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日本を環境立国にするために、ITベンチャーを飛び出して起業しました。

ソーシャル起業にチャレンジするための5つの選択肢

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私はベンチャービジネスでの新規事業の経験を踏まえて自分自身で起業した身ですが、昨今の流行りとしてはいわゆる上場を目指していくような事業拡大型のベンチャー起業というのは難しいと考えています。一方で、最近では環境や福祉、国際協力の分野でソーシャルビジネスと呼ばれる起業スタイルが増えており、事業型NPOやLLPといった形での創業が相次いでいます。


そんな現在のソーシャル起業スタイルについて、いくつかのパターンがあると思うのでまとめてみました。


1. スモールビジネスとしてのソーシャル起業

これは私の会社、株式会社エコブランドも該当するモデルですが、Webデザインや特定分野での事業コンサルなど、専門スキルがあって個人が独立してスモールビジネスを始めるものです。資金調達は自己資金や公的融資の範囲内で行なう一方で、事業規模の拡大はそれほど目指さないことになります。

ほとんどの人が、このような形で株式会社もしくは事業型NPOを立ち上げることになるでしょうが、倒産率が高いのもスモールビジネスの特徴であり、自分自身の力量を見誤ったり、そもそも営業が上手くできなかったり、想いや理想だけで起業するパターンが多かったりします。とくにソーシャルビジネス分野では、金にならない社会課題の解決を志向しなければならないために、事業モデルのつくり込みであったり、支援者の拡大といった部分でリスクヘッジしていく必要があります。

ちなみにスモールビジネス起業においても、営業キャッシュフローや収益性の向上によっては、さらに人員を増やす等の身の丈に応じた事業拡大は行なうべきであり、また継続していくに従って他社とのJVであったり、プロジェクトベースで大きな案件を任せられる可能性は広がります。


2. 一般企業に就転職して、社内でソーシャルビジネスを立ち上げる

一昔前に流行ったモデルであり、CSR(企業の社会的責任)の一環として社内ベンチャーとしてソーシャルビジネスの新規事業をやっていくパターンです。この起業モデルだと、毎月のお給料や社会保険などが保障されるので当然リスクは低い一方で、経営陣の意向であったり本業とのシナジーを当然考慮しなければいけないために、制約条件は大きくなります。

一般的に、社内ベンチャーは成功しないと言われており、それは起業家自身のコミットメントであったり、景気変動で予算カットされて消滅するといった事例が多く存在します。ある程度まで予算を獲得した上で、できるだけ新規事業立案の自由度を上げることがその事業の成否を左右する鍵となり、それは起業家のこれまでの社内での実績であったり信頼に因って変動する要素です。

一方で法令遵守の観点から、廃棄物処理や障がい者雇用といった分野について社内でソリューション開発することで、社外に対しても「売れる」事業になる可能性もあり、これまでコストセンターだった部門がプロフィットセンターに化けるといったケースも考えられます。


3. 事業型NPOの事業を資本投下によってスケールアップさせる

これはここ最近もっとも注目を集めているもので、とある分野や地域において成功した事業型NPOのモデルを、資本投下によって特定業界全体に波及させたり、全国的に展開させるといったものです。東京都内で病児保育を展開するNPO法人フローレンスの事業を、ゴールドマン・サックス証券が支援して横浜市に展開するといったニュースが最近でもありましたね。

この場合、事業性に関してはある程度担保されている一方で、行政や金融機関との利害調整ができる起業家でなければ難しいモデルです。上記スモールビジネス起業で特定分野の専門家として自身の手の届く範囲で行なっていた事業から、資本のチカラによって再現性のある形で拡大させていく能力は、まったく違う観点での考え方を要求されます。

一方で大地を守る会のように、特定分野での事業型NPOが株式会社に事業転換し、IPOを目指すといった動きが出てくることは日本経済全体にとっては歓迎すべき流れであり、起業家としてもリスクを低減しながら事業拡大できるモデルとして、今後も注目すべき起業スタイルであることは間違いないでしょう。


4. ローカルファイナンスでの、市民金融型ソーシャルビジネス

これは現在私もさとまるLLPという組合をつくって実践しているモデルですが、スモールビジネス型の起業家の組合(LLP)=プレイヤーと市民ファンド(LLC)=投資家という組み合わせによって事業を拡大させていくものです。株式会社における経営と実務の分離という仕組みを起業家と市民ファンドという形に応用したもので、この場合は配当を必ずしも現金にする必要はありません。

この場合に鍵になるのが地方金融機関であり、本来の役割である地域産業の振興という目的に対して、市民の預金を運用しながらソーシャルビジネスに投資していくことになります。当然、地方金融機関と市民、そして行政の足並みが揃っていなければ事業が上手くいかないために、強いリーダーシップが必要になります。

現在、「とかちのモデル」と呼ばれているローカルファイナンスの仕組みが全国的にも注目を集めており、地域活性化の切り札として様々な地域で実践的な取組みが始まっています。


5. 資本投下とローカルファイナンスのハイブリッドモデル

上記 3. の資本投下と、4. のローカルファイナンスを組み合わせたものであり、市民ファンドとその地域に貢献したいという地元企業の出資によって、資本と事業性の両面からその地域でのソーシャルビジネスを支援していくものです。起業家に対しては、資金的な支援のみならず人的支援、営業支援といった多くのメリットが考えられます。

今のところ、まだこのモデルでソーシャルビジネスが行なわれている事例はありません。第三セクターのように、採算の合わない事業を行政からの支援によってなんとか継続させているといったネガティブな状況を、アクティブな起業スタイルに変えていくためには、地域をよくしていきたいとコミットする起業家の存在が重要になります。

ただし様々な試行錯誤を経て、儲からないと言われていたソーシャルビジネス界隈に事業メリットを極大化させる選択肢が多く出現してきたことは事実です。それが希望となって、日本社会に元気を取り戻す流れになっていくのではないでしょうか。


以上のように、経済環境の変化によって、新しい起業スタイルが勃興し始めています。この傾向は間違いなく増えていくことでしょう。これまでのベンチャー起業においては、金銭的な報酬が良くも悪くも主眼を置かれていましたが、今後は社会的な報酬、つまりどれだけ社会を良くすることができたかという評価について、新しい指標が必要になってくるのかもしれませんね。



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