政治不信に別れを告げ、統治を創造する。
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岡山県知事選挙に、一井あきこさんという一人の女性が立候補しました。脱しがらみ、脱利権ということで県議を辞して民主党を離党し、裸一貫で選挙戦に臨む構えです。彼女にとって頼みの綱は、自分の足で多くの地域を回って住民とコミュニケーションをとってきたことと、Facebookを中心とした支持者との繋がりです。
私が彼女を支持する理由は、現状の岡山県政の財政的な状況をしっかりと分析した上で、雇用創造こそが岡山県を活性化する方法だと明確に打ち出している点です。これまでの公共事業に頼った政策では県政が立ち居かなくなる、成長分野に特化した形で起業家を育成していかなくてはならないという彼女の危機感は、ヨソ者としての私から見ても実感するところです。
岡山県を含む多くの地方自治体においては、まだまだ地方交付金頼みの公共事業型雇用創出が目立ちます。しかし、公共投資による乗数効果が1.2を下回っている現状では、もはや大きな経済効果は見込めません。むしろ、非効率な公共が地域の様々な事業を仕切るのではなく、そこに住む住民が自発的に事業を推進する形に移行していかなければ、今後多くの自治体が破綻に向かっていくことでしょう。
実際に、2000年代初頭に始まった平成の大合併、そして2006年の小泉内閣における三位一体の改革によって、国から地方へと税源委譲は為されました。これまでは霞ヶ関が政策を決め、金を分配することで地方をコントロールしてきましたが、今後はより住民に近い立場の政治が機能しなければならないというわけですね。
ソーシャルメディアの発達、東日本大震災の発生、政府組織への不信、、これらの要素が組み合わさって、新しい潮流が生まれようとしています。既存の政府組織の限界をソーシャルメディアを中心とした緩やかな連携が補完し、新しい公共としての役割を担う主体が登場する、統治構造の刷新です。
我が国においても、大多数の民主国家においても選挙によって選ばれた議員が政治を担当する間接民主制が採られています。けれども、IT技術の発達によって直接民主制が可能なのではないかという言説も見られます。実際に、原発の是非を問う住民投票を望む声も大きくなっています。
昔ながらの日本社会においては、家長制で家の主たるお父ちゃんの意見がその家庭の意見でした。村の寄り合いでは、男衆が集まって方針を決め、その集合体が村社会をつくっていました。そこから企業中心の契約社会へと変遷し、今また変革期を迎えているのです。
その萌芽は確かに至るところで見つけることができます。大阪では気鋭の首長が既存政党を凌駕する勢いで支持を伸ばし、まさに「オープンガバメント」で府と市という自治体統治構造の刷新を進めています。佐賀県武雄市では、Facebookを活用した市長が登場し、内外の支持者との直接対話を実現しています。
政治は自分たちの生活には関係ない、そんな悲観をしていた若者たちにとって、政治は随分と近いところまで降りてきました。自分たちの統治構造を創造するのか、それともまだ現実は変えられないと諦めるのか、私たちは大きな岐路に立っているのだと実感します。
「統治」を創造する 新しい公共/オープンガバメント/リーク社会
当エントリに関連する過去エントリは以下のとおり。
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日本の限界集落が必要な理由
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