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『トイレの神様』の起源

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昨年の紅白歌合戦でもっとも話題になった歌手の1人に、植村花菜さんがいます。『トイレの神様』という祖母との想い出を唄った曲で、10分近い演奏は異例とも言える内容です。




歌詞のなかでは"トイレの神様"は女神様でべっぴんさんだということなのですが、昔から仏教では、トイレは不浄の象徴であり、悪魔や魔物が出入りするところとされてきました。そこに烏枢沙摩明王(うすさまみょうおう)が祀られることによって穢れを焼き尽くすと言われており、"トイレの神様"の起源となりました。


実際にトイレ掃除をすると、金運に恵まれるとか商売繁盛するとか、風水的にも様々なことが言われています。私はそれほど信心深い方ではないのですが、トイレという場所は空気が淀みがちであり、またちょっと物思いに耽る空間でもあるので、そこをこまめに換気したり掃除して清潔に保つことで、考え方もプラスの方向になるのではないかと思います。


最近は古民家を改修するなどの案件が増えてきて、そこで問題となるのがトイレをはじめとした水回りです。昔の家は汲取り式だったり、ぼっとん便所と言われるようなタイプのものが多いですが、やはり衛生的にも現代人の生活水準に合わせたものを提供したいと思います。


DSC_7556.JPG そこで登場するのがバイオマストイレであり、間伐材を使って細菌によって自然に分解するようなトイレを作ろうといろいろ試行錯誤しています。実際に杉チップなどの多孔質に嫌気性微生物を投入し、多層で分解するプロセスでは臭いや汚れは気にならないほどに実用化されています。


このようなバイオマストイレを普及させると何が起こるかというと、従来は水洗トイレなどで流していた「資源」が回収・再利用できるようになるのです。具体的には、東京湾などの富栄養化の一因となっている生活排水の水系への流入を減らすとともに、農業にとって必要不可欠なリンの自給率を向上させることができるのです。



どうやら、"トイレの神様"を大切にすることによって我々の生活が豊かになるのは本当のようです。日本の上下水道技術は世界に売れると言われていますが、そこにさらに資源リサイクルのプロセスを組み込めば、世界の食料問題を救うソリューションになり得るでしょう。








当エントリに関連する過去エントリは以下のとおり。
日本の水道哲学を世界に輸出する
地球温暖化よりも重大な問題
日本の第一次産業が有望な理由



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