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人工知能とどう向き合うか〜小学校の学校便りから

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人工知能に関する世の中の関心度合いは昨年、急速に高まったように思います。
クラウドはIT業界のあり方を変える大きなトピックスではありますが、ITとあまり縁がない人々にとってはあまり興味を引くものではありません。
ところが、人工知能は普通の人の生活にも大きな影響を与えるものではないかと、漠然とでも感じる人が多いのは間違いありません。自分にとっておすすめの製品を示してくれる、チャットであたかも人とおしゃべりしているかのように会話ができる、といったレベルから、先進的な医療を支えている、セキュリティ強化に貢献している、といったレベルまで、多岐に渡る内容で人工知能が関与している、というように思われています。中には、人工知能とは直接関係がなく、分析の強化により実現されているものもあるようですが、いずれにしても人工知能が何かを変えると感じている人は多いようです。

一方で、人間の仕事を奪う脅威の存在となる、という論調もよく見られます。あるいは、人間を支配することになる恐怖の存在となりうる、といったものも見かけます。私個人としては、人工知能に任せられる仕事は任せて、人間にしかできない本質的な仕事に注力することが重要だと思っています。ITにより単純集計作業が人間の手から離れた結果、それに変わる仕事に従事するようになったわけですから、長いスパンでみれば人工知能についても同じことが言えると考えています。

先日、子どもが通う小学校の「学校便り」で、校長先生が人工知能について書いた文章を読む機会がありました。主に保護者に向けた内容ですが、高学年の生徒であれば理解できるかな、というくらいの水準です。要旨としては、人工知能は人間がはるかに及ばない処理能力を持っていて、一定の範囲の仕事は人工知能にとって変わられるだろう、ただ、これまでに直面したことのない内容に答えることや直感で判断することは苦手であり、そういったいわばクリエイティブな部分においては人間がこれからもやっていく、そういった対応力、応用力、創造力を育む教育が今後より重要になっていく、ということでした。

結構な長文なのですが、論旨が明快でわかりやすく、さすが校長先生とうなってしまう文章でした。校長先生はITに長けているとは思いません(もちろん確認はしていませんが)。しかし、人工知能の特性と限界をよく理解されているなと思いました。人工知能を恐れる必要はなく、人工知能をうまく利用しつつ、人間は人工知能にはできない部分で活動すればよい。人工知能をうまく利用できるかどうかが、今後重要になっていく。この視点で言えば、人工知能の中身、特徴を詳しく知る必要はなく、使いこなすための力を子どもたちは磨いていけばいいということになるのでしょう。

人工知能は中身としてはITですが、使い方、存在としてはもはやITではないのかもしれません。ITとして人工知能に触れている自分としては、少し考えさせられた文章でした。

IBM 中山貴之のWeb Page (平日は毎日更新中)

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