お楽しみはこれからだ !
サン・マイクロシステムズ株式会社は、昨日(8月2日)今後のデータセンターの中核となる、AMD/Opteronベースのサーバを3機種発表しました。
Sun Fire X4500
Sun Fire X4600
Sun Blade 8000
です。ITmediaさんの記事、@ITさんの記事です。末次、うれしそうです。
Sun Fire X4500 の特徴は、最大48台のディスクドライブを4Uの筐体に設置可能で、最大24TB (24テラバイトですよ!)のディスク容量をI/Oバスに直接接続できることです。これで、ディスクからメモリーへの読み出しが2GB/秒とたいへん高速になります。さらにSolaris/ZFSと呼ばれるファイルシステムは128ビットなので、他のOSの64ビットのファイルシステムに比べ、160億倍の容量を管理でき、この、24TBのディスクスペースを、単一のファイルシステムで容易に管理できるのです。X4500は、ビデオ・ストリーミング、パラレルファイルシステム、ライブ映像記録など、いままでは不可能だった領域までに及ぶ、ストレージサーバとして最適なサーバです。写真は、48台のディスクドライブが並んでいるところ。
Sun Fire X4600の特徴は、デュアルコアAMD/Opteronを最大8個搭載し、最大16ウェイSMPを実現します。Solarisのスレッド管理機能を使うことにより、並列処理が可能になり、想像を上回る処理能力(処理量)を実現します。AMD/Opteronは2.6GHzなので、ひとつの処理のパフォーマンスも高く、HPC(ハイ・パフォーマンス・コンピューティング)などの強力な演算能力を必要とする用途にも使えます。また、これら処理能力の高さに加え、VMWareやSolarisコンテナを使って、サーバ統合にも最適です。写真は、ファンをひとつ取り出しているところ。
このX4500とX4600を使ってHPCを作ったのが、東京工業大学のTUBAMEです。世界第7位のスーパーコンピュータですので、すでに実績のあるサーバといえます。
Sun Blade 8000は、サンが久々に出したブレードサーバで、19Uのラックで最大10台のサーバモジュールを搭載できます。ひとつのサーバモジュールは、AMD/Opteronデュアルコア4個を搭載しており、1台で8ウェイです。ブレードサーバの特性を生かし、柔軟な運用体制と拡張性を実現できます。また、帯域幅がシャーシあたり1.92Tbpsとなり、現行のGigabit Ethernetなどはもとより、Infiniband、10Gigabit Ethernetなどの次世代I/Oにも余裕で対応できます。
サーバモジュール X8400
Sun Blade 8000を2台ラックに搭載した状態
今回の3つのサーバに共通した点としては、電源と冷却ファンの冗長化です。また、筐体内ケーブルの最小化、障害発生箇所をLEDを点灯させ交換ミスを少なくするなどの工夫もしてあります。さらに言えば、並列処理に伴うI/Oやメモリー、帯域幅なども考慮したサーバ設計も実はポイントです。また、使用電力を下げ、発熱量を下げることにより、データセンター内の冷房機器の増設を防ぎます。
今までの、シングルコアチップのサーバでは、チップのクロック数を上げればパフォーマンスがあがりましたが、マルチコア・マルチスレッドでは、単にクロック数を上げるだけでなく、サーバの設計、OSの機能と能力、ミドルウェアの並列タスク生成機能などが必要になってきます。OSが確実に複数あるスレッドを並列処理できるか、ミドルウェア(たとえばHTTPサーバ)が次々とくるアクセスを順番に処理するのではなく、スレッドに分けて並列に処理できるようにする。コンパイラーが、ひとつのプログラムの中で並列に処理できるタスクを見つけて並列化する。など、全ての環境が並列処理を実現するために準備されないと、せっかくの資源を無駄にすることになります。
さて、これでサンはIAサーバに鞍替えし、SPARCはやめるのかというと、そんなことはありません。CoolThreadチップという1コアに4スレッド、8コア搭載のチップ(32スレッド!)は進化を続け、来年には64スレッドのサーバが出てきます。いずれにせよ、並列化を進めていく方向性は確かです。
きっと、他社も今後、さらにさまざまなマルチコア・マルチスレッドのサーバを出してくると思います。ますます楽しくなりそうですね。