【レッドシフト理論】 サンのCTO、グレッグ・パパドプロスの理論
レッドシフト(赤色偏移)理論は、サンのCTO、グレッグ・パパドプロスが提唱している、ITの現状と将来像の理論だ。グレッグってこんな感じの人です。
グレッグの考え方がまとまっているホームページがこちら。英語だが分かりやすい。グレッグが説明する「クラウド・コンピューティング」のビデオがあるが、これはわたしがクラウド・コンピューティングの説明を聞いた中で、一番説得力のあるものだ。また、このレッドシフト理論がWikipedia に英語だけれど、簡単によくまとまって載っている。
このレッドシフト理論を紹介するのは、クラウド・コンピューティングを考える際に、たいへんに重要な前提となっているからだ。
レッドシフト理論では、いままでの企業内のアプリケーションの性能要件に比べ、現在のコンピュータの性能は「オーバーサービス」になっている。これをレッドシフト理論内の「ブルーシフト」と呼んでいる。Intel の Xeon、AMD の Opteron、Sun の SPARC / UltraSPARCなどのマルチコアチップにより、企業内のアプリケーションでは消化しきれないほどに性能が上がってしまった。このために「仮想化(バーチャライゼーション)」や「コンソリデーション」が必要となってきた。
もう一つの大きなITの中での動きは、急激なインターネットサイトの成長で、いくらマルチコアチップが性能を伸ばしても、ITの性能成長が追い付かないほどに成長していくアプリケーションが出てきたことだ。これを「レッドシフト」という。たとえば、HPCであり、SaaSであり、国際的なコンシューマ・サービスサイトである。この分野では、「アンダーサービス」であることが問題になっていて、膨大なクラスターリングや、化け物のようなスイッチ、高速なI/Oなど、いままでにない技術も含めた、巨大なデータセンターが必要になっている。
日本のMixiをはじめ、こういった「レッドシフト」にあるアプリケーションもまた、世界中で多量にビジネスを開始し始めている。すでに、ベンチャービジネスとか、古くからの企業といった区別は存在せず、いかに新しく、ユーザの価値観に合致するサービスをサポートできるのか、が重要になっている。
こういったレッドシフト、ブルーシフトの両方のITビジネスに対して、クラウド・コンピューティングはサポートしていかなければならない。つまり、以前からグリッドコンピューティングがクラウド・コンピューティングなのではない、と言っているのはユーザのニーズ、ユーザが認める価値とはなにかをクラウド・コンピューティングでは理解していかないといけない。
以上のレッドシフト理論のスライドは実はグレッグのものではなく、サンのCEO、ジョナサン・シュワルツの最近のスライドから持ってきた物だ。ジョナサンが使っている、最近のスライドで一番気に入っているスライドを最後に貼り付けておきます。