モノづくりにはセンスを
遅ればせながら、iphoneユーザになった。
今更ながら、アップル製品のアプリケーションの充実ぶりに感心させられる。
書物で読んだり、知人と会話しただけではなかなか実感できないものだ。
おそらく、会社貸与のiphoneユーザやipadユーザと、個人が大枚はたいて所有するのとも、活用ぶりは異なるとおもう。
知り合いからは、「App Storeからがんがんダウンロードして使いまくれ」とのアドバイスをもらった。
iphoneを使いこんでこそ、アップルの戦略が理解できるからだそうだ。
確かにアプリケーションが多彩だ。
便利ツール、ビジネスツール、GPS付き移動ツール、ゲーム などなど。
遊戯系やキャラクターなどの流行を追ったITツールに飽きていた私は、この大人用ツールにハマってしまった。
いまや、なくてはならない存在だ。
お気に入りのアプリのひとつに、「Paper Toss」がある。
紙くずをゴミ箱に投げ入れるだけの大変単純なゲームである。右または左から、強さの異なる風が扇風機によって発せられる。風速値が出るので、その強弱で角度をみながらゴミ箱に紙くずを投じる。
連続投下数がスコアになるという単純なゲームである。
これがたまらなくエキサイティングである。
オフィスや空港などのエリアを選んで楽しむことができるが、最近、新しいエリアが追加されることが発覚した。
このマンネリ化させない心遣いもニクい。
このゲームの遊びゴコロが私にはたまらない。
すっかり虜になってしまった。
そして、作者のユーモアのセンスとゲームの完成度と、利用者の楽しみのツボを心得ている部分にプログラマーのスキルの高さを感じてしまう。
プログラムはただ、バグのないコードを書くというものではないのである。
モノづくりとはそういうものである。
最近の商品作りは、「売れるものを安価に大量につくって薄利多売を目指す」という方向に向かいすぎてはいないだろうか。
「質より量」とか「量より質」というように、量と質がモノづくりの測定基準になっている感がある。
サービス業界では、「パフォーマンス」と「クオリティ」という言葉に置き換えて語られることもしばしばである。
薄利多売のケースでは「量 = パフォーマンス」が重視されるということになる。
質といえば、これは日本が古来から職人気質として大切にしてきた、世界に誇れる技能である。
その精神は美を追求するところからくるのであろうか。。
この部分はもっと評価されてしかるべきである。
ところで、以前にニューズウィークで読んだデンマークをはじめとするヨーロッパの新興家具の兆しについて書かれた記事に心残るものがあった。それは、「いまや家具も低コストで安価につくれる時代に突入している。だが、その安価な家具とデザイナーが一線を画すのは、デザインとセンスである」という。同系家具づくりのためのデザインの模倣はやむをえない業界のようだが、新たな作品を産むことはデザイナーにしかできないというのである。
この意見に賛成であり、商品の良しあしは「質」「量」に加えて「センス」でも評価したい。
モノには、製作者の魂が込められていてもらいたい。そこから感動が生まれ、モノを大切にする気持も生まれるというものだ。
ひとつのゲームからそんなことに思いを巡らせることとなった。
いまは新たに見つけた形状の異なる木製ブロックのパズル「Unblock Me」にハマっている。