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日本を環境立国にするために、ITベンチャーを飛び出して起業しました。

僕らが創る、新しい社会

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日本を激甚災害が襲っています。東日本の広い範囲で建物の倒壊をもたらした大地震、それによって東北太平洋岸を襲った大津波、そして福島の原子力発電所トラブル、、震災からの力強い復興とエネルギー供給の転換から新しい社会を創っていくことが日本国民の使命となりました。


ph001.jpgのサムネール画像当ブログにおいても、エネルギー転換やそのための新しい社会づくりの提案を行なってきましたが、ここまで急激な転換を迫られるとは予想していませんでした。とくにエネルギー問題は深刻で、東日本では計画停電が行なわれる等のエネルギー利用の制約が出てきています。電力消費ピークは夏ですから、長期にわたってこの問題が産業界全体に波及することは間違いないでしょう。


すでに操業停止を行なう工場や社員に自宅待機させる企業が目立っており、中小企業の倒産や雇用環境の悪化が心配されるようになってきています。もともと新卒内定率の悪化は顕在化しており、この事態に至って職に就けない若者は増加するに違いありません。また、都会で働いている人々もこの事態に対して何もできない自分に不甲斐なさを感じているのではないでしょうか。


私たちが便利さとともに忘れてしまったもの、それは先人たちの知恵です。自然に寄り添って、エネルギーや食料を自然から採取しながら持続可能な形で生きてきた歴史に、いつの間にか背を向けてしまっています。「津波のときは井戸を見ろ」という教えで助かった人もいれば、飢えに苦しむ人は食べられる野草などが分かれば命を繋ぐことができるかもしれません。


ちょうど、若者たちと知恵や技術を持つ先人たちが語り合う映画が公開されています。映画『森聞き』森の聞き書き甲子園での高校生と名人たちの交流に迫ったドキュメンタリー映画で、これまでなんとなく生きてきた"普通の若者"が、焼畑名人のおばあちゃんや杉の種取り名人、茅葺き名人、伝説の木こりの話を聞くことから「生きるとは何か」「仕事とは何か」を学んでいくものです。





そこにあるのは圧倒的なリアリティであり、自分の孫のような年代に対しても真摯に向き合う魂の会話です。「その仕事の楽しいところは何ですか?」という質問に対して、「楽しいからやっているわけじゃない、生きるためにやっているんだ」と怒る姿に、この災害に対して何もできない自分の不甲斐なさが重なりました。


先祖代々続く固有種を守るために数十年周期で焼き畑を行なう姿、縄と棒だけで杉の木を登る技が今目の前で途絶えようとしている現実、伝統的な家屋を守るために茅を育てる職人のチーム、森とともに生きる厳しさと豊かさを語る伝説の木こり、、誰もが自然の声を聞き、その中で自分の役割を全うしようと生きています。


もちろん、ここに紹介されている仕事がすべてではありません。季節に応じて、種まきや収穫の時期によって演じる役割は多岐に渡り、"百業"としての仕事の重さと深さに都会でお金を稼ぐために働くこととは何かを考えさせられます。「テストで良い点数を取るための勉強はやる気が起きない」という高校生と同じ目線で、その仕事に魅入られた自分がいました。


都会で職がなくても、地域に来ればいくらでも仕事はあります。都会ほど稼ぎはないかもしれないけど、やるべきことは多岐に渡ります。食べ物も住むところも、家族のような仲間たちもそこには存在します。自分が何の役に立てるのだろうか?という疑問に対する明確な答えがあります。


私自身も、この4月から岡山県美作市で実際にこの"百業"にチャレンジしていくことになります。この場所は日本の地域でも珍しい、若者が何でもチャレンジでき、そこで持続可能な働き方を創っていける環境が整っている場所です。その限界集落でエネルギーの自給とコミュニティに立脚した社会インフラづくりを行なうことで、私たち世代が考える新しい社会の形を創造しようとしています。




この災害はとても悲しく、復興への道は厳しく大変なものとなることでしょう。でも、これをきっかけにして日本の再生がはじまった、自然と共存する新しいライフスタイルが日本でいち早く実現されたということになれば、人口減少とエネルギー危機に対応したフロントランナーとして日本が世界に先駆けることになります。


先人たちの知恵を活かしながら、サステナブルな資源として自然を利用していく。新しい社会の形は、どうやら私たちの足元にあるようです。







当エントリに関連する過去エントリは以下のとおり。
東京電力と契約しなくなる日
もう1つの静かで、でも熱い甲子園
日本が発展していく、3つの理由



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