『これほど無視されたら、頭に来るぞ!』 国際金融市場の現在についての討論
SWIFT が開催する SIBOS Vienna 2008 では、ほとんどがディベート形式で進行されるセッションだった。二日目から参加した私が最初に聴いたセッションが、
Big issue debate 2: Economic Power is shifting. So what?
というもので、もと International Helald Tribune紙 とCNBCのJuan Senor 氏。パネリストは、
- Martin Blessing, CEO, Commerzbank AG
- David Eldon, Charman of Dubai International Financial Centre Authority
- Keng Yong Ong, Director of the Institute of Policy Studies and Ambassdor-at-large Singapore Ministry of Forereign Affairs
- Rajnikant Patel, Former Managing, Director and CEO, Bombay Stock Exchange
- Alexey Ulyukaev, First Deputy Charman, Bank of Rassia
である。この日(9月16日)はリーマンブラザーズの破産を受け、アメリカ金融の弱体化による国際金融市場の再編成、BRICsの台頭に伴う『Economic Power』の西から東への移行といった項目が話された。
ブログなので、結論だけを記述すると、
- アメリカやヨーロッパの国際金融市場の相対的な弱体化は起こっているし、さらに進行する
- しかし、国際金融におけるリーダーシップは、政治的背景とも相まってそんなに急にアメリカが失速することはない
- BRICsの台頭による、国際金融活動の『Re-Distribution』が発生する
- いままでは、アメリカ対中国、アメリカ対インドであって、アメリカ中心だった国際金融活動が、たとえば中国対インドといったように、アメリカが介在しない、分散型の『n:m』型モデルとなる
- その『Re-Distribution』モデルでは、市場に対するオープン性と透過性が重要になる
- しかし一方、個々の市場におけるその国の『文化』の役割も無視することはできない
といった内容であった。この出張に合わせ、最新のグローバリゼーションについて数冊書籍を購入しており、帰ってきて読んだら、同様の内容が見受けられた。これに関しては読後今回のコンファレンスでの内容と合わせて、どこかに書きたいと思っている。
トーマス・フリードマンの『The world is flat』を持ち出すまでもなく、21世紀の国際社会は確実に変化しているのだ。
今回のパネリストのうち、David Eldon は、ドバイ首長国の国際金融センター機構の会長である。もともとは、香港を中心に活躍されたイギリス人の国際金融界のトップであるが、ドバイ首長国の政治家は、なんと自国の人ではなく、世界のトップクラスの人材を連れてきて、リーダーに据えている。こういった国は、強い、と思う。日本ではありえないことだ ろう。
さて、このブログのタイトルである、『これほど無視されたら、頭に来るぞ!』だが、私の英語力を信じていただければ、このディベート中、『Japan』 『Tokyo』『Yen』という言葉が、『ひとことも』出てこなかったのだ。国際金融市場として、東京があまり魅力がなくなっているのだろうとは予想していたが、ここまで無視されると、こころの底から、震えがとまらなくなった。
絶対に、やばいぞ。
日本と同様に、韓国も一切触れられることはなかった。韓国経済も現在かなり難しい状態になっている。しかし、お隣同士、静かに沈んでいきましょうか、なんて言っていられない。このパネリストの David Eldon は今年、韓国大統領の経済特別アドバイザーに任命されているのだ。
どうする、ニッポン?