祖母を亡くし、そのとき知ったのですが、家を処分するのって大変なんですよね。
所有している土地が売れればなんの問題もないのですが、地方だと買い手が見つからないし、たいした金額では売れない。いずれにしてもそのままでは売り物にならないから、さら地に戻すなり修繕するなりしなければならない。その費用が相当かかる。
となると、まとまった処分のための費用が貯まるまでとりあえず放置......となってしまうのも、無理はないのかもしれません。
その「空き家」問題を解決する手段として取材中に頻繁に出てきたのが、「空き家バンク」という言葉です。
阿武町の公式ホームページでも阿武町にある「空き家」が紹介されています。
「空き家バンク」は、主に自治体が定住を促進するために空き家を紹介する制度のことで、全国各地にあります。
不動産屋からの紹介物件ではないので安く住居が手に入る反面、物がそのまま残っていたり、特定の部屋だけ貸主が使いたいという特殊な要求があったりと少々手間のかかる物件も多いのだとか。
それでも「空き家」が空いたまま放置されているよりずっと良いですよね。
「空き家」をいかに活用して活気ある町づくりのために活用していくかが過疎問題解決の鍵なのだということがよくわかりました!
○空き家の活用法
取材中、実際に阿武町の空き家の様子を見せていただきました。
連れて行ってもらって驚いたのは、本当に普通の商店や住宅が「空き家」になっているということ。
こう言っては難ですが......もっとボロボロで使い物にならなそうな家が放置されているんだと思ってました。
こんな立派な建物が、お店が、もう今は住んでいる人がいないなんて。
藤村さんに案内してもらったところは細く長い裏路地がたくさんあり、いい年こいてワクワクしながら散策させてもらいました。
裏路地を抜けると真っ青な海にたどり着きました。
潮の香りを嗅ぎながら思ったのは、こんな素敵な町が「空き家」だらけだなんてもったいないなあ、ということ。
すぐに解決できる問題でないことは分かっていますが、このプロジェクトが成功して、いつかさっき見た商店や通りが人で賑わっているところをまた取材させて頂きたいですね。
あ、でも、すでに活用されている「空き家」も発見しましたよ!
こちらは週に何回か集会の場として活用されているそうです。
「住む」以外にも「空き家」の活用法があったんですね!
実は空き家バンクを活用し始めてからすでに200人くらいの人が阿武町に移り住んでいるんだとか。
「空き家」をただ問題視するのではなく活用して活気のある町づくりへの足がかりにする! 阿武町の今後の取り組みから目が離せませんね!
○ここでもkintoneが活用されてるようですよ...?
ちなみに今回はあくまで「阿武町の試み」がテーマですから、ここからはおまけのお話ですが。
石田さんをリーダーとした阿武町のメンバーとStudio-Lの村岡さんとのこのプロジェクトの組織を超えたチームにおける膨大な資料のやり取りにkintoneが使用されている現場を目撃しました。
質問を受けて龍太さんが指導する場面も。
思わぬところでkintoneがちゃっかり登場して活用されているんですよね。
今後の阿武町の挑戦とkintoneの活躍が楽しみです!