「京葉線は風に弱い」「オープンソースは低コスト」~その共通点
私のオフィスは幕張新都心にあり、毎日の通勤ではJR京葉線を利用しています。京葉線を使っていると言うと、「風が吹くとすぐ止まるから大変でしょう」とよく言われます。また、台風接近時に同僚から、「中山さん、京葉線止まりますよ、早く帰った方がいいんじゃないですか」と忠告を受けます(その同僚は早めに別の事業所に移動したり、自宅でのe-Workのため帰宅したり)。
京葉線は東京湾沿いの高架上を走りますので、確かに風の影響を受けやすいといえます。ただ、私が幕張勤務になってから2年あまり、実は一度も強風による運転中止に遭遇したことはありません。結構風強いなと思って心配して海浜幕張駅に行ったときでも、特に徐行運転をするわけでもなく、通常通り運行されて無事に東京駅に到着しています。
ちょっと気になって、京葉線が風に弱いというのは本当なのか、調べてみました。
近年、橋梁部を中心に防風柵の整備が進んでいて風に強くなっているとのことです。JR東日本千葉支社によりますと、この整備により、同じ気象条件で防風柵がなかった場合に比べ運転の中止時間は92%減った計算になるということで、調査期間のある月では京葉線の運転中止時間は総武線を下回ったそうです(その後総武線でも橋梁部分での防風柵を設けることなったということですので、こちらも運転中止時間はその後減少しているのではないかと思いますが)。
京葉線は風に弱い、このイメージはなかなか拭いきれないようです。毎日京葉線を利用している人でさえ、強い固定イメージを持っています。
こういった固定観念、あるいは思い込みはITの世界でも言えることなのではないでしょうか。
私の所属するIBMの製品やサービスは高い、というイメージは強いようで、そうではないと反論、弁明したくなることも多々ありますが、ここでは控えます(笑)。
今回はオープンソースのコストについて簡単に考えてみます。
オープンソースは、言うまでもなくライセンスコストがかからない、もしくは安価であることがメリットです。ベンダーの提供する商用ソフトではライセンス料金が高額、あるいは保守料金が高いためにコスト削減のためにオープンソフトを選択する、ということが理由として多いでしょう。特定のベンダーに依存することを避けたい、というコスト以外の理由もあるかもしれません。
ただ、一概にオープンソフトが低コストかというと、そうとも言えないケースがあります。
テスト環境やごくクローズドなサイトで使うのなら問題ありませんが、本番環境、ことに顧客や取引先とつながるようなシステムでは障害対応が必要不可欠です。オープンソースはコードが公開されているケースが多いとはいえ、自社のシステム要員だけで問題の原因を精査し、回避策を検討する、あるいは修正モジュールを入手して適用する、といったことすべてを行うのは容易ではありません。そういったことをカバーするために、オープンソースのサポートをしているベンダーのサポートサービスを利用するということになると、それ相応の費用がかかります。
また、これまでのソフトと異なる製品を扱うということになりますので、オープンソースのスキルを習得するための研修に時間と費用がかかることもあるでしょう。
重要なのは、ライフサイクル全体を見通して、どのくらいのコストがかかるのかを冷静に見極めることです。そして、コスト以外の点も含めてデメリットを上回るメリットがあるかどうかを総合的に判断することが大事だと考えます。そのうえで、必要性があると判断すればオープンソフトを、そうでなければ商用ソフトを使うというように、情報システムへの投資を適切に検討することが重要なのではないでしょうか。