クラウドサービスでのデータ取り扱い規定
「旅行アプリで実感 Googleに個人情報を渡すリスクと利便性」(ITmediaエンタープライズ)という記事を読みました。
Googleの各種サービスはログインして使うのが基本であり、同意して使えばその個人の様々な情報がGoogleに渡ることになるだろうとは思っていました。ただ、どのサービス(アプリ)でどこまでの情報が渡るのかを正確に把握している人は多くはないのではないでしょうか?
この記事によると、旅程を組むにはあたって、その人のGmailを参照しているとのことです。機械的に抽出しているだけであり、内容まで見ているわけではないというのは、理屈ではわかっていますが、何となく不安にさせられなくもありません。
この記事の中でも触れられているGoogle Mapsの「タイムライン」という機能を利用すると、スマホのユーザーがどこに立ち寄ってきたかということも記録として残るようです。そんな機能あったのか、ちょっと怖いかも、と思って自分のiPhoneをチェックしてみたところ、タイムラインには何も表示されませんでした。注釈として、バックグランドでの現在地へのアクセスを許可しないとタイムラインが適切に機能しません、ということが書かれていました。位置情報を「常に使用」としているとバッテリーの減りが速いのではないかと思ってこの機能をオフにしていただけで、プライバシーの面で考慮していたわけではなかったのですが、結果オーライといったところでしょうか。
おそらく他にもこのようなことは様々なスマホアプリであるのではないかと思います。GoogleやAppleが提供しているサービスはクラウドサービスそのものであり、クラウドということはユーザーがアクセスすることによってなんらかのデータの痕跡を残すものです。その対価として、様々な利便性を享受していると言えるわけですので、プライバシーやセキュリティが気になるのであれば、設定によってデータが残ることを最小限にする、あるいはアプリを使わない、という選択をするしかないでしょう。
次元は異なりますが、企業が利用するクラウドサービスも同じことが言えます。いま、グローバルレベルで広く企業にクラウド環境を提供しているのは、Amazon、Google、Microsoft、IBMの4社であるとされています。この4社の間でもデータの利用についての規約はそれぞれ異なります。
私の勤務するIBMのクラウド、その中でも代表的なサービスとして存在するWatsonは多くのお客様に関心をいただいています。私がお客様にご紹介するときにご説明していることとして、お客様がWatsonを利用する際のデータに対してIBMがアクセスすることは決してありません、というものがあります。これは規約にきちんと明示されており、安心して利用いただくためにお話をしています。
他社ではどうか、ということは私の立場から述べるのは適切ではないので差し控えますが、サービスによって様々な規約が存在するようです。クラウドサービスを利用する際には、そのサービスのデータの取り扱い規定がどうなっているかを、きちんと確認することをお勧めします。納得した上で、企業価値の向上に結びつくようなクラウドサービスの活用を実現いただければと思います。
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