[書評]半島を出よ
ドル暴落とアメリカ覇権構造の終焉から日米関係の悪化し、アメリカは日本経済をスケープゴートにして食料やエネルギー価格を高騰させた。それによって日本の産業競争力は徹底的にやられ、円安が進行して国民の預金封鎖が起こる。。絵空事とは思えない状況から物語はスタートします。
国際協調関係の微妙な変化を受け、38度線にあった国境線を九州に移行せんと動く北朝鮮のコマンド部隊、周到に用意された福岡ドーム強襲、身動きの取れない自衛隊と関心のない在日米軍など、有事があった際には日本の危機管理能力は実際こんなもんなんだろうな、と思うような描写が続きます。
それに立ち向かうのは、日陰者と言われていた社会のマイノリティたち。重武装した北朝鮮コマンドたちを相手に少年たちが取った行動とは?息も着かせぬような展開と徹底的にリアリティを追求した流れは、閉塞した日本社会に対して痛烈な皮肉となって迫ってきます。
作中では「近未来」だった時間軸が、ちょうど2011年4月現在の日付で事件が進む展開になっています。そして現実では、福岡から福島に場所を変えて、日本の危機管理能力を発揮していかなければならない事態に直面しています。何も決められない政治、刻一刻と迫るタイムリミット、日本を取り巻く周辺各国の思惑、、まさに現在の危機的状況です。
もはや現実がフィクションを超えた感のある現状ですが、もちろん希望はあります。むしろ、戦後からこれまで経済成長一辺倒で拡大し続けてきた日本社会の在り方こそが異常なのではないか。そう考えると、様々な制度破綻には納得がいくと思うのです。
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