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「IBMがSolarisを搭載」のサンにとっての意味

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2007年8月16日、米国発表では、IBM と Sun Microsystems Inc. は、IBMがx86ベースのSystem xサーバおよびBladeCenterサーバでSolaris OSを選択肢に加えたとした。(@IT Newsinsightより)。Solaris 10 はサンの半導体チップ SPARC だけでなく、IA (Intel Architecture)半導体チップの上でも稼動する。現在、820種類を超えるIAサーバでSolarisが稼動しており、ついに、IBM も Solarisを正式に自社サーバで稼動させてくれることになった。

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まだ日本での広報発表を行っていないので、以下は Solaris の推進者のひとりの感想である、とご理解いただきたいと思います。サン・マイクロシステムズ株式会社の公式見解ではありません。

Solaris  





 

ではなぜ、あえていまブログに書くのかというと、この協業体制は単に IBM と Sun だけでなく、IT業界にとって大きな前進であると思うからで、できるだけ多くの人と情報共有したかったからだ。まず、この協業の IBM に取っての意義は、ビル・ザイトラー氏の以下の言葉で言い表せているのではないかと思う。日本の広報発表前なので、英文のままで記述します。すみません。英語のレッスンと思って、ご自分で和訳をなさって下さい。

"IBM provides the broadest choice of server platforms and operating systems to customers with AIX, Linux for x86 and Power, Microsoft Windows Server and now Solaris," said Bill Zeitler, senior vice president & group executive, IBM Systems & Technology Group. "IBM is the first major x86 vendor to have such an agreement with Sun; and the first big vendor apart from Sun to offer Solaris on blade servers. Today we expand that agreement to help clients migrate to Solaris on IBM x86-based System x servers."

私が IBM を退職するときも、Systemsのトップはビル・ザイトラー氏だったのを思い出した。

さて、サンにとっての意味だが、私個人の感想としては、以下の点が上げられると思う。

  1. Solaris はオープンソースであり、OpenSolaris コミュニティにとって、IBMプラットフォームへの拡大で、稼動する環境が広がる意義は大きい。
  2. Solaris 上で稼動するアプリケーションパッケージは実は4000種類以上あり、Linux上のアプリケーションパッケージより多かったりするが、このアプリケーションパッケージがさらにIBM環境で稼動することにより、個々のアプリケーション・パッケージのビジネスが広がり、より多くのアプリケーションがSolaris で稼動するようになる。
  3. サンはIAサーバ売上高シェアでは、5位か6位である。IBMはそれより高いシェアを持っており、この2社が協力体制を高め、その中心技術として Solaris を利用することにより、他のIAサーバベンダーとの差別化ができる。

ちなみに、SPARC 上の Solaris と IA 上の Solaris では、バイナリ・コンパチではない。でも、再コンパイルすれば稼動する。機能的な差はない。また、現在世界で750万ライセンス以上の Solaris が稼動しているが、実はSPARC上よりIA上の方が多いのだ。

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IBMのソフトウェアの多くはSolaris上でも稼動する。10年以上も前、DB2のプロダクト・マネージャをしている時も、DB2がSolaris上で稼動することを大々的に推進していた。そのころも、Solaris on Intel の話があり、楽しみに待っていたのに、Solaris側がぽしゃり、がっかりしたことがある。

SPARCチップだとサン製のサーバを購入してもらわざるを得ないが、Solaris on Intel だったらIBM自社製のサーバにDB2 for Solaris を搭載できたからだ。IAサーバでRDBを稼動させるにはWindowsよりUNIXの方が使いよかった。また、Solarisはメモリーの使い方がうまく、実はSolarisで稼動させた方が数%早かったのだ(内緒ですよ)。ついに(10年かかったか!)、IBM製IAサーバのIBM System xや IBM BradeCenterでDB2 for Solarisが稼動できるようになった。

DB2のご担当者様、DB2 UDB for Solaris を貴社System xで Solaris を稼動させてお試し下さい(良いと思うよ!)。その他のIBMソフトウェアご担当者様も是非!!

追記:日本アイ・ビー・エム株式会社とサン・マイクロシステムズ株式会社は、本日、この件につきまして、プレスリリースしましたので、ご紹介します。両社のプレスリリースを併記しますが、内容は同じです。

日本アイ・ビー・エム株式会社のプレスリリース

サン・マイクロシステムズ株式会社のプレスリリース

 

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