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日本を環境立国にするために、ITベンチャーを飛び出して起業しました。

日本の水道哲学を世界に輸出する

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菅内閣の「新成長戦略」が発表され、そのなかで開発途上国に対するインフラ整備技術提供が重点施策として掲げられています。エネルギー分野とともに、水道分野も「輸出」すると示されていますが、一方でこれまで国内の水道事業は自治体が運営してきたということもあり、それをパッケージ化して海外に輸出する発想はありませんでした。

日本の水道をアジアに輸出せよ!国家の重点施策に掲げられた「水ビジネス」の盲点
これまで、環境政策の多くは国内完結型のものでした。そこからいきなり海外展開を目指すと言っても、そのまま順調に進むとは思えません。国内展開という「内向き志向(内から内)」から、海外展開という「外向き志向(内から外)」に、単に切り替えるだけではダメなのです。

海外に出て行くのであればなおさら、日本の現状を改めて知る必要があります。海外に出てこそ、日本を再認識するという「価値観の相対化(外から内)」という視点を持つことが重要なのです。


最近は途上国支援をしたいという若者が増えていますが、経済発展というのはインフラ開発を伴わなければ決して上手くいくものではありません。とくに食料生産や公衆衛生に対してボトルネックとなるのは水資源の偏在であり、ローマ帝国時代から文明の高度化に対して水資源が大きな影響を与えていたという歴史があります。

国連開発計画(UNDP)によれば、「開発途上国に住む5人に1人(約11億人)が、1キロ以内から1日20リットル以上の安全な水を確保できない状況にある」といいます。一方で、東京都水道局の調査によると、私たち1人あたりの家庭用水使用量は1日245リットルにもなります(主な内訳は、トイレが68.5リットル、風呂59リットル、炊事が56.5リットル、洗濯が41.5リットル)。開発途上国と日本との比較だけでも、水資源が地域によって偏在していることが理解できると思います。


たとえばバングラディシュは、世界中のチャリティ基金が集まる援助大国となっていますが、一向に生活水準が向上することに繋がっていません。井戸を掘ってもそこに大量のヒ素が含まれていたり、善意で行なった行動がさらなる悲劇を呼び起こすケースが続出しているのです。

社会貢献をしたいという若者が当社に問い合わせしてくることも多いですが、そのときに伝えることは、日本の自然環境を守ることが国際社会への価値提供に繋がるということです。もちろん、現地NGOにボランティアとして飛び込むことは崇高で素晴らしいことですが、自分1人で助けられる範囲にも限界があり、ビジネスや国家の仕組みを活用することこそがより大きな効果を生み出す方法なのです。

だから、当社は「日本を環境立国として世界のお手本にする」という理念を以て、まずは森林を中心とした自然環境資源の再定義から事業を開始しています。

"Think Globally, Act Locally." を体現することによって、より多くの若者たちに日本が持つ資源の素晴らしさに気づいてもらい、それを世界に伝えていってもらいたいと思うからです。

日本は、国土の67%が森林です。森林は、雨水を土壌に染み込ませ、リンや窒素などの富栄養化の原因となる物質を土壌中に保留する一方、土壌中のミネラル成分などがバランス良く溶け出し、渓流へと流出されます。このような自然循環の働きにより、森林は水を浄化し、おいしい水を生み出すのです。

しかしいま、日本の森林は管理が行き届かず荒廃が進行しています。海外で水ビジネスを展開する一方で、日本の水環境が悪化することは、まさに本末転倒といえます。水に悩む開発途上国の人々に対し、水に関する教育プログラムをつくりつつ、その過程において、私たち自身が日本の森林問題を再認識し、対応を講じて行く必要があるのです。

こうしたなかで、私たち自身の水に対する理解が深まり、結果として、開発途上国の人々に対して、水の大切さを伝えて行くことができるのではないかと考えます。


回り道かもしれませんが、誰も病人から元気になる秘訣を学びたいと思わないでしょう。内患を排除してから外憂しても、遅くはありません。

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