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TPP加盟の「大義」とは

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昨今、耳慣れないTPPという言葉がマスメディアなどを騒がせています。TPP=環太平洋戦略的経済連携協定(Trans-Pacific Strategic Economic Partnership)の略で、つまり太平洋沿岸諸国で自由貿易協定を結ぶという国際的な取り決めになります。ブルネイ、チリ、ニュージーランド、シンガポールから始められたものが、オーストラリア、ベトナム、ペルー、そしてアメリカの加盟によって広く展開されつつあります。


そもそもTPPは、例外品目なく100%自由度の高い通商自由化を実現するという包括的な戦略協定であり、日本において話題になっている農産物のみならず、知的財産や労働力といった日本の産業競争力の根幹を揺るがす問題まで含まれています。これは慎重な議論を前提として加盟の是非を決めていくべき内容でしょう。

参考:環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の概要と意義(PDF資料)


どうして今になって、日本政府が「国を開く」といった表現を使ってこのTPP加盟を協議しているのかと言えば、2010年10月頃からアメリカがこのTPPを急速に推し進めている背景があります。これはオバマ大統領の中間選挙と時と同じくしており、つまりアメリカで何らかの政策転換が行なわれたということが示唆されます。


もし仮に日本とアメリカの両国がTPPに加盟すると、貿易金額の9割を日米間で占めることになります。つまり、このTPPとはほぼ日米間の自由貿易協定と呼んでも差し支えないわけで、しかも包括的に関税を撤廃する形になります。オバマ政権は5年以内に輸出を倍増させることを目指しており、その戦略目標のなかに対日貿易政策も組み込まれることになります。


そのために現在は極端なドル安レートが進行しており、経済成長率の高いアジア諸国への輸出を増やしていこうとしています。そのために包括的な自由貿易協定であるTPPが有効に作用すると考えており、つまり日本という同盟国がまずTPPに入ることは織り込み済になっています。


一方で最大の輸出先と見られる中国がこのTPPに加盟するかといえば、なかなかそう思い通りにはいかないでしょう。現在、米中首脳会談が行なわれていますが、アメリカ側もTPP加盟までには踏み込めていないようで、中国としてもASEAN諸国との個別FTAを進めていく方針です。


いずれにしても、このTPP加盟という問題は日本にとって踏み絵を迫られているようなものでしょう。これまでのように親米路線でいくのか、民主党当初のマニフェストの通り東アジア協調を進めていくのか、このTPPの行方次第では今後の日本の外交戦略自体が決定されます。いや、外交以外でも金融や労働市場といった分野での自由化も進められていくことでしょう。


もっとマクロの視点で見れば、このまま対米協調の石油文明グローバリズムを続けていくのか、それとも少しは自主性を発揮して関税自主権くらいは自国で交渉するのか、キチンと考えれば分かると思うのですが。







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