「とんかつとんき」はそんなにすごいのか
ITmedia エンタープライズの Podcast で、このオルタナティブ・ブログのブロガーの皆さんがさまざまなお話をされている。8月2日からは、4回にわたり、私がお話を担当します。他の人たちは原稿などを書いて、ちゃんとお話されていますが、このチャランポランの私は、無謀にも資料を持っただけで話していますので、もう、とちるは咬むはで、お恥ずかしい限りですが、よろしかったらお聞き下さい。
この Podcast は、目黒のスタジオで収録されています。目黒といえばぁ、ほらぁ。「とんかつとんき」ではありませんか。収録が終わった帰りに、さっそく寄ってみました。美味しいものは、屋台のラーメンから本格的なフレンチまで、なんでも好きな私としては、とんかつも大好物のひとつ。ただ、有名なお店だからと鵜呑みにせず、チャンスを待ってじっくり攻めるタイプなのです。
当日、とんきに入りますと、午後9時だというのに、けっこう混んでいました。一階は、「コ」の字型のでっかーいカウンターのみ。でも30人ぐらいは座れるのかな。回転が速いのか、まもなくカウンターにどうぞと、座れました。ひとりの人には、新聞を見せてくれるサービスで、私はスポーツ新聞を。この辺は、浅草の並木藪の蕎麦屋さんみたいだ。
注文は当然、ロース定食。かの東京農大教授にして「食の冒険家」小泉武夫先生も「とんかつはロース」と宣言されているように、私もロースが大好き。さて、とんきのロースかつは、まず、衣がこんがりときつね色、パン粉はかなり細かくて、ぱりっとあがっています。肉は低温でじっくりあげてあり、やわらかく肉の味を損ねていません。定食のご飯茶碗は小さいので、男性だとお代わりしたい。そう思った途端に、カウンターの中のおにいさんが手をサッとだして、ご飯をよそってくれます。お味噌汁も美味しい。ホットタオルも、座ったときと食後、2回出してくれます。
さすがは老舗。サービスも行き届き、似非(えせ)老舗では、店の側がいばり散らしていたりするけど、ここはそんなことは全然無く、雰囲気もあったかい・・・。
でも、私にはこのロースかつはダメだ。ロースの魅力は脂肉。にくづきに旨いと書いて「脂」じゃあないですか。とんきのロースは、脂肉ぎらぎらではなく、かなり削いでいる。衣と肉も離れている。ようするにさっぱり、あっさりとしたロースかつなのだが、それではロースかつの魅力が半減してしまう。
私が好きなとんかつ屋は、築地のかつ平である。実は作家・池波正太郎氏も馴染みにしていたので、ちょっと困るのだが、いい店なのだ。3匹の子豚が笑っている暖簾が目印で、ここのロースかつは絶品である。脂身がふんだんにあり、衣のパン粉は荒く、ざくっとした食感だ。そして、でかい!
ごはんは、とんきもそうだと思うが、お釜で炊いて、お櫃にいれている。キャベツは機械でなく、全部包丁で千切りだ。ソースはロースの脂っこさに対抗できる、濃厚でどろっとしたタイプ。
とにかく、体力がないと完食できないほどに、腹に「ずしん」とくるロースかつの絶品だ。
以前私がIBMにいたとき、築地にも事業所があり、かつ平でしょっちゅう昼ごはんを食べた。残業が必要なときは、晩御飯もここ。お蔭でたしか7-8Kgほど太ったほどだ。電通も近くにあり、昼は、電通の人たちが出て来る前に、11時半ごろには店に入っていた。人気があるのだが店が小さいので、早く行かないと行列に並ぶことになる。店には電通とIBMのカレンダー両方飾ってあったけど、いまはどうしているんだろうなぁ。