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オンライン・ディスカッション(Jam)から生まれるもの

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IBMではひとつのテーマに対して、多くの人が意見を表明する場が時折設けられます。主にイントラネット上に自由に意見を書き込むことのできる場が設けられ、このオンライン・ディスカッションのことをJamと呼んでいます。 Jamは、ジャズ・ミュージックにおいてミュージシャンが即興で演奏する「ジャム・セッション」から名付けられたもので、自由闊達に意見をぶつけ合うさまは、まさにジャズのセッションに近いものと言えそうです。

JamはIBMグローバル全体で開催されることもあり、その際には数万人の参加者が様々な意見を表明します。所属や職種、役職は問われません。グローバル全体となるととても大規模になりますので、いくつかのサブテーマにわけてセッションの場が開かれることもあります。意見は言いっぱなしではなく、それに対して賛同や別の意見を出したりできるようになっており、かなりヒートアップすることもあります。

セッションテーマは、新たなビジネスのタネとなるアイデアを募るもの、生産性向上のためになすべきこと、など様々です。Jamの単位が小さくなればなるほど、テーマはより身近で具体的なものになっていきます。

主催者側は、出された意見を吟味しますが、Jamの成果をきちっとした報告書にまとめることはあまりありません。こういった意見が出され、それに対してはこんな異論も出されました、といったように、ゆるいレポートが出される程度です。参加者も、Jamで意見を述べ、戦わせることに意義を見出していて、参加して楽しかったという思いでブラウザを閉じる、という感じなので、結論をまとめるようなレポートが出ることは期待していないのです。

最近では、こうしたJamでの議論を分析してより深い洞察を得ようという取り組みもあります。Jamは非構造化データの集まりなので、それをどうやって分析するのかは奥が深いテーマで、IBM自身、その研究に取り組んでいます。このことについては、下記のリンク先にメディア記事と論文がありますので、ご関心のある方はご一読ください。

テキスト・ネットワーク分析統合プラットフォーム 第2回:分析アプリケーションおよびTENA APIの使い方

企業における集合知の活用事例 「InnovationJam」

ここでは、一参加者の立場からJamの意義について書いてみようと思います。

いま、私の所属する部門では、あるテーマについて自身の取り組みと効果を表明し、それについて数名のレビューアーが評価をするというセッションが開かれています。私はレビューアーの立場にあり、多くの取り組みに目を通します。自分自身も取り組みを述べなければならない立場でもあり、他の社員がどのような内容を述べているのかはとても参考になります。テーマは割と限定的に設定されているので、そんなに多様な取り組みは出てこないだろうと思っていましたが、実際に目を通すととても多様なんですね。レビューアーは複数いて、そのレビューコメントも自分では思ってもみなかったような捉え方をしたものがあったりして、そちらも新鮮です。

取り組みやレビューコメントはこのセッションに参加する社員誰もが見られるようになっていて、レビューアー以外の社員がコメントしたり、「いいね」することもできるのですが、今回は自由闊達なディスカッションではなく「評価」なので、レビューアー以外の参加があまりなく、その点では盛り上がっているとまでは言えない状況です。もしかしたら、私一人が盛り上がっているのかもしれません。

この経験から、やはりJamは参加しないとダメということです。参加して意見を表明する、これによって他の人の意見から得られる洞察がある。こういうことなのだと思います。

Jamのような自由にオンライン・ディスカッションできる場、皆さんの会社にはありますか?

IBM 中山貴之のWeb Page

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