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アンモニアでクルマが走るようになる

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英ネイチャー誌において、「A molybdenum complex bearing PNP-type pincer ligands leads to the catalytic reduction of dinitrogen into ammonia」なる論文が発表されました。東大のプレスリリース(PDF)にも掲載されている通り、大量の化石燃料を必要とするハーバー・ボッシュ法に代わる次世代型窒素固定法として有望な内容です。

アンモニア合成、東大が新手法 次世代エネルギーへ期待
アンモニアを合成する際に大幅なコストダウンが期待できる新手法を、西林仁昭・東京大准教授(触媒反応工学)らのチームが開発し、5日付の英科学誌ネイチャー・ケミストリー電子版に発表した。

アンモニアは燃焼させればエネルギーを取り出せる上、排出するのは二酸化炭素ではなく窒素と水だけで、環境にも優しい。西林准教授は「今回の発見は、化石燃料に代わる次世代エネルギー源への重要なステップ」としている。

現在の生産方法は高温高圧の状態をつくるため化石燃料が必要だった。チームは、反応を促す触媒としてモリブデンを含む化合物を新たに開発。有機溶媒にこの触媒と、水素供給のための物質などを混ぜ、窒素を満たした試験管に入れると、20時間ほどで効率良くアンモニアができた。この方法なら常温常圧でも化学反応が進むとしている。

空気中の窒素を固定するハーバー・ボッシュ法は、20世紀の食糧増産を可能にした窒素肥料の製造方法として、重要な役割を果たしました。今回の発見ではモリブデンを含む化合物の触媒反応によって、常温常圧で空気中の窒素をアンモニアに固定できるために、これら化学肥料などの生産について大幅なコストダウンが可能となります。


それだけではありません。現在、石油をはじめとした化石燃料という"エネルギー通貨"に代わる、次世代エネルギーの開発が行なわれています。「可搬性と体積当りエネルギー容量の高い液体」という条件において、なかなか石油に代わる"エネルギー通貨"の開発ができなかったわけですが、これによってアンモニアがその地位を占める可能性がでてきました。


つまり、太陽光や風力といった安定しない一次エネルギーから水素を生成し、この化学反応によってアンモニアという液体にエネルギーを貯蔵するといった"エネルギー通貨"としての働きが期待できるわけで、これまで懸案だったエネルギー貯蔵の問題が解決するというわけです。


もちろん、実用化に向けてはまだまだ課題があるでしょう。でも、この発見によって安定しない自然エネルギーを貯蔵して、可搬燃料として移動させるという従来インフラを活用する形での運用が見えてきました。もしこれによって産業構造の大転換が起こるようであれば、ノーベル化学賞級の発見と言っても過言ではないでしょう。


個人的にも、アンモニアを使った内燃機関などをリサーチしながら、実用化を期待して待ってみたいと思います。





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