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話題のチャンク、仕事のチャンク

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会話をする際、状況や相手によって話す内容の大きさが異なってくる。例えば天気の話をするとき、次のような違いとなってあらわれる。
「きのうは寒かったね。エアコンの温度を28度にしてもまだ寒いなんて信じられないわ。エアコンといえば、この間うちの猫がね・・・」
「きのうは寒かったね。例年なら梅が咲き始める頃よ。これでは消費も冷え込むというものだわね。今後の日本経済は・・・」

このような話す内容の大小について語るとき、チャンク(chunk)という言葉を用いる。
チャンクとは「かたまり」という意味の英語。チョコレートチャンクといえば、チョコのかたまりを指し、肉のかたまりやぶつぎりなど、日常的に使われる言葉である。

かつて、アメリカの教育メソッドを学んだときに「チャンキング(chunking)」という手法のトレーニングを受けた。通信技術やITなどの、難しく、全く新しい概念や技術を人に教えるときには関連する項目やキーワードを一つにまとめて提示することにより、受け手の記憶を促進することができるというものだ。
ビジネス上ではチャンクを意識しながら人と会話をすると、話が整理されて伝わりやすく、スムーズなコミュニケーションがとれるようになるので有利だ。

最近、チャンクを意識することは会話以外にも有効であることに気付いた。
それは仕事のチャンクである。

「生産性を上げる」とか、「生産性が高い仕事をするように」ということが現場で求められている。
生産性を上げるにはどうしたらよいか。生産性が高い仕事とはどういうものか。
生産性が高い会社ってどこだろう?
外資系企業は生産性が高そうだ。期待される売上に達しなかったから日本に拠点を置く意味がない。よって一人当たりの売上高はシビアになる。外資系企業の担当者は守備範囲が広く、一般的に日本の企業人よりも一人で手がける製品や顧客の数が多い。

海外企業と仕事をするときにつたない私の英語で仲介させていただくことがある。
海外と日本の企業で異なる点として浮かぶのは、任される仕事の範囲である。海外からは日本側の担当者のアサインを求められる。だが、日本企業は担当者を明確にしたくない傾向にある。関係部署に相談して最終決断をするので、回答に1日またはそれ以上を要することもある。契約書にサインをするとなると、なおさらだ。法務にかけあったり、会議を開催したり、結論が出なくて暗礁にのりあげるといったことも。。

指示の仕方にも海外と日本での違いを感じる。日本人の作業指示は細かい。
「この資料を15部コピーして製本して。製本の仕方は・・・。できたら声かけて、次の指示するから」
一方、海外では例えばこうだ。
「プレゼンテーションは2月10日。出席者はお客様が8名で当社から4名の合計12名。前日までに会社案内ほかパンフレットを揃えて資料とあわせて営業のアレックスに渡しておいて。」(但し、口頭では行き違いが発生しやすいのでメールなどの文書で伝えることが多い。)
仕事のチャンクが大きいと、責任も大きいが、その分任されているという意識から結果を意識するようになり成功を得たいと思うようになる。
反対に失敗を避けるあまり一つの仕事を複数名で分担したりダブルチェック・トリプルチェックをする体制をとると、個々の真剣みが薄れてしまうことにもなりかねない。一人にどれだけ仕事を与えるか、が生産性のかぎを握っているのである。

仕事を大きなチャンクでとらえて組織としての生産性を高め、売上に貢献する。各々の意識で会社もかわるというものだ。今年は大きなチャンクで物事をとらえていきたいものである。

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