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ITの技術や方向性考え方について別の選択肢を追求します

プロの仕事ー妹尾河童氏の本を読んで

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妹尾河童氏をご存知でしょうか。「河童が覗いたヨーロッパ」や「河童が覗いたトイレまんだら」などのイラスト入りエッセイや「少年H」といった小説を書かれていますが、本業(?)は日本を代表する舞台芸術家です。

今回は「河童が語る舞台裏おもて」という本を読んだのですが、本業である演劇やオペラ、ミュージカルの舞台の装置・大道具の話を中心に舞台を作っていく過程を河童流のイラストも含めて、面白く紹介しています。この中では様々なプロの人たちの仕事のことが出てきます。

たとえばミュージカルの「ピーターパン」で、ピーターパンが空を飛ぶ場面では、人を飛ばす権威のピーター・フォイ氏が来日し、さまざまな技術を徹底的に駆使して実現するところが書かれています。ワイヤーも800kgの加重に耐え、力を分散させるために3本の線を縒る特殊な線を使ったり、フライングをするために周りの大道具との位置関係、角度も精密に計算したそうです。また、「ピーターパン」役の榊原郁恵さんには、「飛ぶというより、空中で踊るという気持ちで演じること」と指導し、榊原さんも徐々に本物のピーターパンになっていく部分など、感動的です。

しかし、一端飛ぶと時速70kmのスピードで飛び回り、観客の上まで飛んでいくので、榊原郁恵さんは毎日怖く、ステージが始まる前には必ずジーっとお祈りをしていたのだそうです。飛ばすには綱元という担当者が3人で線を引っ張るので、この3人も毎回緊張していたそうです。

演劇やオペラ、ミュージカルは「虚」を「実」に見せる事が重要で、張りぼての仏像が本物に見えたり、絵が立体的に見えるのは舞台を作り上げる人たちのプロとしての腕の見せ所でしょう。 

さてきょうも思いっ切り「こじつけ」ですが、こういった舞台芸術が「虚」から「実」へならば、ITは「物理的な工程」を「仮想化されたサービス」に変えていく作業だといえます。新しい技術は河童氏がピーター・フォイ氏を招いて榊原郁恵さんを時速70kmで空を飛ばした様に、ITにおいても積極的に取り入れていきたいと思います。

SOAは開発手法として、新しい考え方、新しい技術です。いわゆる、流行語(バズワード)ではなく、今後取り入れていくべき新技術だと思います。いままでは、「プログラムを実行する」ことがITでしたが、これからは使う側からの視点で「サービスを利用する」形に変えていこう、というのがSOAの出発点です。だから「サービス指向」なんですね。

サービスを利用する側からすれば、プログラムがどんな言語で書かれているかが問題なのではなく、ビジネスの工程(プロセス)が重要で、このビジネス・プロセスを定義する技術が必要です。また、技術だけでなく、ツールも利用することにより、共通化した定義の中身が出来てきます。また、定義したプロセスからそれぞれのサービスが設計されていく、新しくサービスを創造する、いままであったサービスを再利用するという開発工程が続きます。

さて、ここからはちょっとした宣伝。サンでも勿論SOAを推進しています。方法論があり、コンサルテーションがあり、ツールを使っていきます。サンではサンの持っている製品を月に1回紹介するセミナーを開いており、今回は「サンの提唱するSOA」と、SOAを実現するツール製品「Sun Java CAPS」をご紹介するセミナーです。10月13日(金曜日)午後1時半から世田谷区用賀のサン本社で開催します。

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