脳は年齢と共に成長する?
親が「子供の記憶力にはかなわない」というのをよく耳にする。
たしかに、子供と一緒にトランプをしたりゲームをしたりすると、勘の鋭さ、記憶する量、その正確さに圧倒される。
だからといって大人は脳が衰えたと嘆くのは間違っている。
大人は子供に比べて、多様な脳の活用の仕方をしているからだ。
例えば、(このようなゲームが存在するかは怪しいが)サッカーチームの監督になるゲームを考えてみる。勝つための戦術・・相手チームの特性、過去の対戦成績、自分のチームメンバー特性、選手毎のコンディション、どのような場面で選手を交代するか等々・・様々な因子を多角的に考慮しながら采配を振るといった「思考する」ことは熟練された大人の脳が勝っている。
テニスの試合なども、子供にはシングル(1対1)のプレーでは負けるかもしれないが、ダブルス戦は頭脳とテクニックで大人の勝利の確率が高くなるというものだ。
情報は毎日脳にインプットされている。脳に格納される情報量は年々増加して蓄積し、ストレージが肥大化するため、情報を取り出すのに検索エンジンはフル回転する。
新しく登場した用語や概念を、過去に経験した既知情報に結び付けることで、合理的で省力的な記憶方法を図ろうとする。
また、誰かほかの人に聞けばわかるという事柄は、「△△については、○○さんが詳しい」と、リンク情報だけ記憶する極意も使っている。
大人には、記憶に頼る学習方法はむいていない。新規に保存する容量が不足しているし、既知情報が多すぎて整理がつかないのだ。だから、これから勉強を始める人には子供の頃と同じ学習方法を適用すべきではない。
ITは益々進化し、これからも新しいテクノロジーが創出されていくであろうが、これからはこの業界を支えていくのは若手だけではなくなる。中堅やベテランが新しい技術や知識を身につけて、持ち合わせているスキルに磨きをかけたり、新規ビジネス創出を狙う機会も増えてくるであろう。
資格取得の勉強やIT学習なども、従来の知識つめこみと記憶に頼る技能の評価から脱却し、「リンク情報の活用を有効に行っているか」、「検索を駆使した情報抽出ができているか」といった大人の思考にあった腕試しの機会をつくっていこう。大人の脳にあった学習方法の確立こそが、日本の情報化産業の層を厚くするものと信じている。(自分の活躍の場を広げるためにも・・・)